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2024.10.2

熊谷真実さんにとっての「センス」とは?|作家LiLy対談連載「生きるセンス Season.5」第1話

「年齢を重ねるって、どういうことですか?」 作家・LiLyさんが人生の先輩を訪ねて歩いた 人気連載『生きるセンス』がリニューアルスタート。 より楽しく、より自由に、より心地よく生きるべく、 人生のヒントをさらに深掘りしていきます。 第5回のゲストは、熊谷真実さん。還暦を迎えるときに決意したこととは?

 作家・LiLy × 今回のゲスト 熊谷真実さん

LiLyさん(以下、L) こんにちは、初めまして! 今日はよろしくお願いします。私は、真実さんの妹である松田美由紀さんと親しくさせていただいているんです。

熊谷真実さん(以下、M) うちの妹と! ありがとうございます。

L はい。真実さんがお書きになったお母様との『青空、ついて来い!』も美由紀さんが貸してくれて熟読しました。お母様は闘病中もとても明るくて、素晴らしい作品でした。

M わぁ、それはそれは本当にうれしいです。ありがとうございます。

L 本を読んで感じた真実さんとお母様のお人柄もそうですが、私は美由紀さんの天真爛漫な明るさが大好きで。でも、あるときそれを伝えると、美由紀さんは「ううん。実は私は自分のことを〝月〟だと思っているの。誰かに照らされることで輝ける存在」って。すごく驚きました。さらに「では〝太陽〟って誰かわかる?」って聞かれて。その答えが「私の姉なの。彼女は生まれながらのスターなのよ」と。

M ええー! そんな話をしたのね? どうしよう。泣けてきてしまう。

L はい。私も泣きそうになっちゃうんですが。そのときは、美由紀さん以上に天真爛漫で明るいって、どんな存在? と思っていたのですが(笑)、美由紀さんのシャンソンのライブを母と見に行ったときに、ゲストで登場された真実さんを見て大納得!「私たち昔っからモテモテよね〜」って真実さんが美由紀さんに語りかけながら踊っていて、面白いしかわいいしで笑っちゃって。母も物すごく元気をもらっていました。

M そんなに見ていただいていたとは! すごくうれしい。私は自分のことを「太陽」だなんて思ったことはないけれど、でももち前の明るさは自覚するようになって、その特性をこう呼んでいるの。「便所の100ワット」(笑)。

L え!(笑)。そのネーミング、センスありすぎです! 便所に100ワット…。えっと、必要ないときありますね(笑)。

M 照らさなくてもいい場所まで、無自覚に照らしてしまうのね(笑)。

L 面白すぎます! でもそのワット数って、生まれながらのものですよね。つまりは、才能。ならば何かの使命があるのでは? って思ってしまいます。

M いいことを言ってくれましたね。

L 私が真実さんから感じるのは年齢を重ねる過程でも決して弱ることのない内側から輝くオーラ!! そこにはその明るさが大きな要素のひとつとしてあると思うんです。

M ありがとう! 私はね、人間の本質は60歳を過ぎてからだと思っていて。還暦を迎えてからが本当のスタート。

L その話、ぜひ聞かせてください!

M 若いときは、いいことも悪いこともあっていいと思う。でも60歳を過ぎたら、自分の使命を決めた方がいい。「還暦=リボーン」とよく言うけれど、還暦を迎えたらもう一度生まれ変わるのだと思うの。ならば、何になるのか、それを決めた方がその後の人生がうまく行くような気がするのよね。

L なるほど…。私は今年43歳になる年なのですが、60歳の還暦までを逆算して、自分の使命を考えながら大切に生きなきゃって思いました。真実さんはどんな40代を過ごしていたのか、ぜひ教えてほしいです。

M 40代は、丸ごとその十年間を失っていた暗黒の時期でした。30代後半で母親を亡くして、ずっと母親っ子だった私は、人生の運転手を失った状態にあったんですね…。

L ドライバーのいない車…。

M 怖いでしょう。めちゃくちゃに暴走するか、突然プスンと動かなくなるか、そのどちらか。すごく不安定な時期だったと思います。母を失ったショックで思考停止してしまったのね。だから他人に騙されたり、と本当に大切な十年間を失ってしまいました。ただ、今思い返せば、必要な時間だったのだと思う。そこまでは周りの方がなんでもやってくれるような、いわゆる「女優」として生きていたから、暗黒の時期とは言ったけれど、そこで普通の人が生活の中でやる細かなことを初めて自分でやるようにもなったので学び深い時間でもありました。ただ、50歳になるときにハッとして、「このまま思考停止していてはいけない。自分で人生の舵をとろう」ってやっと思えたの。

L リスタートされたのですね。

M それもゼロスタートではなく、マイナスからのスタートという感じ(笑)。でも人生のハンドルを自分で握るようになって、前の夫との出会いがあったり、と少しずつエンジンが順調に回り始めたのよね。

L これらを笑顔で語ることができるのが、真実さんの強さですね。60歳になるとき、改めて決意したことはどんなことだったんですか?

M それこそが「神様のお役に立ちたい!」ということなの。

L わぁ、レベルが違う! もう下界でわちゃわちゃするのではなくて、もうひとつ上のレイヤーに上がるってことですよね。その話、深く聞かせてください!

 

真実さんの明るさにはある「使命」を感じます――LiLy

人は還暦を迎えたら一度生まれ変わるのだと思う――熊谷真実さん

還暦まで逆算して、何に生まれ変わるのかを考え続けたい――LiLy

60歳で私が決意したこと「神様の役に立ちたい」――熊谷真実さん

熊谷真実
俳優・タレント。映画、ドラマほか幅広い分野で活躍。2020年夏から静岡県浜松市に移住。’20年11月から「浜松市やらまいか大使」、’21年6月から「静岡県観光プロモーション 観光PRメッセンジャー」に就任。
Instagram:@mami_kumagai310
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LiLy
作家。1981年生まれ。神奈川県出身。N.Y.、フロリダでの海外生活を経て上智大学卒。25歳でデビューして以来、女性心理と時代を鋭く描き出す作風に定評がある。著書多数。今年ベッド内美容ブランド「Bedin」をローンチ。
Instagram:@lilylilylilycom

次回は10月16日公開予定!
第2話「神様の役に立つということ」
お楽しみに!

『美的GRAND』2024秋号掲載
イラスト/ekore 構成・文/本庄真穂

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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