お悩み別ケア
2023.7.7

アセチルヒアルロン酸Na|化粧品としての効果は?【美容成分大全】

ヒアルロン酸にはいくつか種類があり、アセチルヒアルロン酸Naは「高保湿タイプ」であることが特徴です。油とのなじみやすさを加えることで、保水力が高くなります。日本化粧品検定協会が美容成分をくわしく解説する【美容成分大全】。成分を正しく理解して、コスメ選びの参考に!

プロフィール

成分名 アセチルヒアルロン酸Na
表示名称 アセチルヒアルロン酸Na(医薬部外品の表示名称:アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム)
主な配合アイテム スキンケア、メイクアップ、UVケア、ボディケア
成分のはたらき 保湿、角質柔軟化
医薬部外品としての効能効果

どんな「効果・働き」があるの?

  • 保湿力を高める
  • 余分な角質をやわらかくする

保湿力を高める

アセチルヒアルロン酸Naは、古くから使用されているヒアルロン酸Naの保湿性をアップしたもので、いくつか種類があるヒアルロン酸の中で「高保湿タイプ」の成分です。分子が大きいため、肌につけると角層内に浸透しにくく肌の表面にとどまり、たくさんの水分と結びついてかかえこみます。その結果、肌の水分量が高まり、乾燥を防ぎます。

肌の乾燥は、紫外線、加齢、冬場や夏場のエアコンなど外気の乾燥などが原因で、きめが乱れたり、肌がくすんで見えたり、乾燥小ジワがあらわれたり、化粧のりが悪くなったりします。さらに肌の乾燥状態が続くとバリア機能が低下し、肌が敏感になることもあります。

アセチルヒアルロン酸Naなどの“水分をかかえこむ”タイプの保湿成分は、外気の湿度が下がっても影響を受けにくいのが特徴です。

余分な角質をやわらかくする

ヒアルロン酸にはさまざまなタイプの成分がありますが、アセチルヒアルロン酸Naは、ヒアルロン酸Naよりも少し親油性(油へのなじみやすさ)が高く、両親媒性(親水性+親油性)を示します。

ヒアルロン酸Naよりも肌の表面に対する吸着性や親和性が向上したことで、角質の表面に効率的にとどまり、その結果として角層内部から蒸発してくる水分をより多くかかえこみ、角質をやわらかくする作用があると考えられています。

美容賢者からの「アドバイス」

日本化粧品検定協会代表理事

小西 さやか


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ヒアルロン酸は数種類を組み合わせて使用することも多い

ヒアルロン酸にはいくつか種類があり、種類によって肌への働きや使用感が異なります。いくつかのタイプを組み合わせて使用することで、各社最適な保湿感や使用感をつくり出しています。

エタノールにも溶けるから、さっぱりとした使用感のアイテムにも

両親媒性でエタノールにも溶けるアセチルヒアルロン酸Naは、ぬめりがなく、さっぱりとした使用感のアイテムにも、ヒアルロン酸が配合できます。

「歴史・由来」その他の雑学

ヒアルロン酸は、“グルクロン酸”と“N-アセチルグルコサミン”という2つの糖が、一列に規則正しく交互に結合している化学構造で、“ムコ多糖類”の一種です。アセチルヒアルロン酸Naはヒアルロン酸Naにアセチル基を結合させることで両親媒性(親水性+親油性)を付加させた成分です。

生体内では、ヒトの関節液、眼の硝子体などに存在していますが、全身のヒアルロン酸総量の約50%が皮膚に存在しています。皮膚の中ではコラーゲンやエラスチンと同様、真皮の線維芽細胞によりつくられ、真皮のコラーゲン線維とエラスチン線維の間の基質に多く含まれています。ハリや弾力を保つために欠かせない成分です。ヒアルロン酸は、1日でその約半分が入れ替わるといわれています。年齢とともに体内のヒアルロン酸量が減ると、ハリや弾力が低下することがわかっています。

歴史

ヒアルロン酸は、1934年にコロンビア大学のカール・マイヤー博士によって、牛の目から発見されました。その後の研究により、皮膚や関節、脳、心臓など体のいたる所に存在していることがわかりました。かつてのフランスや中国の王侯貴族たちはその美容効果を求め、ヒアルロン酸を多く含む鶏のトサカ料理を食したと伝えられています。

1982年に動物由来のヒアルロン酸を配合した化粧品が日本で販売されるようになりましたが、当時ヒアルロン酸はニワトリのトサカなどから抽出し精製したものが使用されていました。そこで、資生堂が発酵法による生産の研究を行い、1985年から発酵法による生産が始まりました。これを機に、チッソ、協和発酵など国内外の数十社によって、発酵法により生産されたヒアルロン酸が供給されるようになりました。現在、ヒアルロン酸を加水分解したり、化学修飾することで、保湿性や肌への浸透性などを変えた成分がつくられています。

主な原料の由来

合成(発酵法)

医薬品やサプリメントには?

医薬品や食品、サプリメントには使用されません。

注意事項

特にありません。

 

<引用元>
化学 と生物, 26(5), 308-315 (1988)
マテリアルライフ, 12(4), 184-188 (2000)
高分子, 55(10), 802-805 (2006)
グルコサミン研究(5), 4-10 (2009)
宇山侊男他, 化粧品成分ガイド 第7版, フレグランスジャーナル社, 2020, p.45
小西さやか, 知れば知るほどキレイになれる!美容成分キャラ図鑑, 西東社, 2019, p.34-37
キユーピー株式会社 Webサイト (ヒアルロン酸とは)
生化学工業株式会社 Webサイト (ヒアルロン酸のまめ知識)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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