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2023.5.12

松本千登世さん新刊『顔は言葉でできている!』のやさしく美しい視点【三井三奈子「50代からの美容アップデート」vol.11】

コロナによる行動制限から解き放たれた今、あまのじゃくな私は「さあ、外へ!」とはならず、「今年はアナログ読書を増やしていこう」と決意新たに内向き宣言。まずは「読みたいリスト」の中の1冊であった『顔は言葉でできている!』を読んでみました。著者は美容エディターであり、ビューティエッセイストの松本千登世さんです。たったひとことでも、思いやりにあふれていたり、誰かに元気を与えたり、忘れられない言葉となって心に残ったり。その言葉をかけたほうも、受け取ったほうも、顔や態度に美しさとなって必ず表れる。言葉が持つパワーを紹介したこの本は、世の全女性にお勧めしたい1冊です。【三井三奈子「50代からの美容アップデート」vol.11】

やさしいまなざしとまっすぐな思考と生き方。人を美しく見せるのはこの3つ


見開きで1話ずつ。毎話、900文字に込められたエピソードは、決して特別ではない、どこにでも、誰にでもある日常のおはなし。そこから松本さんが感じたことを「ああ、こういう解釈もあるのね」「こういうふうに捉えられたらいやなことも楽しくなりそう」と、ページをめくるたびに幸せな気持ちになったり、思わず涙したり。

全編通して松本さんが唱えているのは、「口にする言葉や会話がその人の美しさをつくっている」ということ。
スキンケアやメイクも大事だけど、プラスして言霊を味方にしたら、もっと素敵になれるかもしれない。そう思わざるをえない読後感でした。

松本さんとは、美的GRAND巻頭連載『このコスメが、すごい!』で毎号ご一緒しているのですが、いつも思うのは彼女の発する言葉の美しさとやさしさ。
せっかちで始終イライラしがちな私は、「こういうとき、松本さんならどんな言い方、伝え方をするだろうか」と心の中で問うことが多々あり、こうありたい、こうなりたいというロールモデルであります。

読者の皆さんも、直接お会いしたことはなくとも誌面やインスタライブなどで松本さんの姿をご覧になっているかたは多いと思います。松本さんは、奥ゆかしく楚々とした雰囲気をまとっていますが、決しておとなしいというわけではなく、おしゃべりな私よりもむしろおはなし好きなのでは?と思うくらい。つまり「人好き」なんです。

文中、何度か「新聞の読者投稿欄」に関するおはなしが出てきます。
このコーナーが好きな人は、「みんなはどう考えているのか」、「いま、話題になっている事象に対してどう思ったのか」、人の気持ちと心の動き、そして社会にとても関心が高い人、というのが私の勝手な推測です。やっぱり、松本さんは「人好き」なんです。

美容エディターとして名が知れた彼女は、インタビュー原稿の名手でもあります。
有名無名に関わらず、取材対象者の魅力や本当に言いたいことを読者に伝えるには、書き手はいい聞き手であるのが絶対条件。会話の行間から「本当のその人」を引き出す術をよく知っている。それは「人好き」ではないとできないことです。

「人好き」「世の動きに敏感」な一方で、決して一過性のブームに流されない人であり、しっかりと自分を持った人でもあります。

本には書いてありませんが、一切SNSをしていないこと。PCやスマートフォンはずっと日本ブランドなこと。カフェラテではなくカフェオレが好きなこと。

以前、「私、気付いちゃいました」とばかりに得意げに「松本さんって……」とそのことをお伝えしたことがあります。「ふふふ。たまたまですよ」と煙に巻かれてしまいましたが。

声高に主張しない。でも心に秘めた「決めごと」がある松本さんの考えていることが凝縮されていて、1話読むたびに、私も今日から真似してみようと思ったり、主人公を自分に置き換えてみたり。すべて受け止めることができたなら、「今日はきちんと生きられた」と納得がいく日々が送れそうです。

本当の美しさとは、人と社会との先にあるべき「やさしさ」からつくられるものなのではないか。
なんだか壮大な話ですが、そんなことを考えさせられました。

IT技術が発達して、いくら「AIが何でもやってくれるんです」となっても、
人にしかできないことはある。
人と人を体温をもってつないだり、人と人との心を通わせることは、なかなかAIではできません。

松本さんは言います。
「思いはできるだけ言葉できちんと表すこと」。
これからはもっともっとこのことが大事になる時代がくる。
そう思いました。

何か所か「カフェオレ」という単語が出てきます。「カフェラテ」ブームの昨今、「カフェオレ」党の私は肩身が狭く思っていたのですが、仲間だ!と勝手に親近感。学生時代からのお気に入り、東京・渋谷のコーヒー専門店「茶亭 羽當(ちゃてい はとう)」@hatou_coffee_shibuya にて、カフェオレと一緒に。ブルーボトルコーヒーのCEO ジェームス・フリーマン氏も羽當のコーヒーに惚れ込んだ、コーヒー好きが集うお店です。

松本千登世『顔は言葉でできている!』(講談社刊)¥1,540

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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