30代から太りやすく、やせにくくなる理由とは…? 女医が解説!
20代の頃は、食べ過ぎちゃっても、次の日ごはんを軽くしたり、運動を頑張れば、すぐに元の体重に戻せてたのに…あれ、そういえば最近やせにくくなった? 30代から太りやすく、やせにくくなる理由を東京女子医科大学の木村容子先生に伺いました。
年齢と共に体は「陽から陰」へ、「実から虚」へと移行して、代謝が低下する
30代は燃やせる体から、ため込む体へ変化!
「漢方では、誰でも加齢によって体が“陽から陰”へ移行していくと考えられています。“陽”は新陳代謝が活発で、摂取したエネルギーがきちんと消化・燃焼れていく状態。反対に“陰”は代謝が低下して、余分な脂肪が体内にたまりやすい状態。体が“陰”に傾けば、当然、太りやすくやせにくくなります。さらに体質的にも、年齢と共に、エネルギーに満ちあふれた“実”の状態から、胃腸が弱くて疲れやすい“虚”の状態へと変わっていき、それもまた太りやすくなる要因です」と、東洋医学に詳しい東京女子医科大学の木村容子先生は話します。
そういった体の変化に気づき始めるのが30代。
「女性の体は7年周期で変化し、各機能のピークを迎えるのが28歳。その後、30代に入った頃から徐々に“陽から陰”“実から虚”へと移行し始めます。“以前と比べて太りやすくなった!?”と感じる人が増えてくるのはそのためです」
20代までの体は陽・実の状態
□ 基礎代謝が高い
□ エネルギーを消化・燃焼しやすい
□ 胃腸が丈夫
□ 体力がある
□ 体温が高い
30代からの体は陰・虚に傾く
□ 基礎代謝が低下する
□ 余分な脂肪や老廃物がたまりやすくなる
□ 胃腸が弱い
□ 体力が低下する
□ 体が冷えやすい
腎・肝・脾・の機能の乱れで加齢太りに
“腎虚”“肝うつ”“脾虚”が相まって太りやすく!
「漢方では、臓器やその機能を『五臓六腑』で表しますが、五臓の中の『腎』『肝』『脾』も、年齢による太りやすさを左右します」と木村先生。
「中でもベースとなるのが『腎』。腎は、心臓から送られてくる血液から余分な塩分や老廃物をろ過して尿として排泄するといった西洋医学でいう腎臓機能のほかにも、体を温める、ホルモンバランスを整えるなど、女性の美容や健康維持に深く関わっています。加齢によって腎の働きが衰え“腎虚”の状態になると、基礎代謝や水分代謝が低下して、体に余分な脂肪や老廃物をため込みやすくなります。この“腎虚太り”は、おなかやお尻、太ももなど下半身に脂肪がつきやすいのが特徴です。『肝』の働きは、自律神経のコントロール。肝が乱れて“肝うつ”になると、おなかがすいていないのに何か口に入れたくなったり、食べすぎてしまいがち。血行やエネルギーの巡りも悪くなり、太りやすくなります。しかも“肝うつ”によって、胃腸の消化機能を担う『脾』の働きも低下。“脾虚”によって体にエネルギーが不足すると、筋肉の衰えや代謝の悪化を招きます。思い当たるフシがあるのでは?」(木村先生)
五臓の働きとそれぞれの関係
自律神経と関係の深い「肝」がストレスなどでダメージを受けると、胃腸に当たる「脾」の働きが抑えられて、過食など食欲異常が起こりやすく、太りやすくなる。また、「脾」がバランスをくずすと「腎」の働きを抑制し、代謝の低下やエイジングを早める。このように五臓は相互に影響し合っている。
どの状態に当てはまる?
「30代以降の太りやすさは、代謝をつかさどる“腎”が“実から虚”に傾いて、脂肪を体にため込みやすくなることが大要因。さらに、自律神経をコントロールする“肝”や消化吸収機能を担う“脾”も“虚”に移行して、その太りやすさを助長します」(木村先生)
腎虚
□ 基礎代謝の低下
□ ホルモンバランスの乱れ
□ 冷えやすい
肝うつ(肝の働きの乱れ)
□ 自律神経の乱れ
□ 血流の低下
□ 気分のムラ
脾虚
□ 消化吸収機能の低下
□ エネルギー不足
□ 筋力の衰え
教えてくれたのは…
東京女子医科大学准教授 東洋医学研究所副所長 木村容子先生
きむらようこ/医学博士。お茶の水女子大学を卒業し、中央官庁に入庁。英国オックスフォード大学大学院に留学後、東海大学医学部に学士入学。’02年より現職。著書に『太りやすく、痩せにくくなったら読む本』(大和書房刊)
『美的』5月号掲載
イラスト/尾代ゆうこ 構成/つつみゆかり
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。