目指すべき体温は何 ℃?「低体温」は体や心にこんなリスクが!
家だけではなく店頭などで体温を測る機会が増えて、自分の体温の低さに驚いた経験がある人、多いのでは? 実は、「低すぎる体温」は将来にも関わる体や心の不調のサイン。専門家の先生方に低体温のリスクと改善ポイントを教えていただきました。
私、もしかして低体温?
体温が低すぎると、体や心にこんな冷えリスクが!
目指すは免疫力が高まる36.5〜37.0℃
低体温が慢性化するとトラブルが連鎖!
「一般的に、体内の酵素や免疫細胞などが活発に働くための最適体温は36・5~37℃。低すぎると、それらがうまく機能せず、全身に不調が生じやすくなります」と、明治国際医療大学の伊藤和憲先生。
「体温が下がると、心臓など生命維持に大切な中心部に熱を集めようと筋肉や血管は収縮します。そのため血流が低下して、熱や栄養を運ぶ血液が体のすみずみまで巡らず、手足の冷えや肌あれ、抜け毛など末梢トラブルに。脳も血液不足でぼ~っとしたり、落ち込んだり…。腸など消化器官の分解・吸収機能も低下して、便秘や下痢が頻発。また、体は熱をため込もうと皮下脂肪を増やし、太りやすくなることもあります」
婦人科医の丸山綾先生も、「低体温は、子宮や卵巣も冷えているサイン。月経痛や月経不順、不妊の一因になるので、改善が必要です」と警鐘を鳴らします。
低体温の改善ポイント!
【POINT1】 食事 で熱の材料を補給
「体内の熱の多くは筋肉によって作られるため、筋肉のもととなるたんぱく質が不足していると体温は上がりません。1日3食、たんぱく質をはじめ、ビタミンやミネラルなどもバランス良くとるのが体温UPの基本です。また、暑い季節でも胃腸を冷やすのはNG。冷たい飲み物や生野菜などのとりすぎは要注意です」(婦人科医 丸山 綾先生)
「寒い季節や寒冷地域でとれる食材、土の中で育つ根菜類、発酵食品などは体を温めます。夏野菜など体を冷やすものは、しょうがやにんにくなどの香辛料と一緒にとればOK!」(鍼灸学博士 伊藤和憲先生)
体を温める食べ物は
・たんぱく質
・根菜類
・寒い地域でとれる食材
・冬が旬の食材
・発酵食品
・香辛料
など
\たんぱく質をしっかりとれる朝食を!/
写真は丸山先生のある日の朝食。
「豚肉、卵、納豆、ヨーグルトとたんぱく質がたっぷりで、しっかり熱産生できます」(丸山先生)
【POINT2】 運動 で筋肉量を増やす
「体を車に例えると、食事(腸)がガソリン、筋肉がエンジン、脳(自律神経)がアクセルです。体温を上げるため、ガソリンを燃やすエンジン、つまり筋肉量を増やし、質を高める必要があります。ちなみに、筋肉の材料となるたんぱく質をどんなにたくさんとっても、運動しなければ筋肉は増えません。筋肉を増やす運動は、体の中心を支える体幹や、筋肉の占める割合が多い下半身を中心に鍛えるのが効果的。単に歩くだけでも運動になりますが、適度に負荷をかける動きの方が、効率良く筋肉量を増やせます」(伊藤先生)
\鍛えるべきは体幹&下半身/
【POINT3】 ストレスケア で自律神経を整える
「体温は、自律神経によってコントロールされています。ストレスなどで自律神経が乱れると、その機能が低下して、体温が上がりづらくなるのです。コロナ禍で低体温人口が増えているのは、運動不足だけでなく、ストレス過多にも原因がありそうです。ストレスが強くかかると、リラックスモードの副交感神経よりも、緊張・興奮モードの交感神経が優位な状態が長くなり、自律神経のバランスがくずれます。好きな香りをかぐ、音楽を聴く、美しいものを眺める、ハーブティーを飲むなど、五感が喜ぶストレスケアで、自律神経を整えましょう」(伊藤先生)
『美的』2022年7月号掲載
イラスト/土井ラブ平、リバー・リー(Softdesign) 構成/つつみゆかり、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
いとうかずのり/鍼灸学博士。「養生」をテーマに心身のセルフケアを指導。https://good-health-comms.jp