カモミラET|コスメとしての効果は?【美容成分大全】
カモミラETは花王が開発した独自成分で、ハーブとして有名なカミツレ(西洋名:カモミール)から抽出されたエキスの中で唯一「美白」の有効成分として認められています。承認を受けた医薬部外品にのみ配合され、化粧品には配合されません。シミの元となるメラニンをつくらせる指令を阻止して、シミを予防します。日本化粧品検定協会が美容成分をくわしく解説する【美容成分大全】。成分を正しく理解して、コスメ選びの参考に!
コンテンツ提供:日本化粧品検定協会
プロフィール
成分名 | カモミラET |
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成分の働き | メラニン生成指令阻止、抗炎症 |
医薬部外品としての効能効果 | 美白 |
表示名称 | 化粧品には配合されません(医薬部外品の表示名称:カモミラET) |
主な配合アイテム | 【医薬部外品】スキンケア・UVケア |
どんな「効果・働き」があるの?
- メラニン生成指令阻止
- 抗炎症
美白・シミを予防する(メラニン生成指令阻止)
紫外線を浴びると活性酸素が発生し、その活性酸素が、メラニンをつくるよう指令を出すさまざまな物質を増加させます。カモミラETはこの物質の1つである“エンドセリン”の分泌を抑えることにより、メラニン生成指令を阻止し、メラニンの過剰な生成を抑える働きがあります。その結果、シミを予防する効果があります。
ビタミンC誘導体やコウジ酸などの「美白」有効成分の多くは、メラニンの生成を促進させる“チロシナーゼ”という酵素の活性を抑えますが、カモミラETは直接チロシナーゼに働きかける作用はないことがわかっています。
肌荒れを防ぐ(抗炎症)
カモミールの花などから抽出されたカミツレ花エキスには、抗炎症作用で有名な“アズレン”が含まれています。カモミラETも同様に、この“アズレン”を含んでいると考えられ、肌荒れを防止する効果も期待できます。
美容賢者の「豆知識」
カモミラETは花王独自の「美白」有効成分
多くの「美白」有効成分がメラニンの生成に必要な“チロシナーゼ”という酵素の活性を抑える作用でしたが、花王はいち早く他のメカニズムからアプローチして「カモミラET」を開発しました。花王独自の成分なので、他のメーカーの製品には配合されていません。
「美白」を謳えるカミツレ由来エキスは「カモミラET」のみ!
カミツレの花から抽出されるエキスには、他にも「カミツレ花エキス」や「カミツレエキス」があります。これらのエキスにも美白作用や抗炎症作用が期待されますが、抽出方法などの違いにより、エキスに含まれている成分が異なります。そのため、カモミラET以外のエキスは配合しても「美白」効果を表示することができず、医薬部外品の「美白」有効成分として承認されているのは「カモミラET」のみです。
「歴史・由来」その他の雑学
単一の化合物ではなく、複数の成分を含む植物エキスです。花王の報告によると、ハーブの一種であるカミツレの花を乾燥させたものをスクワランで抽出して得られるとのことです。
歴史
花王が、メラノサイトの働きを活性化する情報伝達物質に着目し、その働きを阻害する成分を研究している中で見出された成分です。1999年に「美白」の医薬部外品の有効成分として承認されました。
主な原料の由来
植物(カミツレの花から抽出)
医薬品やサプリメントには?
医薬品には配合されていません。食品・サプリメントとしては利用されていません。
注意事項
特にありません。
<引用元>
皮膚, 41(4), 475-480 (1999)
日香粧品誌, 39(4), 275-285 (2015)
宇山侊男他, 化粧品成分ガイド 第7版, フレグランスジャーナル社, 2020, p.161
久光一誠, 化粧品成分事典, 池田書店, 2021, p.86-87
小西さやか, 美容成分キャラ図鑑, 西東社, 2019, p.72-73
花王株式会社 Webサイト(研究開発)
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
日本化粧品検定協会代表理事、日本薬科大学客員准教授、北海道文教大学客員教授、東京農業大学食香粧化学科客員准教授、各種協会の顧問、学会幹事を歴任。化粧品開発者として科学的視点から美容、コスメを評価できる専門家「コスメコンシェルジュ」。最短最適な美容で無駄を省く「時短美容家」としても活躍中。著書は『美容成分キャラ図鑑(西東社)』など13冊、累計56万部を超える。