健康・ヘルスケア
2019.5.29

産後に抜け毛が増えた…対処法は?膣の緩みや尿漏れ対策も【女医に訊く#62】

 

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出産後、抜け毛や薄毛、膣の緩みや尿漏れに悩んではいませんか? これらは産後によくある症状ですが、羞恥心もあり相談できずにいるママが多いようです。皮膚科専門医の慶田朋子先生に、原因と対策についてうかがいました。

出産したら一気に毛が抜けた……元に戻る?

髪の毛には、成長期→退行期→休止期というサイクルがあり、通常、男性は2~5年、女性は4~6年程度で常に生え変わっています。この毛髪サイクルは、加齢やストレス、男性ホルモンの影響などにより頭皮の状態が悪くなるとバランスが崩れ、薄毛や抜け毛になります。

「特に妊娠中は、多くの毛が成長期のままをキープするため、産後一斉に休止期に入って一気に抜けてしまいます。これは休止期脱毛という生理的に抜ける現象であり、通常はある程度で戻ります。しかし、例えばお父さんが薄毛である、男性型脱毛症がある、もともと毛が細くてどれだけ戻るか不安であるという場合は、薄いままの人もいるので、積極的な治療を早めに始めてもいいと思います」と話すのは、皮膚科専門医の慶田朋子先生。

産後の抜け毛対策のおすすめは?

先生によると、妊娠中は妊婦さんも飲める成分のサプリメント「パントガール」や、頭髪の再生を促す機能性ペプチド含有の育毛・発毛促進エッセンス「ペロバームローション」など使用したケアを行うといいそう。

「妊娠中は施術できませんが、産後は『ヘアフィラー』という世界初の毛髪再生を促す機能性ハイブリッドペプチド化合物の頭皮専用注入剤を頭皮に注射する施術もおすすめです。30代の方ですと、3回くらいでしっかり生えてくる感じわかりますよ」(慶田先生)

産後の尿漏れ対策には骨盤底筋運動が効果的!

一方、産後の抜け毛と同じくらい悩みの種となる産後の尿漏れ。これは、分娩時に骨盤底筋や結合組織が直接的に損傷したり、神経が圧迫されたりすることによって起こるといわれています。なかには、妊娠中から症状が出るママも。妊娠中は大きくなった子宮が膀胱を圧迫するので、尿を溜められる量が減ってしまいます。さらに、子宮の重みで骨盤底筋に負担がかかるため、くしゃみや咳をしたときや運動時に、不随意に尿が漏れる「腹圧性尿失禁」が主だといわれています。産後1カ月ほどで、自然に回復してきますが、分娩時に不可逆的な損傷が生じると、尿失禁が年余にわたり続くケースもあるのです。

尿漏れが骨盤底筋の弛緩と関連していることから、尿漏れを防ぐには、骨盤底筋の収縮と弛緩をくり返す「骨盤底筋運動」を妊娠中から予防的に実施するのが効果的です。「骨盤底筋運動」を取り入れている産前・産後クラスやヨガ、エアロビクスなどのレッスンに参加して、尿漏れを予防しましょう。

出産経験のない女性も加齢により膣が緩む

「膣の緩みや尿漏れを改善するには、骨盤底筋のトレーニングはもちろん大事。でも、骨盤底筋トレーニングをしても膣自体は意思では動かせない不随意筋ですから、そこはグッと締めたところで緩んだものは締まりません」と慶田先生。

先生によると、出産経験のない女性も加齢によりエストロゲン分泌量が低下してくると、顔にシミやシワが現れてくるように、腟も老化して「腟萎縮」や「膣のゆるみ」が起こるそう。

「膣が緩んでしまうと子宮の位置が正常時より下がり、すぐ隣にある膀胱の位置も下がってしまうため、さらに尿漏れしやすくなるので注意が必要です」(慶田先生)

超音波エネルギーを用いた世界初の膣引き締め機器とは?

「一度ゆるんでしまった膣を引き締めるには、熱を入れて縮めてやるしかありません。そのため当院では、超音波エネルギーを点状に集約させるHIFUという仕組みを用いて膣や会陰部などのたるみを強力に引き締める世界初の膣引き締め機器『ウルトラヴェラ』を使った施術『ヴィーナスHIFU』という施術を行っています」と慶田先生。

膣の緩みの原因となっている粘膜下層のコラーゲン線維や筋膜は、通常のレーザーや高周波では届かない深い層にあります。「ウルトラヴェラ」から照射される超音波エネルギーは、膣粘膜表面を傷つけることなく、粘膜の下と外科手術でしか届かなかった筋層にまで届き、ピンポイントに点状の熱ダメージを作ることが可能。即時的にたるみを「引き締める」治療を行います。

「『ウルトラヴェラ』は産後半年経っていれば施術が可能です。施術時間は30分程度、1回の治療で緩みが改善します。尿漏れの症状が強い場合は、2カ月後に再度受けて頂くと効果がさらに高まります。治療後のダウンタイム(痛みや腫れなど)がほとんどないため、治療直後から普段通りの生活をしていただける点も人気。1週間くらいで膣が締まった感じわかりますし、しばらくすると指を入れたときに粘膜がふっくら圧迫する感じというのがわかっていただけると思います」(慶田先生)

 

 

皮膚科専門医
慶田朋子先生
銀座ケイスキンクリニック院長。医学博士。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本レーザー医学会認定レーザー専門医。東京女子医科大学医学部医学科卒業後、東京女子医科大学病院、聖母会聖母病院などを経て、2006年、有楽町西武ケイスキンクリニック開設。2011年、西武有楽町店閉店に伴い、銀座ケイスキンクリニックとしてリニューアルオープン。最新マシンと高い注射注入技術で叶える、切らないリバースエイジングに好評を博している。著書に『365日のスキンケア』(池田書店)など。
■銀座ケイスキンクリニック

文/清瀧流美 撮影/黒石あみ

 

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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