細田佳央太さん「人生で当たり前のことは何ひとつないから、悔いなく生きたい」|映画『人はなぜラブレターを書くのか』インタビュー
4月公開の映画『人はなぜラブレターを書くのか』に出演の細田佳央太さんに『美的』5月号でインタビュー。

細田佳央太さん|ラブレターはピュアで素敵。思いはちゃんと伝えて残したい

衣装/スタイリスト私物
「人生でつまずいたとき、1歩を踏み出すきっかけをくれる作品になりました」。そう語る今作は、主人公のナズナが24年前に朝の電車で恋心を抱いていた高校生・信介に手紙を書くところから始まる。2000年3月の日比谷線脱線事故で亡くなった富久信介さんへのラブレターが時を経て届いた実話に基づく物語で、細田さんは富久さん本人を演じた。
「僕も手紙を書きます。手書き文字の揺らぎに書き手の温度を感じるのは手紙ならではですよね。デジタルで手軽に思いを伝えられる時代に、改めて“伝えて残す”ことの尊さを感じています。特にラブレターは相手の顔色を気にせず、いちばんピュアな思いを伝えることができるので素敵ですよね」
初主演映画以降、「師と仰いでいる」石井裕也監督作。富久さんの遺族と会い、プロボクサーを目指していた彼のまっすぐさを感じながら、役づくりではボクシングにも取り組んだ。
「ご両親の愛情をはじめ、富久さんの生きた証を背負い切れるのかという重圧もありましたが、ボクシングに助けられました。週4〜5日の練習を約4か月間、夢中で続ける中で雑念が消えて。ボクシングは信介さんの生きる熱量のよりどころでもあり、それがナズナがほかの人と違うと感じた部分だったのかもしれません。彼らの不器用な距離の縮め方もいいんですよ。電車のシーンでは連絡先交換も気軽にできないふたりの素顔が出せた気がします。実は僕も男女関係なく、連絡先交換とかは自分からできなくて。聞いたら迷惑かな…と考えすぎるうちに聞けなくなるんです(笑)」
感情の機微を繊細に表現する芝居の原動力となるのは、自身の中にある「どうしようもない劣等感」だという。
「僕は今も自分と人を比べがちですが、そういうカッコ悪い自分も芝居に昇華させられる仕事でもあるので、劣等感も味方につけていきたいです。時を超えて人の思いが継承されていくことが丁寧に描かれている今作を通して、すべてはつながっていることを改めて感じています。人生で当たり前のことは何ひとつないと思うし、明日死ぬ可能性もゼロではないからこそ、悔いなく生きたいです。本当に多くの人に観てほしいです」
He is into…
眠れない夜はスマホにメモ
考え事を始めると眠れなくなりますが、ここ半年程、わいてきた感情を一気に全部書き出すと、すっきりと眠れるように。
ひとりカラオケ
大きな声を出すのが僕の精神状態と相性がいいみたいで、リラックスできます。最近はヨルシカさんや星野源さんを歌います。
映画『人はなぜラブレターを書くのか』

17歳のナズナは、電車で見かける信介に恋をしていた。進学校生の信介はプロボクサーを目指していた。そしてふたりは、運命の’00年3月8日を迎える。それから24年後、ナズナは信介に宛てて手紙を書く――。
監督・脚本:石井裕也
出演:綾瀬はるか、當真あみ、細田佳央太、妻夫木 聡ほか
4月17日公開
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。