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2026.4.23

【向坂くじらさん新連載】透きとおっていないものは美しくない?|そうでないものの美 Vol. 01

詩人・小説家の向坂くじらさんによる連載が『美的』6月号よりスタート! 第1回目のテーマは「透きとおっていないものの美」です。

EDIT: 美的編集部

美的編集部

美的編集部

2001年に創刊された美容専門誌『美的』(小学館)の編集部。「肌・心・体のキレイは自分で磨く」をキャッチフレーズに、タレント、モデル、カメラマン、美容家や美容ライターといった各分野のスペシャリストとともに、最新のビューティトピックを深く掘り下げた誌面作りがモットーです。2026年には創刊25周年を迎え、これまで積み上げた膨大な美容に関する最新の知見をもとに、美容に対して誠実なメディア運営に取り組んでいます。

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SOURCE: 美的 2026年5月号

2026年5月号

5 月号

3月21日頃発売 ¥1,550

『美的』は今月、創刊25周年を迎えます。 これもひとえに、支え続けてくださっている読者の皆様のおかげです。 本当にあり…

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詩人・小説家

向坂くじら

Vol. 01/透きとおっていないものの美

ひみつ

桃はみんな

ひと粒の種を抱いている

果肉のみずみずしい暗黒に

ぽかんと浸っているあいだ

種には種しかいない

夕がたの部屋が町に抱かれて

口には出さないかなしみが

のどの奥に甘くこみ上げてくると

わたしはいっそう匂いたって

わたしには わたししかいない

だから うれしくて

桃の頬っぺた

なおさらやさしく洗っている

「すきとほったものがほしい/すきとほったものが 好き」と書いたのは、詩人の吉原幸子だ。詩には、ゼリーやビー玉といったささやかで「すきとほった」ものたちが挙げられる。

わたしもまた、喫茶店でお冷やのグラスを手にとったまま、ぼうっと見入ってしまうことがある。注がれた水も、浮かぶ氷もみんな透きとおって、屈折した向こうの景色が覗ける。透きとおったものの美しさとはひょっとすると、奥にあるものをみんな見せてしまう、暴露の美しさと言えるようなものかもしれない。

そう言うとつい、「透きとおっていないものは美しくない」と考えそうになるものだ。実は論理的には正しくないのだが、それにしては「そうであるものは美しい」ゆえに「そうでないものは美しくない」という言葉づかいの、世の中になんと多いこと。

いっぽうの現実には、透きとおっていないものたちが、あちらこちらに美しい。お味噌汁のもわもわしたうずまき。折り重なったカーテン。裏道の脇を流れる濁った小川。そんなものがむしろ、ときにわたしの目を惹きつける。透きとおる美を暴露の美とするのなら、それはいわば秘匿の美。透きとおっていないものは、かならず奥になにか隠しているのだ。だから見たくなる。知りたくなる。

そのように黙した「そうでないものの美」を、もっと探してみたい。そうだ。世界にはまだ、美しいものが隠されている。

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

EDIT: 美的編集部

2001年に創刊された美容専門誌『美的』(小学館)の編集部。「肌・心・体のキレイは自分で磨く」をキャッチフレーズに、タレント、モデル、カメラマン、美容家や美容ライターといった各分野のスペシャリストとともに、最新のビューティトピックを深く掘り下げた誌面作りがモットーです。2026年には創刊25周年を迎え、これまで積み上げた膨大な美容に関する最新の知見をもとに、美容に対して誠実なメディア運営に取り組んでいます。

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イラスト: たなかみさき

構成: 渋谷香菜子

SOURCE: 美的 2026年5月号

2026年5月号

5 月号

3月21日頃発売 ¥1,550

『美的』は今月、創刊25周年を迎えます。 これもひとえに、支え続けてくださっている読者の皆様のおかげです。 本当にあり…

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