お悩み別ケア
2022.10.18

【アスタキサンチン】抗酸化効果の仕組みをくわしく解説

コンテンツ提供:日本化粧品検定協会

概要

成分名 アスタキサンチン
成分の働き 抗酸化、エイジングケア
医薬部外品としての効能効果
表示名称 【化粧品】アスタキサンチン ※含有成分:ヘマトコッカスプルビアリスエキス、ヘマトコッカスプルビアリス油【医薬部外品】アスタキサンチン液
主な配合アイテム 【化粧品】スキンケア・UVケア【医薬部外品】スキンケア

由来・歴史

主な原料の由来

天然(ヘマトコッカス藻から抽出、または微生物による発酵)

歴史

1938年にノーベル化学賞受賞者Richard Kuhn博士が、ロブスターから分離した成分です。1980年代後半から脂質に対する優れた過酸化抑制効果や、一重項酸素消去能が報告されるようになりました。

1994年に富士化学工業株式会社によってヘマトコッカス藻の培養による大量生産技術が確立されると、ヒトへの用途が盛んに研究されるようになり、多くの機能が見出され、化粧品、サプリメント、機能性食品など多岐にわたって使用されるようになりました。

化粧品メーカーでは、コーセーが1992年にアスタキサンチンに着目、1994年には活性酸素の一重項酸素を消去する力があることを発見し、2005年に商品化しました。

その他の成分情報

アスタキサンチンは、β-カロチンと共通の分子構造を持つカロチノイドの一種です。キサントフィルに属し、赤色を呈しています。

オキアミなどの甲殻類、紅藻などに含まれる油溶性の赤橙色をしたカロチノイドと呼ばれる色素の仲間です。天然色素として、サケなどの魚類や卵に対して色づきをよくする目的で飼料に配合し、養殖や養鶏場などでも使用されています。

化粧品に利用されるアスタキサンチンの多くは、ヘマトコッカス藻の培養により生産されたものを使いやすくするために油に溶かしたものを用いますが、微生物の発酵技術により作られる粉末状のものもあります。

化粧品原料としてのアスタキサンチンは水に溶けない油溶性の成分なので、化粧水など水への配合は難しいとされていましたが、富士フィルムが独自のナノ乳化技術により、本来混ざり合わないものでも均一に混合できるようにしたことから、化粧品や飲料など様々な商品の開発に使用されるようになりました。

効能効果・はたらき

「化粧品」に配合したときの働き

抗酸化

皮脂や細胞間脂質が酸素が結びつくと、過酸化脂質となります。過酸化脂質が増えるとくすみや弾力の低下(たるみやしわの形成)、色素沈着といった老化が促進されます。

紫外線により発生した活性酸素、中でも一重項酸素という反応性が高い活性酸素が脂質と結びつくことで、過酸化脂質の生成が促進されます。アスタキサンチンは一重項酸素を消去する力があり、過酸化脂質の生成を抑制して肌の酸化を防ぎます。

また、紫外線を浴びると、活性酸素の働きでタンパク質複合体のNF-κB(エヌエフカッパービー)が活性化し、炎症やメラニン生成指令を引き起こします。アスタキサンチンはこのNF-κBの活性を抑制し、抗炎症作用やメラニン生成指令抑制作用を発揮します。

エイジングケア

紫外線を浴びると、肌の中で発生する一重項酸素の攻撃により、真皮コラーゲン線維が変質します。

また、紫外線による肌の炎症により、コラーゲンを分解する酵素が分泌されます。

アスタキサンチンは抗酸化効果により、一重項酸素や炎症を抑えることで、真皮コラーゲンの変質や分解を防ぐことでしわの形成を防ぎます。

着色

アスタキサンチン自体が濃い赤橙なので、赤みの帯びた色に着色させるため、天然の着色成分として配合することもできます。

「医薬品」としての効能効果

医薬品としては配合されていません。

「食品、サプリメント」に配合したときの働き

機能性表示食品の機能性関与成分であり、消費者庁に届け出た機能性を表示することができます。

一例として、「本品には、アスタキサンチンが含まれます。アスタキサンチンは、抗酸化作用により、血中脂質の酸化を抑制する機能性が報告されています。また、アスタキサンチンは、「肌の潤いを守るのを助ける機能性が報告されています。」などと表示することができます。

栄養補助食品に配合した場合、加齢による脳の衰えと脳疾患を予防、動脈硬化予防、眼精疲労回復 疲労回復、美肌効果、紫外線効果、認知機能の改善などが期待できます。

注意点

特になし。

ワンポイントアドバイス

日本化粧品検定協会代表理事:小西 さやか

「一重項酸素に対する抗酸化力を比較すると、β-カロテンの約10倍、コエンザイムQ10の約800倍、ビタミンEの約1,000倍、ビタミンCの約6,000倍と言われています」

小西さやかさんの記事一覧

 

<引用元>
オレオサイエンス 12(10), 525-531 (2012)
日光ケミカルズ株式会社他, 新化粧品ハンドブック, 2006, p.417-418
鈴木一成, 化粧品成分用語事典2008, 中央書院, 2008, p.368
小西さやか, 知れば知るほどキレイになれる!美容成分キャラ図鑑, 西東社, 2019, p.112-113
厚生労働省, e-ヘルスネット (活性酸素と酸化ストレス)
富士フィルム株式会社 Webサイト (からだサイエンスラボ, 機能性食品用原料, 富士フィルムヘルスケアラボラトリーオンラインストア)
株式会社コーセー Webサイト (研究開発)
ENEOS株式会社 Webサイト (機能材)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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