大高博幸さんの 肌・心 塾
2019.4.16

『 魂のゆくえ 』『 ある少年の告白 』『 ねじれた家 』 試写室便り【 大高博幸さんの 肌・心塾 Vol.497 】

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© Ferrocyanide, Inc. 2017. All Rights Reserved.

傷ついた心、聖なる願い、静かなる怒り。

巨匠 ポール・シュレイダーが 構想 50 年の末に完成させた〝 いま 〟を射抜く渾身作!

魂のゆくえ
アメリカ/ 113 分
4.12 より公開中/配給:トランスフォーマー
www.transformer/m/tamashii-film

【 STORY 】 トラー ( イーサン・ホーク ) は、ニューヨーク州北部の小さな教会「 ファースト・リフォームド 」の牧師。ある日、ミサに来た若い女性 メアリー ( アマンダ・セイフライド ) から、環境活動家の夫 マイケルが 思い悩んでいるので 相談に乗ってほしいと頼まれる。仕方なく出向いたメアリーの家で、マイケルが 地球の未来に思い悩むあまり、メアリーの お腹の子を産むのに 反対していることを知る。必死に説得を始めるトラーだが、心の底では マイケルに共感し、自分の説明に 納得できない もうひとりの自分がいる。一方、彼は 自分の所属する教会が、環境汚染の原因を作る大企業から 巨額の支援を受けていることを知る。本当の正義とは 一体 何なのか。トラーの信仰心は 徐々に揺らぎはじめ、やがて 怒りにも似た感情が 彼を蝕んでいく…。( プレス資料より。一部省略 )

イラク戦争で命を落とした 息子への罪悪感に 嘖まれながら暮らしている牧師が、彼の所属する教会が 社会的問題を抱えているコトに気づき、徐々に諦念と憤怒に心を乱されていく姿を 衝撃的に描いたヒューマンドラマ。監督・脚本は『 タクシードライバー 』などの脚本家として知られ、監督としても『 アメリカン・ジゴロ 』など 映画史に残る作品を生み出してきた 巨匠 P・シュレイダー。

これは シリアスな問題作であり、率直に言うと少々しんどい内容です。しかし、牧師としての立場に思い悩み、狂気の淵へと追い込まれていく主人公の複雑な心理には、強い共感を覚えるものがあります。加えて、環境汚染問題の象徴的人物として登場する バルク社トップの不遜な態度・傲慢さを 客観的に観察するコトは、今の時代を生きる人間として 重要不可欠だとも感じました。

作品としては 比較的 地味な印象ですが、全米の本格的な映画祭で、脚本賞と主演男優賞等を 少くとも合計 59 以上 受賞…。アカデミー賞®では オスカーこそ逃したものの、脚本賞ノミネートを果たしています。
トラー役の E・ホークは、適役を得て入魂の演技。メアリー役の A・セイフライドも好演していますが、適役か 否かは ?マーク ( 彼女以外に最適な女優が、他に いたはずだと感じました ) 。( 3.29 記 )

 

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(C)2018 UNERASED FILM, INC.

僕は、僕でしか いられない ―― 。
全米が慟哭し、胸震わせた衝撃の< 実話 > 。

ある少年の告白
アメリカ/ 115 分/ PG 12
4.19 公開/配給:ビターズ・エンド、パルコ
www.boy-erased.jp

【 STORY 】 アメリカの田舎町。牧師の父 ( ラッセル・クロウ ) と母 ( ニコール・キッドマン ) の ひとり息子として、何不自由なく育った 大学生のジャレッド ( ルーカス・ヘッジズ ) 。彼は ある出来事をきっかけに、自分は 男性が好きだと気づく。しかし、息子の告白を受け止めきれない両親が勧めたのは、同性愛を〝 治す 〟という転向療法への参加だった。ジャレッドは参加を決意するが、< 口外禁止 >だというプログラムの内容は驚くべきものだった。自らを偽って生きることを強いる施設に疑問と怒りを感じ、ある行動を起こす ―― 。( 試写招待状より。一部省略 )

原作は 2016 年に発表され、N Y タイムズ紙のベストセラーに選出されるなど、全米で大きな反響を呼んだ ガラルド・コンリー ( 1985 年生まれ ) の実話 = 19 歳の時に参加した 矯正治療プログラムの実体験の回想録。
監督・脚本の ジョエル・エドガートンは、「 矯正セラピーの有害さについて 世間に知らしめること、彼 ( G・コンリー ) の個人的な物語が持っている正当な価値を スクリーンに映すこと 」を意図したと述べています。

