健康・ヘルスケア
2021.1.5

【SDGs】コロナの時代だからこそ考えてみよう! いま、私たちにできることは何?

2020年話題となったSDGsとは、社会再構築の道標のこと!今回はSDGs研究の第一人者である蟹江先生にお話しを伺いました。ウィズコロナの時代だからこそ考えてみましょう。

SDGs 今、私たちができること

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自分を守ることは社会を守ること。世界とのつながりを実感する機会

新型コロナウイルス感染症によって、世界はどう変わったのか、あるいはこれからどう変わっていくのか。グローバル目標であるSDGsへの影響は?蟹江教授に伺ってみました。

「いちばん打撃を受けたのは経済活動でしょう。SDGsのゴール“1、貧困をなくそう”に関しては、在宅勤務ができないサービス産業や労働者の仕事がなくなり、家が手狭で“密”を避けられない環境や、経済的理由で医療機関にアクセスできないなど、貧困層や低所得者層、つまり弱者にしわ寄せが行ってしまいました。飲食店や旅行関連は打撃を受けていますし、非正規雇用者への影響はもちろん、大学生の5人にひとりが経済状況から退学を考えているという調査結果も。それに、医療従事者の環境やリスクもいまだ改善されていません」

とはいえ、ネガティブな側面ばかりではない、と蟹江先生は言います。

「マスク着用や手洗い・うがいの習慣、咳エチケットなど、衛生の管理徹底が進み、世界中でそれらが一気に定着しました。個人が感染症対策を徹底すること、つまり自分を守ることは、社会を守ることにつながります。ひとりひとりが行動を変えれば、世界は変わる。皮肉な話ですが、私たちは今そのことを実感しているはずです」

また、働き方も大きなパラダイムシフトを迎えています。リモートワーク化が進み、オンラインミーティングやハンコ廃止の動き、会議や会食、出張の中止など、これまで変えようと思いつつできなかったことや、実はムダだったことなどに多くの人が気づき始めました。図らずもコロナが浮き彫りにしたともいえます。

「ポジティブに捉えるなら、新しい働き方を促進するために、IT技術はさらに技術革新が進むでしょうし、在宅勤務が当たり前になることで、出産や子育てでキャリアを諦めていた女性たちの活躍の場が広がる可能性があります。また、遠方へ出かける機会が少なくなったことで今一度地元を見直し、より地産地消が進むかもしれません。何より、今回のように当たり前のことが当たり前でなくなったとき、人は“何が自分にって幸せか。やりたいことは何か。会いたい人は誰か。どう生きたいのか”を真剣に見つめ始めます。SDGsは“誰ひとり取り残さない世界”を目指していますが、まさに、ひとりひとりがそういう本質を追求するフェーズに入ったことは、より良い世界を作る入り口に立ったともいえます。コロナは、世界が一丸となって、これからの時代のサスティナブルな仕組みを作る、大きなきっかけになったといえるのではないでしょうか」

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【17個の解説】 SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS

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【1】NO POVERTY
貧困をなくそう

世界には今、世界銀行が決めた国際貧困ライン1日1.9$未満で暮らす人が7億人以上。貧困は、健康や医療面だけでなく、教育や差別など次世代にも連鎖する。途上国・先進国問わず、経済的、社会的弱者への支援が必要。

 

【2】ZERO HUNGER
飢餓をゼロに

世界の努力によって飢餓人口は減ってきてはいるものの、2016年時点では、約8億人いるという。飢餓を終わらせるには、食糧を安定的に確保するほか、偏った栄養状態を改善すること。同時に、持続可能な農業を生み出すことが求められる。

 

【3】GOOD HEALTH AND WELL-BEING
すべての人に健康と福祉を

乳幼児や妊産婦の死亡率、エイズや結核など感染症の罹患率も高い途上国だけでなく、先進国では薬物乱用や交通事故によって健康を害す人が多い。また、現在の新型コロナウイルスへの対策など、予防や対策、医療整備など、新たな課題も。

 

【4】QUALITY EDUCATION
質の高い教育をみんなに

今、読み書きのできない人の数は世界に7億人。うち3人にふたりが女性。教育や職業訓練は、より良い暮らしをしたいと思ったとき、自分の力で生活を変えるための武器となる。性別、年齢問わずすべての人に質の高い教育と、その機会を。

 

【5】GENDER EQUALITY
ジェンダー平等を実現しよう

女性に対する差別や性的搾取は途上国で深刻だが、先進国でも雇用や給与、家事分担、財産、社会の意思決定参加など、さまざまな場面で差別は続いている。ジェンダーの平等の実現は、社会や経済の持続的発展に欠かすことはできない。

 

