お悩み別ケア
2023.7.8

3-O-エチルアスコルビン酸|水溶性の即効型ビタミンC誘導体!【美容成分大全】

3-O-エチルアスコルビン酸は、ビタミンC(アスコルビン酸)にエチレン(エチル)を結合させて安定性を高めた”水溶性ビタミンC誘導体”です。他の誘導体と異なり、そのままの形で「美白」の効果を発揮する即効性が特徴です。医薬部外品の「美白」有効成分として認められています。できてしまったメラニン色素の色を薄くする働きもあります。美白効果以外に毛穴・ニキビへの効果も期待できます。日本化粧品検定協会が美容成分をくわしく解説する【美容成分大全】。成分を正しく理解して、コスメ選びの参考に!

プロフィール

成分名 3-O-エチルアスコルビン酸
表示名称 3-O-エチルアスコルビン酸(医薬部外品の表示名称:3-O-エチルアスコルビン酸)(愛称:VCエチル)
主な配合アイテム クレンジング・洗顔、スキンケア、UVケア、ハンドケア、ヘアケア
成分のはたらき チロシナーゼ活性阻害、メラニンの還元、コラーゲンの産生促進、皮脂分泌抑制、抗酸化
医薬部外品としての効能効果 美白

どんな「効果・働き」があるの?

【水溶性即効型】
水溶性ビタミンC誘導体です。肌の中へ入りにくいですが、入った後は皮膚内でビタミンCになることなく“そのままの形”で効果を発揮するため、即効性があります。

  • チロシナーゼ活性阻害
  • メラニンの還元
  • コラーゲンの産生促進
  • 皮脂分泌抑制
  • 抗酸化

美白・シミを予防する

チロシナーゼ活性阻害
シミの元となるメラニンは、表皮の基底層にあるメラノサイトという細胞内でつくられます。メラノサイトの中で、“チロシナーゼ”という酵素がアミノ酸の一種であるチロシンに働きかけることで、黒褐色の色素であるメラニンが生成されます。表皮細胞が紫外線を浴びて刺激を受けると、メラニン生成を促す情報伝達物質が放出され、メラニン生成指令を出します。この指令を受けるとチロシナーゼが活性化され、普段よりもメラニンが過剰につくられるとシミの原因となります。3-O-エチルアスコルビン酸は、チロシナーゼの活性を阻害することで、メラニンが過剰に作られるのを抑制し、シミを予防します。
メラニンの還元
シミの元となるメラニンは黒褐色をしています。メラノサイトでつくられたメラニンは表皮角化細胞に受け渡されるため、表皮にある細胞内にも存在しています。これらのメラニンが“還元”されて色が薄くなると、結果的にシミが目立たなくなります。メラニンの還元作用によって、肌のくすみを改善したり、シミを薄くする効果が期待できます。

シワやたるみを改善する

コラーゲンの産生促進
真皮に存在する線維芽細胞は、コラーゲン繊維やエラスチン繊維を産生し、肌にハリや弾力性を与えています。ビタミンCは、コラーゲンの正常な立体構造を形成するために働く鉄イオンを還元することで、コラーゲンの産生を促進します。加齢などによって機能が低下するコラーゲンの産生を促進させることで、シワやたるみの改善などのエイジングケアに役立ちます。

ニキビや毛穴をケアする

皮脂分泌抑制
ビタミンCは炎症を抑えるだけではなく、過剰な皮脂の分泌を抑える働きがあります。ニキビケアや、過剰な皮脂分泌で毛穴が開いてしまった場合のケアにも役立ちます。

抗酸化
ビタミンCは強力な抗酸化作用があり、”フリーラジカル”という活性酸素を消去する働きがあります。
●シミ予防:紫外線を浴びて活性酸素が発生することで、メラニン生成指令物質が放出されます。活性酸素を取り除くことで、メラニン生成指令物質の発生を防ぎ、メラニンの過剰な生成を抑制します。
●シワ予防:活性酸素により、真皮のコラーゲン分解酵素が活性化し、コラーゲンの減少や変質が生じます。活性酸素を取り除くことでコラーゲンの分解を食い止め、シワの発生を予防します。
●毛穴ケア:過剰な皮脂分泌に加え、酸化した皮脂が、毛穴まわりの皮膚に対してダメージを与え、メラニンも増加し、毛穴を目立たせてしまいます。皮脂の酸化を抑え、皮膚へのダメージやメラニン生成を抑制し、毛穴の目立ちを改善します。
●ニキビ予防:皮脂分泌が増え、アクネ菌が毛穴の中で増殖し、さらに活性酸素が発生し、炎症を引き起こされると赤ニキビとなります。活性酸素を取り除くことで炎症が抑えられるため、ニキビを予防につながります。
さらに、抗酸化成分として知られるビタミンEが作用を発揮した後には、酸化されて力を失ったビタミンEを還元して元のビタミンEに戻し、再び抗酸化力を発揮できるようにする作用もあるため、併用すると相乗効果が期待できます。

