【アラントイン解説】炎症と戦って、肌の回復を助ける成分
コンテンツ提供:日本化粧品検定協会
概要
成分名 | アラントイン |
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成分の働き | 抗炎症、細胞賦活(ふかつ) |
医薬部外品としての効能効果 | 肌あれ防止、ニキビ予防 |
表示名称 | 【化粧品】アラントイン【医薬部外品】アラントイン |
主な配合アイテム | 【医薬部外品】スキンケア・ヘアケア・メイクアップ |
由来・歴史
主な原料の由来
合成(尿酸や尿素から合成)
歴史
19世紀ごろに牛の羊膜の分泌液から発見された成分です。羊膜を表す「アラントイス」が成分名の由来となっています。
古くはヨーロッパの農民が傷を治すために、民間療法として「ヒレハリソウ(コンフリー)」から抽出された液体を、直接傷に塗っていました。後に、その抽出液にアラントインが含まれていたことが発見されています。
その他の成分情報
NMF(天然保湿因子)を構成する主要なアミノ酸の1つであるプロリンの代謝産物です。水に溶けやすい成分ですが、アルカリ性で分解されやすい特徴があります。
コンフリー(ムラサキ科の多年草)の葉や、たばこの種子・小麦の芽などに含まれるため、それらから抽出して得ることもできますが、現在では尿酸や尿素からの合成で作られます。細胞修復、抗炎症作用から、やけど、湿疹、皮膚炎、口内炎、ニキビ、痔疾患などに対する外用薬や、抗炎症、角膜上皮の修復促進作用から、目薬に古くから使用されていました。
アラントインの誘導体であるアラントインクロルヒドロキシアルミニウムは収れん作用があり、制汗剤の有効成分として使用されます。
効能効果・はたらき
「化粧品」に配合したときの働き
- 抗炎症
- 肌修復・細胞賦活(ふかつ)
抗炎症
炎症を穏やかに鎮める効果があり、炎症による肌あれ防止効果が期待できます。薬用化粧品の肌あれを防ぐ有効成分として多くのスキンケア製品に配合されるだけではなく、日焼け後のほてりを鎮める化粧水などにも使われています。一般化粧品においても、肌あれ防止や唇のあれ防止を期待して、スキンケアやリップケアなど幅広い製品に配合されています。
また、アクネ菌により引き起こされる炎症を抑える効果も期待できることから、ニキビケア製品の有効成分としても配合されています。皮膚への刺激による炎症やアレルギー反応から穏やかに肌を守る効果もあるため、敏感肌用の化粧品にも使われています。
肌修復・細胞賦活
真皮線維芽(しんぴせんいが)細胞の増殖を高めたり、皮膚の毛細血管がつくられるのを促す作用により、表皮の再生を促進し、肌修復効果があると考えられています。
また、肌の代謝を高めることから育毛効果も期待され、ヘアケア製品にも配合されることがあります。医薬品成分であることから、化粧品や医薬部外品(薬用化粧品)への配合において、配合上限があります。
「医薬品」としての効能効果
ひび・あかぎれ、口唇炎・口角炎の治療薬、目の疲れ・結膜充血などの目薬に使用されます。
「食品、サプリメント」に配合したときの働き
食品・サプリメントとしては利用されていません。
注意点
特になし。
ワンポイントアドバイス
日本化粧品検定協会代表理事:小西 さやか
「韓国の“カタツムリコスメ”は、2010年代を中心に日本でも話題になりました。カタツムリ分泌液の中にはアラントインが含まれることがわかっており、アラントインによって炎症を抑えたり、肌を再生する効果があり、人気となったのです」
小西さやかさんの記事一覧
<引用元>
日光ケミカルズ株式会社他, 新化粧品ハンドブック, 2006, p.550,576
久光一誠, 化粧品成分事典, 池田書店, 2021, p.17,152
宇山侊男他, 化粧品成分ガイド 第7版, フレグランスジャーナル社, 2020, p.91, 160
日本化粧品技術者会, 化粧品事典, 丸善出版株式会社, p.315
小西さやか, 知れば知るほどキレイになれる!美容成分キャラ図鑑, 西東社, 2019, p.154-155
東和薬品株式会社:アルジオキサ錠100mg, 医薬品インタビューフォーム
あすか製薬株式会社:イサロパン外用散6%, 添付文書
参天製薬株式会社 Webサイト(目の情報ポータル)
大正製薬株式会社 Webサイト(商品情報サイト)
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