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2025.4.20

ジェーン・スーさんと語る「32才がオバサンだった時代」|作家LiLy対談連載「生きるセンス Season.7」第1話

「年齢を重ねるって、どういうことですか?」作家・LiLyさんが人生の先輩を訪ねて歩いた人気連載『生きるセンス』がwebへとお引越し。より楽しく、より自由に、より心地よく生きるべく、人生のヒントをさらに深掘りしていきます。Season.7のゲストは、ジェーン・スーさんをお迎えします。

10年前、32才の私は自分をオバサンだと思っていた――LiLy

LiLyさん(以下、L) 私はスーさんのデビュー作『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ社)以来の熱烈ファン。それを友人に薦めまくっているうち、周囲にファンが続々と増えてきて。そこで、ある編集者さんを通じてごはん会にお誘いしたんですよね。

スーさん(以下、S) そうそう、あれは青山一丁目の韓国料理屋だったかな。

 今からもう10年ぐらい前? 以来途切れることなく本を出し続けて、さらにラジオパーソナリティとしても活躍されているのだから、すごいですよね。

 振り返ってみると、この10年でいろんなことが変わりましたね。それは私の経歴だけじゃなくて、時代そのものが大きく変化したと思う。

 時代の変化は身をもって感じています。それこそ今から10年ぐらい前、私が32才のとき、ラップバトル番組『フリースタイルダンジョン』の審査員をやり始めたんです。当時女性の審査員は私ひとりだけで、セクシー枠っぽいキャスティングだったので「え、こんな32才の子持ちのオバサンでいいのかな」なんて思っていたの。

 32才なんて超若いのに! でも10年前はそう思わせる風潮がまだあったかも。

 本当にそうなんですよ! 個人の価値観を超えて、社会的な価値観がこの10年で大きく変化したのを感じるの。「30代はまだお姉さん」という世論になったのは、実はめっちゃ最近のこと。今、私はオバサンの年齢だなって思っているけど、10年後はきっと「40代もまだお姉さん」になっている気がする。無駄な思い込みは手放さなきゃ!

スーさんが打ち立ててくれた新しいおばさん像、元気でポップで超可愛い! ――LiLy

 それってリアルに自分をオバサンだと思っていたわけではなくて、勝手に制作者目線で「32才なんてもうオバサン枠ですよね」と忖度していたのかも。今の感覚からすればかなりズレてるわけで、10年経てば価値観って変わるものだなと思う。

 おっしゃるとおり! さらに当時、気持ちの上ではまだギャルの名残すらあるのに、2才と4才の育児中だったこともあって自分にまったく手をかけられず、20代のころと比べて見た目がどんどん劣化していくことに乙女心がグラグラと揺れていたんだと思う。そのころから追いかけているスーさんが、この10年をかけて打ち立ててくれたのが、新しいおばさん像。堀井美香さんとのポッドキャスト番組『OVER THE SUN』なんて、ネーミングも最高だし、元気でポップで超可愛いなって!

 それはうれしい。ありがとうございます。

 あと、この連載にも出ていただいて、スーさんの著書『戦いの庭 咲く女 彼女がそこにいる理由』(文藝春秋)にも登場している神崎恵さんの生き方も素敵。年齢を重ねてさらに美を磨き上げていく、あの異次元の極め道たるや!

 私が彼女をインタビューしたときに感じたのは、この人は「自分の人生は自分で満たす」ということを腹に決めているのだな、ということ。おそらく人生の早い段階で「自活」の覚悟を決めた人なんじゃないかと思う。

 ああ、なるほど!

 たとえば、女性がただ若い、もしくは見た目が美しいなどの理由で、男性から優遇されたり、金銭を負担してもらったりなど、行列の一番前に入れてもらうことがあるとする。でもそれって実は下駄を履かされているだけで、自活する筋力が奪われている状況でもあるんだよね。

「自分の人生は自分で満たす」この覚悟を決めた人は悪あがきをしていない――ジェーン・スーさん

 そのとおりです。20代ではかされた透明な下駄の存在を忘れて、四十路になってそれを外されたとき、生活レベルや自分のプライドだけが高くなって、そのギャップにハッとしてももう遅い。非常にキケンな下駄です。

 異性からそういう扱いを受けたことがあるなしにかかわらず、それ自体が甘やかしの補助輪だと気がつけるかどうかはかなり大事。ならば自分で自分を楽しませていく、満たしていく、食べさせていく。その実践が早い人は、年齢重ねても悪あがきをしていないし、その逆もまた然りかと。

 完全同意! というのも、同時代に夜のお店で働いていた子たちを見渡すと、早くからそのマインドセットができていた子はしっかり自立していったし、できていなかった子は苦労するのを見てきたからな…。その差は賢さ?

 観察力もあるのかな。

 ふう、スーパー理解! 10年ひと昔というけれど、次はこれからの時代についてお話聞かせてください!

JANE SU
コラムニスト、ラジオパーソナリティ。1973年生まれ、東京都出身。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)で講談社エッセイ賞受賞。TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』でパーソナリティを担当するほか、ポッドキャスト番組『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』『となりの雑談』も配信中。
Instagram:@janesu112
LiLy
作家。1981年生まれ。神奈川県出身。N.Y.、フロリダでの海外生活を経て上智大学卒。25歳でデビューして以来、女性心理と時代を鋭く描き出す作風に定評がある。著書多数。2023年ベッド内美容ブランド「Bedin」をローンチ。
Instagram:@lilylilylilycom

次回は4月27日公開予定!
第2話「フリーランスと会社員、どっちがいいのか問題」
お楽しみに!

イラスト/ekore 構成・文/本庄真穂

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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