肌のセラミドは加齢とともに減っていくってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を医師や専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「セラミド」について。セラミドは加齢とともに減っていくってホント? 株式会社エトヴォスの杉中靖子さんにお話を伺いました。
Q:肌のセラミドは加齢とともに減っていくってホント?
体を乾燥から守る肌の必須成分として知られているセラミド。セラミドは誰の肌にもある成分なのですが、年を取るごとに減っていってしまうというウワサ! セラミドは加齢とともに減っていくってホント? 株式会社エトヴォスの杉中さんにお話を聞いてみました。
A:ホント
「肌のセラミド量は加齢とともに徐々に減っていきます」(杉中靖子さん・以下「」内同)
セラミドとは
「角層を構成する角層細胞の間には“細胞間脂質”という脂質があります。その脂質の主成分であるセラミドは“スフィンゴ脂質”という特殊な脂質のひとつで、脂質でありながら、その化学構造に水になじみやすい親水基という部分を持っています。そのため、水の分子やそのほかの細胞間脂質とともに、ラメラ構造といわれる層状構造をつくることができます。このような構造を持つことで、肌の内側での水分喪失や、紫外線や汚染物質などの外部刺激の侵入を食い止めるバリアの働きをし、乾燥や刺激から肌を守っている成分です」
セラミドはどのくらい減るの?
「肌のセラミド量には個人差があります。しかし、50代にもなると20代の約半分にまで減少するという報告がされています」
セラミドが不足するとどうなる?
「バリア機能の低下を引き起こします。
このバリア機能が低下により、肌の内部から水が蒸発しやすくなり“乾燥”が同時に発生します。また、乾燥が進むと、さらにバリア機能が低下して肌内部まで外部からの刺激が侵入してしまいます。そして肌の深い部分で炎症が起こり、その炎症からシワやシミなどのさまざまな症状が引き起こされます。
- 肌が乾燥する
- バリア機能の低下により肌内部まで刺激が侵入する
- 肌の深い部分で炎症が起こる
- 炎症からシワやシミなどの症状が引き起こされる
バリア機能が低下するとどうなる?
バリア機能が低下した肌内部では、刺激を感じる神経が角層のすぐ下まで伸長してしまうことで刺激を感じやすい状態に傾き、肌が過敏になるという現象も生じます。
また、このバリア機能が低下している症例として、アトピー性皮膚炎の肌ではセラミドが少ないことも知られています。
このように、セラミドが不足することで、さまざまな悪影響へと繋がっていきます」
セラミドを補う方法
「肌のセラミドを補う方法は主にふたつあると考えます。
ひとつ目は、セラミドそのものを“与える”方法です。乾燥して角層状態が荒れている肌に、セラミド入りのスキンケア製品を塗布することで、セラミドが欠損している細胞間脂質を補完し、バリア機能を回復する効果が期待できます。
ふたつ目は、セラミドを“育む”方法です。セラミド産生を促進する成分は、研究が進んでおり、多様な種類が存在します。これらの成分は、元来人がもっているセラミドを産生する機能を底上げする効果が期待できると考えられています。
また、化粧品を塗布すること以外でも、セラミド配合のサプリメントを摂取するという方法もあります」
Point
与える方法…セラミド入りのスキンケア製品を塗布する育む方法…セラミド産生を促進する成分でセラミドを産生する機能を底上げ
その他の方法…セラミド配合のサプリメントを摂取する
文/土屋美緒
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
大学卒業後、25年以上にわたり、国内外のスキンケアの処方開発や薬事関連業務に従事。エトヴォスでは安全と安心を第一にした商品開発に従事している。
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