健康・ヘルスケア
2019.6.12

不妊の定義から不妊治療の値段、正しい妊活について…妊娠にまつわる疑問に婦人科医が答えます!【女医に訊く#64】

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2016年に体外受精によって国内で生まれた子は5万4,110人(2017年 日本産科婦人科学会調べ)。厚生労働省の統計では、同年の総出生数は976万9,678人ですから、18人に1人が体外受精で生まれた計算になります。増加する「不妊治療」や「妊活」について、産婦人科専門医の吉形玲美先生にうかがいました。

不妊の定義とは?どれくらいの期間、妊娠できなければ不妊なの?

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間(1~2年)妊娠しないこと。その原因は、男性側、女性側、あるいはその両方にある場合がありますが、何も原因がない場合もあります。近年、「妊活」や「不妊治療」が何かと話題になっていますが、そもそも現代の女性は不妊傾向にあるのでしょうか?

「若い女性に関しては、不妊で悩んでいる人はさほど多くないはずです。不妊が話題になっているのは、妊娠を考える年代が、昔より5~10年高くなってしまったことが原因だと思います」と吉形玲美先生。

一般に、女性がもっとも妊娠しやすい年齢は20代前半ころであり、30代後半以降は年齢を重ねるにつれて妊娠が難しくなるとされています。早いうちから妊娠に関する知識を身に付け、環境を整えておきましょう。

自分の卵子の数の目安がわかる卵巣予備能検査とは?

女性の卵子の数は生まれたときに決まっており、新たにつくられることはありません。そして、加齢により、数も質も低下していきます。ただし、卵子の数には大きな個人差があり、同じ年齢でも卵子の数が20代相当という人もいれば、40代相当という人も……。吉形先生は、25歳を過ぎたら一度、卵子の数の目安を調べる卵巣予備能検査を受けておいた方がいいと言います。

「卵巣予備能検査は発育途中の卵胞周辺から分泌されているホルモンを調べる血液検査。これから排卵できる卵子がどのくらい残っているかがわかり、ご自身の卵巣予備能に目安をつけることができます」(吉形先生)

不妊治療を始めるタイミングはどのように判断する?

妊娠を希望しているにかかわらず、なかなか妊娠しない人は、どのようなタイミングで治療を始めるべきなのでしょうか?

「20代~30代前半の妊娠適齢期でしたら、まずは自分で基礎体温をつけて、夫婦でタイミングをとってみてください。1~2年試しても妊娠しないようでしたら、産婦人科医に相談してみましょう」と吉形先生。

ただし、30代後半以降の方は、半年間程度試してみて妊娠しないようなら早めに受診を。半年を待たずに「子どもが欲しい」と思った時点で相談し、排卵とセックスの時期を合わせるタイミング指導を受ければ、「不妊治療」ではなく「妊活」の範疇で妊娠できるかもしれません。

「妊活に入ったら、男性も一緒に妊娠しやすい体づくりを行う必要があります。栄養素としては、特に葉酸、亜鉛、ビタミンEを過不足なく摂るように心がけてくださいね」(吉形先生)

不妊治療の内容は?値段はいくらかかる?

「不妊治療」には排卵日にあわせ精子を子宮に注入する「人工授精」、体外で卵子と精子を受精させ、数日後に子宮内に受精卵(胚)を戻す「体外受精」、細い針で精子を卵子の中に注入する「顕微授精」があります。治療費は一般的に保険適用外であり、医療機関によって異なりますが、保険適用外の場合は総じて高額となります。

「タイミング法は数千円で済みますが、人工授精は1回数万円、体外受精になると1回数十万円かかります。自治体によっては条件付きで助成金を出してくれるところもありますので、調べてみましょう」(吉形先生)

不妊治療にはパートナーの理解と協力は必須

治療にはパートナーの理解と協力が欠かせません。女性の卵巣予備能検査とともに、男性の妊娠機能も事前にわかると確実です。

「精液成分を可視化する郵送検査キットもあります。これは、自宅で精液を採取し郵送するだけで、精子の数や持久力に関する成分などが、自宅のPCやスマートフォンで確認できるので、運動率など採取すぐの状態でチェックする項目は調べられませんが、病院で行う精液検査よりも協力してもらいやすいと思いますよ」(吉形先生)

WHOは、不妊原因が男性側にあるケースが24%、男女ともにあるケースが24%、女性のみが41%、不明が11%と発表しています。つまり、わかっているだけで、男性側に原因があるカップルが48%、約半数ということ。女性だけの思いだけでは難しいことも多々あります。同じ意識をもって進められるよう、よく話し合っておきましょう。

産婦人科専門医
吉形玲美先生
浜松町ハマサイトクリニック 婦人科医。医学博士、日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、日本女性栄養代謝学会幹事。東京女子医科大学医学部卒業後、同大学産婦人科学教室入局、准講師を経て、現在非常勤講師に。2010年7月より浜松町ハマサイトクリニックに院長として着任。現在は同院婦人科診療のほか、多施設で女性予防医療研究に従事している。更年期、妊活、生理不順など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネージメントを得意とする。 ■浜松町ハマサイトクリニック

文/清瀧流美 撮影/黒石あみ

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