時代設定について何も知らずに試写を観た僕は、H P が画面に登場しなければ、この 2004 年から始まる映画を、1970 年前後の物語だと思い込むところでした。また、かつて『 カッコーの巣の上で 』や『 女優 フランシス 』を観た時、性格 or 性向を矯正するロボトミー手術に 眠れないほどの憤りを感じた記憶が蘇えると共に、それと共通する要素を持つ本作中の矯正セラピーが、現在でも米国の多くの州で合法とされているという事実に驚かされました。実際は インチキ商売である上に 有害と見なされた療法が、今なお 罷り通っているとは! しかし、矯正セラピーの実態に気づいたジャレッドの両親が、息子を施設から救い出し、彼の性的指向を認めようとするに至る展開には希望があります。誰だって皆、できるコトならば、自分を偽って生きていくなんて御免ですよね。

ジャレッド役を繊細に演じたのは、本作が 初主演となる L・ヘッジズ ( 『 マンチェスター・バイ・ザ・シー 』( Vol.393 ) でアカデミー賞®助演男優賞にノミネート) 。N・キッドマンは、女優として中途半端と言える時期から 完全に脱出した印象。牧師の妻としては ファッショナブルすぎる感はあるものの、母親役が 板についてきています。
ジャレッドを犯そうとして失敗する青年役で ジョー・アルウィン ( Vol.491 など ) が 出演していますが、人気上昇中の今、この役のオファーは 受けるべきでは なかったのでは? 今回は 顔がヤツレて精気がなく、少年や若い男子を食い物にする役の雰囲気は よく出ているものの、それだけに 彼のファンにとっては イメージダウンとなりそうです。( 2.23 記 )

 

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© 2017 Crooked House Productions Ltd.

華麗なる一族の大富豪が 毒殺された。
残されたのは〝 心のねじれた 〟家族と
巨額の遺産。

アガサ・クリスティー
ねじれた家
イギリス/ 115 分
4.19 公開/配給:KADOKAWA

【 STORY 】 巨万の富を築き上げた 大富豪 レオニデスが 毒殺された。私立探偵 チャールズ ( マックス・アイアンズ ) は、レオニデスの孫娘で 元恋人のソフィアから捜査を依頼される。広大な屋敷に到着すると 一族が 勢ぞろいし、遺産をめぐって 疑惑と嫉妬、敵意と憎しみを ぶつけ合っていた。愛人のいるらしい若い後妻、映画製作の資金が欲しい長男、父から継いだ会社が 倒産寸前の次男、亡き前妻の姉で〝 大伯母 〟として一族を取り仕切るイーディス ( グレン・クローズ ) 。真相に近づいたと思われた時、第 2 の殺人が 起きる ―― 。( プレス資料より抜粋 )

英国の田園に そびえ立つ、荘麗な屋敷に繰り展げられる ダークなミステリー。
ミスター・ポワロや ミス・メープルは登場しませんが、原作は A・クリスティー自身が「 私の最高傑作 」と語ったコトのある、1949 年 ( 日本の元号で言うと 昭和 24 年 ) 発表の同名の小説。その初の映画化に挑んだのは、アカデミー賞®受賞脚本家 × 『 サラの鍵 』( 通信 78 ) の監督 × 名女優 G・クローズ ( Vol.485 など ) 。

探偵が屋敷に到着した後は 一族全員との会話のシーンが中心となるものの、導入部の とびきりスマートな展開と、ラストの 一種のどんでん返しが 非常にエキサイティング。
一族全員に 殺害の動機があり、その謎解きに絡む、すり替えられたインスリンの注射器、モグラ退治の毒薬、署名のない遺言書、観察好きの幼い孫娘の日記帳といった小道具が、ミステリー好きの皆さんを 大いに刺激し、惑わせてくれるはず。

『 天才作家の妻 』で ゴールデン・グローブ賞に輝いた G・クローズは、ゴージャスかつエレガントな衣裳、ヘア & メイク、そして表情が、これぞ 洗練された大人の女性という雰囲気。
加えて女優陣が、その時代ならではの シック・マットな赤い口紅 + ネイルエナメルで キメているところにも注目を。それが 現代的に進化した形で、再び大流行しているコトは 周知のとおり。

この映画を観に行く時は、最高にラグジュアリーな ゲランの新マットルージュと、ハイスタンダードな レブロンのエナメルを塗って、レオニデス邸に乗り込む気分を楽しんでは いかゞ? ( 4.4 記 )

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ゲラン ルージュ ジェ マット リフィル No.26 ¥3,700 ( 本体価格 )
ゲラン ルージュ ジェ ケース インペリアル ルージュ ¥2,700 ( 本体価格 )
レブロン ネイルエナメル 680 レブロン レッド ¥700 ( 本体価格 )
レブロン ネイルエナメル 721 レイブン レッド ¥700 ( 本体価格 )

エナメルは、2 色を重ね塗りすると、リッチな深みが生まれます。どちらを先に塗るかによってニュアンスも変わるので、プレイフル & エキサイティング!

 

 

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biteki-m@shogakukan.co.jp
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ビューティ エキスパート
大高 博幸
1948年生まれ。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸さんの 肌・心塾
http://biteki.com/beauty-column/ootakahiroyuki

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