「大人の頭皮マッサージにはリフトアップを組み合わせて」 ラ・カスタ 細川ひろ子さんに聞く頭皮マッサージの極意
美髪を育てるために大切な頭皮ケア。その極意を、ラ・カスタ ヘッドセラピー ヒーリングスパのオフィシャル ヘッドセラピスト、細川ひろ子さんにうかがいました。
リフトアップ、朝夜のブラッシング、頭皮用化粧水など、大人の頭皮にぴったりなセルフケア方法を詳細解説
美しい髪を育むためには、頭皮の環境を整えて良好な状態にすること。そのアプローチのひとつに、頭皮の血流をアップさせることが挙げられます。
体の血流をよくする方法としては筋肉量を増加させるなどがありますが、頭皮の血行促進は、ずばり頭皮マッサージ。
『美的GRAND』2023年冬号のヘア特集「スキンケア発想の頭皮ケアが大人美髪を復活させる!」にて、「ラ・カスタ」のオフィシャル ヘッドセラピスト・細川ひろ子さんに効果的な頭皮マッサージ方法を教えていただきましたが、誌面で紹介しきれなかった美髪のヒントがまだまだたくさん! ここにその極意を紹介します。
頭皮マッサージをすることでコリがほぐれやすくなり脳疲労を軽減する効果が
「頭蓋は23個の骨が組み合わさってできており、そのつなぎ目がずれたときに不調が現れやすいようです。そのつなぎ目に多く点在しているツボを押したり、頭皮の筋肉をマッサージするとほぐれやすくなります。そうすることで頭皮の血流やリンパの流れがよくなって酸素や栄養素が頭に行き渡り、脳が活性化され心身の調子は整ってきます」
頭の筋肉のコリは動かして柔らかくし、帽状腱膜のハリは引き上げるように動かしてたるみを防止
「前頭筋・側頭筋・後頭筋という頭の筋肉は、頭皮マッサージで柔らかくなります。頭頂部にある帽状腱膜がたるんでくるとおでこのシワにつながるので、サロンではリフトアップに効果的な施術をおこなっています。セルフマッサージでもその点を意識しながらケアをするのが効果的です。
頭皮マッサージは、血行がよくなっているシャンプー時やお風呂上がりにおこなうと効率が良いうえに、効果もアップ。実は、1日のうちで頭皮を触っている時間はシャンプーのときくらい。そのため、シャンプー時に泡の弾力を利用しながらマッサージをすると摩擦も少なく、おすすめです。一方、お風呂上がりの頭皮マッサージのメリットは頭皮が捉えやすいということ。シャンプー時またはお風呂上がり、どちらでも、やりやすい方で大丈夫です」
大人の頭皮マッサージはリフトアップと組み合わせるのがおすすめ!
「血行を促すだけなら普通のマッサージでいいのですが、たるみが気になる大人の頭皮マッサージは、目尻や口角、フェイスラインが上がっていることを確認しながらやるとリフトアップ効果もかないます。できれば鏡を見ながら、表情が変わるまで引き上げて! 頭皮全部をつむじに持ってくるイメージで行うといいですよ。
先に首や鎖骨などのリンパマッサージをして詰まりを軽く緩めてから、頭皮マッサージをする方が全身の巡りがよくなります。そして、マッサージをするときは余韻を残すことが大事。力はしっかり、タッチはやさしく、ゆっくり、丁寧におこなうことで滞っていた血液がじんわりと流れ出してそれが血行促進になるとともに、その気持ちよさがリラックス効果につながります。
セルフマッサージをすると、手が疲れてしまうという人がいます。それは手でマッサージを行なっているから。頭皮に指を置いたら手に力を入れるのではなく、腕の筋肉も上手に使えると疲れにくいです」
ブラッシングの習慣化が健やかな頭皮と髪の生育につながる
「ブラッシングは、手軽に頭皮マッサージができるケア方法です。できたら朝晩2回取り入れてみてください。夜のブラッシングは頭皮の血行促進。クッション性があって毛の先端がとがっていないブラシで頭皮をしっかりブラッシングしましょう。朝のブラッシングは髪のツヤ出し。獣毛ブラシで根元から毛先まで、内側も外側も10回程とかすと髪にツヤが出ます。キューティクルを整えるとともに、獣毛に含まれる油分が髪表面に吸着するためです。猪の毛は豚の毛より硬くて髪の毛をキャッチする力が強く油分も多いので、豚毛より価格はやや高めですがツヤ感が減少する大人世代はぜひ猪毛を使っていただきたいです」
大人の頭皮の状態は乾燥傾向。頭皮用の保湿化粧水を上手に使って
「大人世代の頭皮を見ると、乾燥している人が多いです。髪が密集した後頭部は汗をかきやすく、それが乾くときに水分を奪うため乾燥して、フケやかゆみに。そのままにしておくと頭皮環境が悪化し、髪やせや抜け毛、うねりなど、髪の毛に影響が出てきます。その状態を予防するために頭皮用化粧水が大切です。お風呂上がりに頭皮全体になじませ、乾燥が気になる部分は多めに塗布してしっかり保湿しましょう。日焼けも頭皮の乾燥につながるので、夏の使用も大事です。
与えること(化粧水)に意識がいきがちですが、フェイスケア同様に、汚れがきちんと落ちていないと効果は半減。ドライヤー時の頭皮のにおいや、ベタつきが気になる人は、頭皮クレンジングをして毛穴がキレイになった状態に化粧水を重ねると、浸透度が高まり頭皮環境が整います」
写真/Getty Images 構成・文/斉藤裕子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
毛髪診断認定指導講師、毛髪技能士、美容師、管理美容師。
都内ヘアサロンに勤務後、単身渡仏。欧州の高い美容感性・知識を習得しパリコレクションを経験、帰国。現在は、ラ・カスタ 銀座本店でメインセラピストを務めながら、イベントやテレビ出演、NHKセミナーなど幅広く活躍。専属技術インストラクターとしての技術指導、専門知識の提供もおこなう。著書に『解決! 大人の髪のSOS』(講談社)