誰にも聞けない不安症についてのモヤモヤ一問一答! 不安と上手に付き合う5つのこととは?

勤務中や飲み会中、移動の電車や遊園地で、突然、呼吸が苦しくなったり、動悸が激しくなるなどのパニック発作。実は美的世代に多いことがアンケートでわかりました。そんなつらい状況を抜け出すヒントを「心と体」の両側からアプローチ!
不安な気持ちについてのモヤモヤ一問一答
\誰にも聞けない不安症のこと、この際ぜ〜んぶ和田先生に聞いてみた!/
Q1.自分の不安レベルを知るための指標はありますか?
【和田先生のAnswer】 基本的にはありません
「あることはあるのですが、私としては不安の強い方に“不安の尺度”を測れるものを与えることはしません。なぜなら『自分はこれに当てはまるから不安症なんだ…』と、よけいに不安が強くなってしまうからです。不安の尺度を気にするより、不安の裏側にある本来の欲望と向き合って不安と距離を置けるようにしましょう」
Q2.メンタルクリニックとの上手な付き合い方は?
【和田先生のAnswer】 日常生活が送れることを目標に、クリニックとの付き合い方を考えて
「クリニックに行ったからといって根本的に不安症が消えることは基本ないのです。しかし、問題は不安を消すことではなく、日常生活がちゃんと送れるかどうかが大事だということを忘れてはいけません。処方される薬でラクになる人は多いので、クリニックは“お守り”をもらいに行くところと考えるといいかもしれません」
Q3.パニック発作が一時期治っても、再発する可能性はありますか?
【和田先生のAnswer】 再発する可能性は常にあります。だからといって、がっかりしないで
「パニック症状はあるけれど、ちゃんと日常生活も送れているという状態であれば何も問題はありません。『不安が完全になくならなきゃ普通の人間じゃない!』と思ってしまうと、むしろ逆に不安が大きくなるので注意しましょう」
Q4.周囲に不安症の人がいたら、どのように接するのがいいですか?
【和田先生のAnswer】 相手の不安は否定せずに、できている部分を認めて寄り添って
「不安症を抱えている人は、周囲に理解されないことで悩んでいることが多いです。日本では心が不安定だと『自分は欠陥品だ…』と思ってしまう人が多いので、仕事やコミュニケーション力などうまくできている部分を肯定するなどして、不安と距離を置いて」
Q5.パニック発作を起こす原因にホルモンバランスは関係していますか?
【和田先生のAnswer】 関係していることもあります。場合によっては婦人科を受診して
「特に女性は出産前後、幸せホルモンであるセロトニンのバランスがくずれることがよくあります。それがきっかけで不安症になる人やパニック発作を起こす人も。ホルモンバランスが改善すれば落ち着く人も多いので、心当たりがあれば一度、婦人科を受診して適切なホルモン剤を処方してもらいましょう」
Q6.不安症を放置すると、悪化したり、別の不調を併発しますか?
【和田先生のAnswer】 意識しすぎやセロトニン不足は要注意!
「不安を意識しすぎるとよけいに増幅するので、なるべく深刻に考えすぎないことです。また、年齢と共にセロトニンは減少する傾向にあるので、うつ病に発展するケースもあります。セロトニンを増やすために、たんぱく質を意識した食生活や運動習慣を心掛けましょう」
Q7.不安をゼロにすることは可能ですか?
【和田先生のAnswer】 大前提として不安はゼロにはなりません。大切なのは不安になってもいいという思考です
「不安になることが悪いことと思うから、ゼロにしたいと思うのです。でも不安はゼロにはなりません。過度なものにしないためにも、逆に“不安になってもいい”と考えてみてください。不安から少し視点をずらして、できることに目を向けて力に変えてみましょう」
Q8.独自のセルフケアを実践しているのですが、これって合っていますか?
【和田先生のAnswer】 もし不安なことが起こっても自分なりの解決策を見つけられたらラッキー!
「深呼吸をしたり、アメをなめたりすることで不安が和らぐなら、それも立派なセルフケアです。ひとつでもソリューションが見つけられたら医者いらず。多くの人はそれが見つけられずに困っています。いずれ行動範囲も広がって不安も軽くなっていくでしょう」
\ほかにもこんなに!/
みんなのオリジナル・セルフケア
●車酔いが心配なときアメをなめると落ち着く。
●メンタルクリニックでもらった薬をもち歩く。それだけで安心できる。
●電車では気が紛れるゲームをしたり、マンガを読んだりして過ごす。
●深呼吸を繰り返す。特に吐く息を長くする。
●ミントのタブレットやロールオンのアロマなど、症状が出たときに気分転換できるお守りをもち歩く。
●ストレスに効果があると聞いたので、胸のみぞおちの上にあるツボ「膻中(だんちゅう)」を押す。
不安と上手に付き合う5つのこと
no.1 不安になってもいいという思考にチェンジ
no.2 考えすぎると不安はよけいに膨らむので注意!
no.3 自分だけの勝手な思い込みに振り回されない!
no.4 不安がなくなったら何をしたいか考える!
no.5 自分なりのソリューションでセルフケアも!
『美的』2024年11月号掲載
イラスト/かじぱん 構成/宮田典子、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
東京大学医学部を卒業後、同大付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローなどを経て、現在「和田秀樹こころと体のクリニック」院長。著書に『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥウェンティーワン)ほか多数。