大高博幸の美的.com通信(82) 冬休みに僕がまとめてするコト
したくても普段はなかなかできないコトって、いろいろありますよね。本当はしたいけど普段はしないほうがいいってコトも。僕は冬休みには、「したいけど普段はガマンしているコト」を思う存分楽しみます。
それは、DVDをまとめて観るコト、CDをまとめて聴くコト、です。
DVD…、コレはすべて映画ですが、僕には気になる部分を何度もリプレイして観る&スローや静止状態にして繰り返し観るというヘンな癖があります。そこに没頭してしまい、気づくと夜が明けていたってコトも度々で…。But、それでは翌日の予定に悪影響が出るので、「今はしてはいけない」って自分に言い聞かせるようになりました。
先日も『英国王のスピーチ』(2011年2月4日配信・通信(47)で紹介)のDVDを知人のMさんからプレゼントされ、あの感動を再びと観始めたら、たちまちリプレイ癖が始まったので、「冬休みまでお預け!」にしたばかり。
特に熱中してしまうのは予告編付きのDVD。予告編にはロケ風景が挿入されていたり、重要なシーンを本篇とは少し変えた形で撮影し、一瞬の間に物語のシチュエーション・設定・登場人物の境遇や心理状態を凝縮して示すようなカットに、強烈な発見があるからです。それを本篇の本番と比較して観る…。コレは僕にとっては最高の楽しみのひとつ。
たとえば松竹映画『ゼロの焦点』(2009年11月30日配信・通信(5)で紹介)…。本篇では車中での女優二人(高千穂ひづるさんと有馬稲子さん)のやりとりが、予告編ではたしか断崖の橋の上で演じられている…。同じく『張込み』の予告編では、人気のない道を大雨の中、刑事役の大木実さんが張込み相手(高峰秀子さん)を尾行する様子を、大勢の見物人+ホースで雨を降らす裏方さん+移動レールの上を走るキャメラの向こうに捉えている…。そして“撮影快調!”とか“近日堂々公開!”といった文字が画面にドーンと表れる…。観客は「コレも見逃せないっ!」となるから、映画会社の思うツボ。最近知った話ですが、予告編は本篇とはベツに、助監督さんが腕試し的に撮るケースもあったとか。
長くなりますが…、一方、本篇には採用されなかったサブ的なカットが予告編の編集に使われるコトは多々あったようで、俳優さんたちの動きや表情が本篇とは微妙に異なるカットを発見できたりするのもDVDならではのお楽しみ。
一例として、東宝シネマスコープ第1作『大当り三色娘』の中の夢の場面…、N.Y.ウエストサイドのスラム街のようなセットで、当時20歳の雪村いづみさんが『ビ・バップ・ア・ルーラ』を披露する場面では、壊れた柵の隙間を、歌いながら、くぐって、またいで登場するという複雑な動きの僅か1秒以内のズレを、ちょっとしたポーズ&表情を加えて振り付けのタイミングと合わせているコトに気づき、非常に驚かされました。「映画とは偶然完全の芸術だ」と言った名優がいましたが、コレも正しくその好例。
こんな研究(?)も、冬休みなら思う存分できるというワケです。
CD…。今年まとめて聴くために用意したその1は、『NHK 日曜名作座 藤沢周平傑作選』。コレは何十年も続いたラジオの人気番組をCD化したモノで、出演者は俳優の森繁久彌さんと声優の加藤道子さんの二人だけ。ドラマに登場する男の役はすべて森繁さん、女の役はすべて加藤さんが演じています。声の色・口調・テンポなどで、善人も悪人も、少女も娘もお婆さんも、ありとあらゆるキャラクターを二人だけで表現する…。それが実に実に素晴らしい。音楽と効果音の見事さも手伝って、その場面が脳裏にくっきりと浮かび上がってくるのです。
その2は、『松平定知朗読『サライ』が選んだ名作集』の全5巻。数年前までNHKテレビ『その時歴史は動いた』などにキャスターとして出演していた松平さんには、ブラウン管に向かって乗り出してくるような迫力があり、僕は少し引き気味に見ていたのですが、現在毎週月曜に連続放送中のラジオ深夜便『海鳴り』(藤沢周平原作)の朗読を聴いてから、すっかり彼のファンになりました。想像力をかき立てる語り口調で、特に間の取り方が絶妙。うっとりと聴き惚れてしまうほどです。
そんな彼の朗読CDが発売されたと知って、早速入手しました(現在、第3巻までが発売中。第4巻は来年1月に、第5巻は2月に発売の予定)。
CDを聴くのは夜、居間orバスタブorベッドの中で。どちらも、その後は心地よく眠れるというオマケつき(不思議ですがコレは事実。聴いているだけで脳の機能も向上すると、有名な博士や教授がおっしゃっています)。
次は、「まとめてしなくてはいけないコト」。
かなり面倒、But、しないで放っておくとストレスになるし、してしまえばスッキリできる作業です。
片づけ…。今年は“浄化”の一年と決めてガンバってきましたが、それでも溜まってしまった資料etcは、昼間のうちに分別処理。
住所録のリニューアル…。届いた賀状と見比べながら、セッセと整理(みんな、あんまり引っ越しはしないでよね、ブツブツ)。
靴の修理…。と言っても、イッキにまとめて修理屋さんに持っていくだけ。
奥さん(妻です)には、お年玉として料理本を。プレゼントするのは、『君島十和子の「食べるコスメ」』、宮沢うららさんの『からだにやさしいヘルシースイーツ』全4巻。コレで一層おいしい美的食生活を確保。今まで以上に仲良く健康に暮らせそう❤
それから、それから…、Oh、冬休みもやっぱり“A LOT OF LIVING TO DO”ですね(笑)。でも、生かされている以上、するコトが山ほどあるって、やっぱりハッピー❤
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。