【6】CLEAN WATER AND SANITATION
安全な水とトイレを世界中に

世界で、管理された安全な飲み水を手に入れることができない人は21億人以上。土壌汚染された地下水を飲んで下痢になり、命を落とす子供は年間150万人。上下水処理や再利用の仕組みを整え、安全な水と衛生の管理は緊急課題。

 

【7】AFFORDABLE AND CLEAN ENERGY
エネルギーをみんなにそしてクリーンに

エネルギーの多くは石油や石炭、天然ガスなど有限で温室効果ガスを排出する資源を使っているため、使う人が増える程気候変動が深刻化するおそれが。再生可能なエネルギーの利用を増やし、クリーンで安価なエネルギーが求められている。

 

【8】DECENT WORK AND ECONOMIC GROWTH
働きがいも経済成長も

途上国では失業率の高さや児童労働が問題となっているが、先進国では過労死が深刻化。併せて、女性や弱者、障害者、移民などの雇用や賃金、労働環境なども問題に。働きがいのある人間らしい仕事と経済成長の実現が目標となる。

 

【9】INDUSTRY,INNOVATION AND INFRASTRUCTURE
産業と技術革新の基盤をつくろう

世界的に自然災害が増加し、感染症の流行などが問題化しつつある現在、電力や水道、道路やインターネットなどインフラを整え、強化することは必須。それは持続可能な産業の支えとなり、技術革新を推進することにつながっていく。

 

【10】REDUCED INEQUALITIES
人や国の不平等をなくそう

世界の人口76億人に対し、その富の半分以上が1%の人のもの(富裕層)。富の集中は貧富の差を拡大するため、富の再分配によって貧困や飢餓、紛争の解決に。また、年齢、性別、人種、民族の差別による不平等の解決への努力も必要。

 

【11】SUSTAINABLE CITIES AND COMMUNITIES
住み続けられるまちづくりを

都市に暮らす人は世界人口の半分以上。2050年にはその数は人口の2/3に上るといわれている。都市への人口集中により住宅不足、建物の老朽化、ごみ問題、災害時の対策など問題は多い。住み続けられる街造り、都市計画が大切に。

 

【12】RESPONSIBLE CONSUMPTION AND PRODUCTION
つくる責任つかう責任

大量のエネルギーや資源を使って、大量の食品や製品を生産・消費、廃棄している現代。このままでは地球はもたない。食品ロスを減らし、廃棄物の削減やリサイクルの推進、資源とエネルギーの有効活用など、仕組みの見直しが急務。

 

【13】CLIMATE ACTION
気候変動に具体的な対策を

地球温暖化によるとされる異常気象は今、さまざまな災害をもたらしている。これまでエネルギーを消費してきた先進国が責任をとって対策すべき問題であり、途上国を支援しつつ、気候変動への対策を具体的に考えていかねばならない。

 

【14】LIFE BELOW WATER
海の豊かさを守ろう

人間の経済活動が海の恵みを侵している今、問題はふたつ。ひとつはごみや排水による海の汚染。もうひとつは漁業の仕方。今のペースで魚をとり続ければ減ってしまう。漁業大国の日本には持続可能な漁業の方法を提案、支援する役割が。

 

【15】LIFE ON LAND
陸の豊かさも守ろう

森林や山地、川や湖の自然環境と、そこに生きる生物の多様性を守ること。例えば森林伐採をしたら植林をする、希少な野生動物の売買は禁止するなど、できることはたくさんある。自然環境と人間を含む生物との共存を目指す。

 

【16】PEACE,JUSTICE AND STRONG INSTITUTIONS
平和と公正をすべての人に

紛争やテロ、暴力や虐待で命を落とす人は後を絶たない。誰もが法によって守られる、平等で平和な社会を作ること。誰もが政治に参加できる仕組み、知る権利や言論の自由を得られる公的な制度を作ることが急務である。

 

【17】PARTNERSHIPS FOR THE GOALS
パートナーシップで目標を達成しよう

先進国の途上国への経済と技術の支援は最も重要なパートナーシップ。だが、国と国の間だけでなく、企業や個人など、さまざまな立場の人が参加し、同じ目標に向かって何をすべきか、できるのかを考えることが社会を変える力となる。

 

慶応義塾大学 大学院教授

蟹江憲史先生

かにえ・のりちか/政府SDGs推進本部円卓会議構成員を務めるなど、SDGs研究の第一人者。著書に『持続可能な開発目標とは何か~2030年へ向けた変革のアジェンダ』など。

 

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参考文献『未来を変える目標 SDGsアイデアブック』(編著/一般社団法人 Think the Earth)

 

『美的』2021年2月号掲載
イラスト/小迎裕美子 監修/蟹江憲史 協力/長田杏奈 構成/田中美保

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