美容賢者からの「アドバイス」

日本化粧品検定協会代表理事

小西 さやか


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3-O-エチルアスコルビン酸は「即効型ビタミンC誘導体」

3-O-エチルアスコルビン酸は、他のビタミンC誘導体のように、皮膚内で代謝されてビタミンC(アスコルビン酸)としての効果を発揮するのではなく、そのままの形で効果を発揮します。さらに安定性も優れており、即効性がある上に持続性があるのが特徴で、「即効型ビタミンC誘導体」ともいわれています。

3-O-エチルアスコルビン酸はメラニンの生成にダブルの働き!

3-O-エチルアスコルビン酸はそのままの形で抗酸化作用を発揮するため、チロシナーゼによりチロシンが酸化されてドーパ、ドーパキノンになる反応と、そのドーパキノンが自動的に結合を繰り返して高分子化(重合)し、黒褐色のメラニン色素に変化する反応の両方に作用して、メラニンの生成を抑えるとされています。メラニンの生成反応に対して、“チロシナーゼ活性阻害”と“重合抑制”のダブルの働きがあるので、高い効果が期待できます。

▽もっと詳しく
ビタミンC誘導体の種類一覧

「歴史・由来」その他の雑学

ビタミンCのさまざまな機能は、抗酸化作用によるものです。抗酸化成分は、自らが酸化されることで相手を酸化から守ります。ビタミンCにはその化学構造の中に、抗酸化作用を発揮するところが2か所あります。化粧品に配合した場合、その部分があることで逆に酸化されやすく安定性が悪くなるというデメリットもあります。そのため、これらをふさぐことで酸化からビタミンC本体を守る誘導体がたくさん開発されています。3-O-エチルアスコルビン酸は、リン酸アスコルビルMgやアスコルビルグルコシドとは異なる部分にエチル基を結合させることにより、安定性を高めています。また、皮膚の内部でビタミンCに変化する必要がないため、ビタミンC誘導体の中では、「即効型」などと呼ばれることがあります。

歴史

1928年にA.Szent がウシ副腎から分離したのが、ビタミンCの発見とされています。また、ほとんど同じ時期にC.G. Kingらによってレモンから分離されビタミンCと同じものであると確認されました。ビタミンCの化学名はアスコルビン酸(ascorbic acid)ですが、これは抗壊血病効果をもつ酸、抗(anti-)、壊血病(scorbutic)、酸(acid)に由来します。1933年には、ライヒシュタインがビタミンCの化学合成に成功しました。化粧品においては、ビタミンCや油溶性にした誘導体(モノステアリン酸アスコルビルやモノパルミチン酸アスコルビル)が1980年以前から医薬部外品の「美白」有効成分として使用されていました。しかし、安定性や効果の面で十分ではなかったことから、1980年代以降に、さまざまな誘導体が開発が盛んに行われました。3-O-エチルアスコルビン酸もその中の1つです。日本ハイポックス社により研究開発され、1999年に抗酸化剤として化粧品への配合承認を取得。2004年には医薬部外品の「美白」有効成分として厚生労働省に承認されました。

主な原料の由来

合成

医薬品やサプリメントには?

医薬品や食品は使用されません。

注意事項

特にありません。

 

<引用元>
株式会社マツモト交商 コンセプトシート (VCエチル)
株式会社マツモト交商 マツモトこすめーる, 2009年10月1日 (VCエチル) 
鈴木一成, 化粧品成分用語事典2012, 中央書院, 2012, p.371-372
小西さやか, 知れば知るほどキレイになれる!美容成分キャラ図鑑, 西東社, 2019, p.58-61
日本精化株式会社 Webサイト (VCエチル)
株式会社日本ハイポックス Webサイト (会社沿革, ビタミンCエチル)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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