熊谷真実さんが語る「神様の役に立つということ」|作家LiLy対談連載「生きるセンス Season.5」第2話
「年齢を重ねるって、どういうことですか?」作家・LiLyさんが人生の先輩を訪ねて歩く人気連載『生きるセンス』がセカンドシーズンに突入。より楽しく、より自由に、より心地よく生きるべく、人生のヒントをさらに深掘りしていきます。第5回のゲストは、熊谷真実さん。物事を神様に委ねるとき、すべきこととは?
第1話▶▶熊谷真実さんにとっての「センス」とは?
第3話▶▶熊谷真実さんが語る「愛と性と心について」
第4話▶▶熊谷真実さんが語る「甘え上手ってどんな人?」
第5話▶▶熊谷真実さんが語る「執着を手放して、視野を広げる」
全力投球したらあとは神様に委ねる。それが「神様ジャッジ」――LiLyさん
LiLyさん(以下、L) 前回、真実さんが還暦を迎えて決意したことを教えていただきました。
熊谷真実さん(以下、M) そうね。私は60歳になって「神様の役に立とう」と決めたんです。
L 「人の役に立とう」ではなくて、「神様の役に立とう」だったんですね。
M 前回話したとおりで、私は「便所の100ワット」という特性をもつ人間です(笑)。
L まぶしいほどのパワーを、あらゆる場所で発揮してしまうという意味でしたよね(笑)。
M そんな私が、「役に立ちたい」という気持ちを人に対して向けたならば、そこに200%のパワーを注いでしまうかもしれないなって思ったんです。
L わ! すごくよくわかる。私もエネルギー総量が生まれつき多いので、育児だけに全てを注いだら逆に子供に迷惑がかかる! と思って仕事を頑張ってるくらいがちょうどよいところがあるのでわかります。「便所の100ワット」レベルになると、それはもう危うさと紙一重かもしれません(笑)。
M そうです(笑)。だからこそ「神様の役に立とう」って。神様のために行動すれば、その思いは風通しよく循環して、どこか必要な場所へ運ばれるのではないかなと感じたんですね。
L わ! その考え、すごく素敵だし、ちょっと違うけれども、私がいつも提案している「神様ジャッジ」という思考に通じるものがあります!
M 素敵! 詳しく教えて。
L たとえば何かある願いがあったとして、80%までは必死に努力するけど、あとの20%は神様に委ねようっていう考え方のことです。人生の何もかもを自分でコントロールしたい、もしくはコントロールできると考えてしまうと、自分で自分の首を絞めることになる。人生は思い通りになるようにはできていないので、それってすごくキツいこと。なら、できることを精一杯やったならば、あとは神様ジャッジに任せようって。誰のせいでもないし、自分のせいでもない、残りは天に任せてしまえ! という。なんというか、人間である自分ごときを過信しすぎずに、一層上のレイヤーを信じることにしているんですよね。
M 「神様ジャッジ」。すっごくいい言葉ですね。
20%の余裕をもたせるとそこに感謝が生まれます――熊谷真実さん
L ちなみに真実さんが「神様の役に立ちたい」と考えるとき、思考のコツとか、行動のポイントってあるんですか?
M Lilyさんと同じく、全力投球はするけど、20%ほどの隙間や余裕を開けておく、ということかな。100%注ぐと自我が出てしまう。でも20%を残すと感謝が生まれるんです。
L さすが! 「100%は自我。20%残すと感謝」。これ、名言ですね!
M とはいえ「便所の100ワット」という人間ですからね。常に自分で自分に言い聞かせるようにしてますよ。
L そうやって行動するようになって、何か変わってきたことはありますか?
M 人生がいい方向へ運び始めたなっていう感覚があります。
L それはすごい! 結局、自分自身が実感したことって何よりも信じることができますよね。
M その通りです。私はコロナ禍で還暦を迎えたのですが、その頃に浜松に移住したんですよね。東京という場所を離れることは、最初はすごく不安でした。「現地で楽しく暮らせるのかな」「仕事はどうするんだろう」って。でも、それは杞憂に終わったんです。結果的に私は浜松で暮らすことで心身ともに生き返ったし、SNSだけは何か意味がある気がして続けてきたのですが、そこでの発信が仕事に繋がったりもしているんですよね。
L それは神様が「もう一度舞台に立つべきだよ」って引き上げてきたのかもしれないですね。
M 東京という場所への執着を手放して、Lilyさんのいう「神様ジャッジ」に委ねたのがよかったのかもしれない。誰の目にも見えないけれど、人には何かお役目というものがあるのかもしれないなって思いますね。
L 前回、真実さんは50歳でゼロスタートどころかマイナスからのリスタートを切ったという話がありましたよね。
M うんうん。今ではいい思い出(笑)。
L 実は私も今、リスタートを切っているという実感があるんです。作家としてデビューして以来ずっと連載を抱えていて、締め切りとともに過ごしてきたといっても過言ではないのですが、一度その連載に終止符を打つことにしたんです。
M それは大きな決断でしたね。
L 今、作家という肩書きに加えて、セクシャルウェルネスブランドをローンチして、起業家としての活動をスターさせました。自分にとってそれは、小さなライフシフトと言ってもいいものなんです。
M わ、興味深い。次回はゆっくりその話をしましょう。
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次回は10月23日公開予定!
第3話「愛と性と心について」
お楽しみに!
イラスト/ekore 構成・文/本庄真穂
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。