サウナ後は水風呂に浸かったほうがいいってホント?真相を医師に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】

日々の生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は“サウナ”について。「日本サウナ学会」で代表理事を務め、医学的観点から正しいサウナの入り方を提唱する加藤容崇先生にお話を伺いました。
Q:サウナ後は水風呂に浸かったほうがいいってホント?
サウナ好きの人々を「サウナー」と称するほどに広まり、今や空前のサウナブーム。免疫機能を高めるということでも注目を浴びているサウナ。ですが、十分な効果を得るには水風呂に入ることもマストというウワサが。実際のところはどうなのでしょうか? さっそく、この疑問を加藤先生にぶつけてみました。果たしてその答えは?
A:ホント
「サウナで温めた体を水風呂で急激に冷やすことで血管や自律神経に刺激を与え、身体のさまざまな働きを活性化することができます。免疫力や睡眠の質を向上、メンタルの安定などコロナ禍のヘルスケアとしても有効ですよ」(加藤先生・以下「」内同)
\サウナ→水風呂の効果/
- 免疫力や睡眠の質を向上
- メンタルの安定
サウナの正しい入り方とは?
「私自身がオススメしているのは、サウナ→水風呂→外気浴(休憩)を1セットとした入り方。高温多湿のサウナ&ひんやりした水風呂に入ったあとの身体は緊張状態にあるので、外気浴で体を休めることで深くリラックスすることができます。
水風呂は1分以内、外気浴は5~10分程度にとどめ、体が冷え切らないうちに次のセットへ移行。最低でも3セットは繰り返すと良いですね。水分補給は外気浴のタイミングでおこない、脱水症状が起きないように対策を。全セットが終わるまでに500㎖~1ℓは飲むようにしましょう」
- サウナ→水風呂→外気浴(休憩)で1セット
- 水風呂は1分以内、外気浴は5~10分程度
- 最低でも3セット繰り返すとベター
- 外気浴のタイミングで水分補給
- 全セットが終わるまでに500㎖~1ℓは飲むように
サウナに入る時間は脈拍数を基準に
「サウナに入るときは室内の時計針が何周するかを見ながら、時間を基準にして入りがちです。一般的には6~12分程度と言われることが多いのですが、サウナに入る適切な時間は年齢、体調、体力によって人それぞれ異なります。1回の時間を長くするのではなくセット数を増やすようにして、コンディションに合った入り方を心がけましょう。
無理せずサウナ本来の効果を実感するためにも、自分の脈拍数を指標にして入る方法がおすすめ。そのやり方をご説明しますね」
【方法1】軽い運動をしたときの脈拍の速さ(1分間の脈拍数)を基準にする
「自分がウォーキングやランニングなどの軽い運動をしたときの脈拍数を把握しましょう。サウナの中では軽い運動をしたときと同じくらいの負担が心臓にかかるため、サウナで温まったときの脈拍が運動時と同じ速さになったら部屋を出れば良いのです」
【方法2】リラックス時の脈拍数を基準にする
「軽い運動時ではなく、リラックスしている時の脈拍数を利用することもできます。サウナの中で1分間のうち、リラックス時と比べて約2倍の速さになることを目安に。平常時で60回ならば120回ですね。それよりも速くなると体に負担がかかっている証拠なので、タイミングの見極めが大事なポイントとなります」
【方法3】脈拍数と同じリズムの音楽を頭の中で歌う
「軽い運動したときの脈拍数と同じリズムの曲を把握しておき、頭に思い浮かべながら入ります。ドクン、ドクンという脈拍が曲のリズムと合致したときが部屋を出るサインです。
たとえば脈拍数が100回/1分間になる場合、インターネットで“BPM・100・楽曲”のように検索してみましょう。すると曲名がいくつか出てくるので、その中から好きなものを選ぶと良いですね。頭の中で曲を思い浮かべることに集中するとまわりの雑音が気にならず、ちょっとした瞑想のような状態にもなれます。
私が監修している『ソロサウナ tune』は完全個室で、頭に思い浮かべなくても好きな曲を流しながらサウナに入るのが特徴です。コロナ感染症対策も万全におこなっており、まわりを気にすることなくサウナを堪能できますよ」
サウナは我慢して入るもの?
「熱いサウナに入るときは我慢して長時間入るものと思われがちですが、頭がボーッとしてフラフラになるまで入るのは大間違い! 脱水症状を起こして具合が悪くなってしまってはなんの意味もありません。
また低血圧や貧血、のぼせやすい自覚がある人は、自身でサウナの入り方を調整する必要も。サウナに入る時間を短くしてセット数を増やしたり、外気浴を長めに取ってこまめに水分摂取したり。女性はどうしても生理周期の関係でコンディションがフラットではないので、その日の体調によって対応することを心がけましょう」
水風呂の入りすぎにも注意
「水風呂は体の深部体温を下げすぎないためにも、浸かるのは1分以内を厳守してください。これは血液が全身を循環するのに約1分かかるという理由からです。このときも脈拍が徐々に平常時に戻っていくことをカウントしておくと良いと思います。
また施設によっては水風呂の温度調整が上手く機能しておらず、サウナ後に入ると水温がぬるくなっているときがあります。火照った体でぬるめの水風呂に浸かると心地よさを感じることがありますが、長く入って深部まで冷えると低体温症になりかねないのご注意を。
そのような事態を防ぐ意味でも、僕としてはサウナ時に摂取する水分を無糖の炭酸水にすることをおすすめします。炭酸水を飲むと、炭酸の刺激によって“TRP受容体”という体の温度を感じるセンサーが敏感になり、水風呂の冷却効果を感じやすくなるのです。そのため、たとえぬるくなってしまった水風呂でも冷たさを敏感に察知することができ、適切な時間で入りやすくなります」
文/井上ハナエ
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
日本サウナ学会で代表理事のほか、慶応義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット特任助教、北斗病院で医師も務める。人間が健康で幸せに生きるためには、健康習慣による予防が最高の手段だと言うことに気づき、サウナをはじめとする世界中の健康習慣を最新の科学で解析することを第二の専門としている。自身も筋金入りの「サウナー」であり、サウナブームを牽引する人物のひとり。著書に『医者が教えるサウナの教科書』(ダイヤモンド社)がある。