YOUさんと語る「自分自身のプロになるために」|作家LiLyの対談連載「生きるセンス Season.8」第4話
「年齢を重ねるって、どういうことですか?」作家・LiLyさんが人生の先輩を訪ねて歩いた人気連載『生きるセンス』がwebへとお引越し。より楽しく、より自由に、より心地よく生きるべく、人生のヒントをさらに深掘りしていきます。今回はゲストにYOUさんをお迎えします。
第1話▶▶YOUさんと語る「40代、笑い止まらないよ」
第2話▶▶YOUさんと語る「目の前の波をどう乗りこなすのか」
第3話▶▶YOUさんと語る「ジェンダーミックスこそが最高だ」
自分という生き物の最高の操縦士になりたい――LiLyさん
LiLyさん(以下、L) 前回、YOUさんはどの自分をどれぐらい出すのか、相手によって自在に変えるという話をしました。
YOUさん(以下、Y) LiLyちゃんがそれをサーファーのようだと表現してくれた。
L それもプロサーファーですよね。想像するに、おそらく好みの人が目の前に現れたとして、なかなかの成功率を誇っていると思うんですよ。
Y もちろん失敗したこともございますよ。でもそれはそれで仕方のないこと。違ったんだな〜と思って、次に行く。もしくは別の自分を出してまたアプローチする。それだけ。
L そのスタンスは、恋人同士になって落ち着いた関係になったらどうなるのでしょう。
Y 実はこういう人だと思っていたけど、意外と違う部分もあるなと感じたら、途中でアプローチを変えること、あります。だから長く付き合った人はこう言うよね。「何を考えているのかわからない」って。
L 確かにそうなる! ちなみに、この人と離れたいなと思ったら、どうするのですか?
Y 相手が好まない自分を出すようにして、少しずつ距離をとっていく、かな。
L YOUさんは自分という生き物の最高の操縦士なんだと思います。
私は自意識過剰、YOUさんは無意識過剰――LiLyさん
Y 人は誰しも自分を乗りこなす必要があるわけで、その技術が上がれば上がるほど生きやすくなると思う。たとえばテンションが上がる現場もあれば、気乗りしない食事会もあるよね。話すほどに理解が深まる人もいれば、意思疎通が難しい人だっている。それはどんな環境に生きている人でも、共通して経験することだと思うから。
L めちゃ同意。TPOと相手によって自分を操縦することは、誰にとっても必要なこと。ただときどき、その操縦が上手になりすぎて、寂しさを覚えることはないですか?
Y 寂しさを覚える?
L 操縦テクニックが上がってしまうことで、先ほど話した〝神様ジャッジ〟のような出来事をが起こっても器用に乗りこなしてしまうのは、少し寂しいなと思うところもあって。
Y え、そうなの? 無意識にやっていることだから、そんなふうに感じたことがなかった!
L 今またYOUさんのことが少しわかった気がします。私がずっと自意識過剰で生きてきたからよくわかるんですけど、YOUさんの場合は〝無意識過剰〟ですね(笑)。私が息子を見ていて思うのが、男の子って本当に〝無意識過剰〟。やっぱりYOUさんはジェンダーミックスの人だなぁ。
揺れる自分を乗りこなす。それが40代の醍醐味――YOU
Y 確かにあまり物事を深く考え込みすぎない性質なのかもしれない。あれこれ悩む前に、どのプランを全うすれば最速でゴールへ辿り着くのかを考えて、それを遂行するのが好きだし、向いているんだと思う。
L そのあたりはやっぱりリアリストですよね。
Y もともとが現実主義だし、年齢を重ねてさらにその特性が磨かれているんだと思う。
L それこそが「自分自身のプロになる」ということだと思います。
Y 先ほどLiLyちゃんが語った「操縦が上手くなりすぎると寂しさを覚える」というのも、すごくセンシュアルで素敵だと思う。
L なんか上手にできすぎる自分ってすごくつまらないって思っちゃうんですよね。でもだからこそ、常に自分自身はフラットにしておいて、勝手に女の部分を引き出されちゃった人にだけ恋をしたいし、自作自演みたいな茶番は人生からなるべく排除していきたいです。自分の思い通りにするって世界でいちばんロマンチックじゃないので!(笑)
Y そんなふうに揺れる自分も楽しみつつ、自分の操縦術も確立していけるのが40代。女性として最高に輝く年代を楽しんでほしいな。
L 素敵なYOUさんに言われるとすごく自信になる。今この年代を満喫していきます♡


Instagram:@lilylilylilycom
イラスト/ekore 構成・文/本庄真穂
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