サリチル酸|化粧品として、どんな効果が?【美容成分大全】
コンテンツ提供:日本化粧品検定協会
概要
成分名 | サリチル酸 |
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成分の働き | 角層軟化、角層剥離・溶解、抗炎症、防腐 |
医薬部外品としての効能効果 | 殺菌・消毒、ニキビ予防、フケ・かゆみ防止 |
表示名称 | 【化粧品】サリチル酸【医薬部外品】サリチル酸 |
主な配合アイテム | 【化粧品】【医薬部外品】洗顔料・スキンケア・ヘアケア |
由来・歴史
主な原料の由来
合成
歴史
1763年、イギリスの神父エドワード・ストーンが、ヤナギの樹皮の抽出エキスに解熱などの効果があることを発見し、ヤナギの学名Salixからサリシンと名付けました。その後、サリシンを分解することでサリチル酸が得られることが見出されました。
古くはサリチル酸は解熱・鎮痛剤として用いられていましたが、人によって強い消化症状を引き起こすため、アスピリンなどのサリチル酸の誘導体が使われるようになりました。
その他成分情報
サリチル酸は安息香酸の誘導体で、BHA(β-ヒドロキシ酸)に分類されます。殺菌力を持つことから医薬品・化粧品・食品などの防腐剤として広く利用されていましたが、現在では、他の防腐剤が使われるようになり、防腐剤としては以前ほど利用されていません。
効能効果・はたらき
「化粧品」に配合したときの働き
- 殺菌・消毒
- ニキビ予防、フケ・かゆみ防止
- 角層軟化
- 角層剥離・溶解
- 抗炎症
- 防腐
殺菌・消毒
医薬部外品の薬用石けんや洗浄剤に対して殺菌効果のある有効成分として配合されます。
ニキビ予防、フケ・かゆみ防止
殺菌力を持つことからアクネ菌やフケの元になる真菌の繁殖を抑えるため、ニキビケアやフケ・かゆみの予防の有効成分としても認められています。
角層軟化
角質を柔軟にする効果があります。それにより、角栓の予防や塞がってしまった毛穴を開く効果、さらに毛穴の中で増殖してしまったアクネ菌を殺菌する効果などでニキビを予防します。
角層剥離・溶解
ピーリングにも利用される成分です。グリコール酸などのAHAとは化学構造が異なるBHAで、ピーリング効果は非常に高く、化粧品やエステサロンでは、「肌の状態をよくする」「化粧のりをよくする」といったレベルのごく浅いピーリングのみに用いられます。
抗炎症
抗炎症効果を目的に医薬品で使用されたこともありましたが、現在化粧品では抗炎症効果を目的に使用することはほとんどありません。
防腐
製品の防腐を目的として配合する場合は、0.2%以下という配合上限があります。
※サリチル酸を医薬部外品に有効成分として配合する場合の量の目安が示されています。化粧品を含め、防腐剤として配合する場合は、0.2%以下と定められています。
・クリーム:0.1~1.5%
・シャンプー:0.1~2.0%
・化粧水:0.05~0.7%
「医薬品」としての効能効果
サリチル酸は解熱作用、鎮痛作用、抗炎症作用がありますが、副作用もあるため、主には外用剤として使用されています。
角層を柔らかくする効果から、2~10%配合の軟膏や液剤が白癬症(水虫)や角化症の治療に、イボやウオノメの治療薬には、サリチル酸が50%程度の市販薬タイプの絆創膏が用いられます。
「食品、サプリメント」に配合したときの働き
副作用もあるため、現在では食品・サプリメントとしては、ほとんど利用されていません。
注意点
サリチル酸配合の化粧品を使用する場合は、上腕の内側など紫外線が当たらない場所であらかじめ使用テストなどを行い、肌に刺激が起きないかなどを確認してから、使用するようにしましょう。
豆知識
日本化粧品検定協会代表理事:小西 さやか
「固くごわついて目立つ毛穴ケアから、手ごわいカサカサ・ゴワゴワを柔らかくするハンドケアまで、幅広い商品に配合されています。サリチル酸はピリピリとした刺激があり、濃さに比例して刺激も増します。特に皮膚科治療でケミカルピーリングを行なう際には、担当の医師とよく相談するようにしましょう」
小西さやかさんの記事一覧
<引用元>
化学と教育, 41(7), 463-467 (1993)
日本化粧品技術者会, 化粧品事典, 丸善出版株式会社, p.490
小西さやか, 知れば知るほどキレイになれる!美容成分キャラ図鑑, 西東社, 2019, p.126-129
吉田製薬株式会社:サリチル酸原末(マルイシ), インタビューフォーム
厚生労働省「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて」(薬食審査発第1225001号平成20年12月25日)
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。