YOUさんと語る「目の前の波をどう乗りこなすのか」|作家LiLyの対談連載「生きるセンス Season.8」第2話
「年齢を重ねるって、どういうことですか?」作家・LiLyさんが人生の先輩を訪ねて歩いた人気連載『生きるセンス』がwebへとお引越し。より楽しく、より自由に、より心地よく生きるべく、人生のヒントをさらに深掘りしていきます。今回はゲストにYOUさんをお迎えします。
YOUさんは人生の波を乗りこなすプロサーファー――LiLy
LiLyさん(以下、L) 昔からYOUさんを見ていて、一方的に思っていた印象があって。「40代、笑い止まんないよ」名言を聞いてもう絶対の自信があるんですけど、言ってもいいですか?
YOUさん(以下、Y) 何、どうした?
L YOUさんってサーファーみたいな人だなって。
Y どういうこと?
L 補足すると、人生のイイ波に乗るのが抜群にうまいプロサーファーだなって。目の前に来た波にライディングするかしないかを瞬時に判断して、乗ると決めた波に可憐に乗りこなしながら生きている。つねに「今を生きている人」。
Y 確かにそうだね。でも「今を生きなきゃ」と思ってやっているわけではなくて、生まれつきの性質なんだと思う。私の場合、過去も未来も特になくて、視野にあるのは今この瞬間と、あとは今日明日ぐらい。LiLyちゃんはどう?
L 私も人生に対する恐怖心がないので「今」その瞬間に波に乗るのは得意だし大好きです。でも、過去を振り返って思い出に浸るのも好きだし、未来に向けて人生の計画年表を立てるのとかも好きなタイプで、その情報をソースにサーフィンしてるかも。
Y そうやって未来年表とか書くほうが大物になるっていうよね。大谷選手もそうでしょう。
L ええ、ならまだまだ全然足りなすぎるし、これから頑張ることでの大器晩成型だと信じたいなぁ(笑)。でもでも、過去と未来をどれだけロングスパンで見渡すかは別として、YOUさんはいい波をつかまえるのが人類トップレベルで上手だと思うんです。軽やかにライディングしているように見えるYOUさんだからこそあえて聞いてみたいのが、そうはいっても苦しんだ時期ってあるのでしょうか?
0から1を生み出すのは苦手。1に乗っかるのが得意――YOUさん
Y その答えになるかどうかはわからないけど、苦手なことは明確にある。それが「0から1をつくること」。まず1があれば、それを工夫して膨らませることはできる。でも0から1を生み出すことは、私には難しいの。
L そうなんですね!?
Y それをわかっているからこそ、自分の好きな1を見つけるのは早いし、そこに愛情を込めて乗っかっていくのも得意だと思う。
L その客観性に真理あり、ですね。ご自身を的確に理解しているからこそ、乗るべき波を見極められるし、いい波は逃さないし、むしろご自身で最高の波を引き寄せてるって感じです! 私が書いている理由もそこにあって、自分を材料に人間を知りたいからなんですけど、その過程の中で自分のプロになれる。どうせ自分に生まれたのなら、不得意なものを徹底的に知っておくのはすごく重要。逆にそれを知ればこそ見える強みもあるし。
Y 特に私の仕事は人に見られることを前提としているから、「1に乗っかる」という特技が磨かれたのかもしれない。
L どういうことですか?
Y どんなに歌がうまくても、どんなに演技がうまくても、売れない人はなぜか全然売れないという現象ってあるでしょう。それってこの仕事は人から見られることが前提だから、見る側が欲することに対して供給ができているかどうかが重要視されるわけ。
L ふむ。
Y だからこそオファーされたからには現場ごとに求められている「1」を理解して、それを「1+α」にしてお返しする。あとは世間様のジャッジに委ねるだけ。それを「目の前に来た波に上手に乗る」というサーフィンにたとえるならば、確かにそうかもしれない。
綿密な人生プランが崩れるとき興奮する自分がいる――LiLy
L 今〝世間様ジャッジ〟とおっしゃったけど、私は人生を〝神様ジャッジ〟に委ねているところがあって。たとえば未来図を描いたとしても、もちろんそのとおりにはいかないですよね。
Y 人生には「ここでそう来るか!」ってこと、たくさんあるね。
L 「事実は小説よりも奇なり」とはよく言ったもので、神様は「善人にこんな試練を与えるなんて」という驚愕の筋書きをお書きになったりする。私だったらそんなシナリオ絶対に書けないというストーリーを神様は次から次へと、命の数だけ書き続けている。目が離せないんですよね。
Y なるほど。それは作家目線だね。
L 自分が綿密に描いた人生プランが音を立てて崩れていったとして、ただそれは〝神様ジャッジ〟なのだから、打ちのめされながらも興奮する自分がいるんです。「おー神様、そうきたか!」って。これはよくも悪くもなのですが、何が起きたとしても客観的に自分の人生を小説みたいに読んでしまうところがあって。
Y それはすごいよ。実は私、それがすごく苦手。超がつくほど現実主義だから、不確定要素はできるだけ省いておきたいの。
L ええ〜少し意外です!
Y もしかしてLiLyちゃん、すごいロマンチストでしょう?
L 日本にロマンチックさが足りないのが嫌で、わざわざ起業までしてロマンスコスメブランドを立ち上げたくらい、筋金入りのロマンチストです(笑)。え!? 私たち、もしかして真逆ですか?
Y おそらく真逆。こういうふたりは相性がいいはずだよ!


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イラスト/ekore 構成・文/本庄真穂
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