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2025.10.31

50代はカッコつけたい!――宮藤官九郎さんの舞台、健康、そして娘への思い

“オバちゃん”たちの、成立していないようで成立してる雑談が好きなんです。

――日々、ご自身をブラッシュアップするために心がけていることはありますか?

年齢を重ねる中で、社会のメインストリームから外れてきているという自覚は当然あります。55歳ですし。音楽も知らないミュージシャンのほうが多くなってきちゃったから、「俺が好きなものは一般的じゃない」ってどこかで思っちゃってるところはあると思います。

自分が好きなもの、好きな世界だけを見ていると、そうじゃないものが入ってこなくなるので、普段なるべくいろんな作品に触れようとしているかもしれないです。リフレッシュしようと映画を観たりしているのも、そうしないと自分の考えにこだわってしまうからかもしれません。

娘に面白いと思うものを尋ねたりして、今のカルチャーを把握しようとしたりもするのですが、逆に、娘世代が僕が昔作った作品を見て「面白かった」と言ってくれることもあるんで。必ずしも最新のものとかトレンドを取り入れることが正解ということじゃないんだなということは感じています。

――宮藤さんにとって、40代〜の大人世代の素敵さというとどんなところでしょうか。

朝ドラの『あまちゃん』や、ドラマ『監獄のお姫さま』あたりから、自分と同世代か少し上の世代の女性の雑談を書くことがすごく楽しいんです。今年書いた舞台『Wife is miracle~世界で一番アツい嫁~』もそうでした。子供の頃から、オバちゃんたちがご飯を作りながらどうでもいい会話をしているのを聞くことが苦にならなかったんですよ。話があっちこっちいったり、とまらなかったり、「あれなんだっけ。あれあれ」ばっかりで言葉が出てこない、みたいな会話って、なんかいいなぁと。

カフェで原稿を書いていると、近くに座っている40〜50代とおぼしき女性たちの話が耳に入ってくることがあるんです。もうね、誰も人の話なんか聞いていないんですよ。自分の話したいことだけ話して、「そうそうそうそう」って言いながら全然違う話をし始めるし。会話は成立していないのに、なぜかコミュニケーションは成立している……みたいな状況を見たり聞いたりするたびに、こういう集まりってむしろ必要なんだろうなと思うし、大人世代の女性のそういう屈託のなさ、明るさとか雑談力みたいなのは本当にいいなと思います。

禁煙したら10年前よりも元気に。これからはむしろどんどんカッコつけていきたい。

――40代以降でやめたこと、手放したことでよかったことはありますか。

いちばん大きかったのはタバコです。1日3箱吸ってたんですが、ある日「死にたくない!」と思っちゃったんですよね。それで12年前に禁煙を開始しました。やめられると思っていなかったんですけど、なんとか成功しました。今の体調を普通だとすれば、タバコをやめる前はやっぱり調子よくなかったんだなと思います。

今はランニングもしているし、40歳の頃に比べたら、今のほうが断然元気です。最近は休肝日を作ろうと努力しています。体力をはじめ、あちこちが衰えてきているのは間違いないのですが、衰えたということに自分が気がつかないくらいで留められたらなと思っています。

健康のために食べているものは……飲むヨーグルト。飲まないと奥さんに怒られるんですよ。うちは3人家族なんですが、「3の倍数でとってるんだから、常に3の倍数になっていないといけない!」と(笑)。なので毎日飲んでいます。

――今、日々の楽しみや癒しの時間というと?

今年はライブばっかりやっているのですが、ひとつ終わると次のライブが楽しみになっているかもしれないです。もしかしたら、何か発散したいのかもしれないですね。普段は、銭湯に行ったり、サウナに行ったり、またサウナに行ったり、車を運転したり、みたいな時間が息抜きです。最近、仕事場に車で行くことが多いのですが、車はひとりになれる時間ですし、運転中に聴くラジオが好きです。

――50代、どんな自分でいきたいですか?

先日、イラストレーターの安齋肇さんに「宮藤くん、白髪があるじゃないか。ショックだよ!」と言われまして。いやいやいや、そりゃ生えるわって思いました。安齋さんが70代になったように、俺も50代なんだよ、しょうがないですよって。

40代までは、“カッコつけていないのにカッコいい俺”が理想でしたが、もうそれは無理。今は、カッコつけていないとカッコよくなれないということがわかったので、これからはどんどんカッコつけていこうと思っています。まずは、半ズボンに雪駄で家から出るのをやめてみる、せめて靴を履く、あたりから……。家族に「その格好でウロウロしてきたの?」とか言われちゃうんで(笑)。

 

くどう・かんくろう/1970年宮城県生まれ。脚本家、映画監督、俳優。’91年より大人計画に参加。脚本家として、映画『GO』(2001年)で日本アカデミー賞最優秀脚本賞など多数の脚本賞を受賞。連続テレビ小説『あまちゃん』、大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』、ドラマ『木更津キャッツアイ』『ゆとりですがなにか』『離婚しようよ』『不適切にもほどがある!』など多くの話題作を手掛ける。俳優として、近年は映画『こんにちは、母さん』『海辺へ行く道』などに出演。パンクバンド「グループ魂」ではギターを担当し、ラジオや雑誌連載をもつなど幅広く活躍。

 

大パルコ人⑤オカタイロックオペラ『雨の傍聴席、おんなは裸足…』

2042年の東京。離婚を決意しているミュージカル俳優の獅子童吠と演歌歌手の観音寺かすみ。二人は、発達障害があるが天才音楽家……かもしれない長男リッケンの親権をめぐり、法廷で泥沼の争いを繰り広げる。両親の期待の重圧を感じながら成長する兄と、天真爛漫に成長している弟バッカー。この家族の未来はどこへ向かうのか……。

作・演出/宮藤官九郎
音楽/上原子友康(怒髪天)、峯田和伸(銀杏BOYZ)
出演/阿部サダヲ、松たか子、峯田和伸、三宅弘城、荒川良々、黒崎煌代、少路勇介、よーかいくん、中井千聖、宮藤官九郎、藤井隆
2025年11月6日〜30日/東京・PARCO劇場ほか、大阪、宮城でも公演。

大パルコ人⑤オカタイロックオペラ『雨の傍聴席、おんなは裸足…』公式サイト

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

EDIT: 美的GRAND編集部

2018年に小学館が創刊した大人世代向け美容専門誌『美的GRAND』の編集部。40代以降の女性が抱える美容やライフスタイルの悩みに寄り添い、ドクター、研究者、美容ジャーナリスト、エディターなど各分野のプロフェッショナルと連携し、スキンケアからメイク、ヘルスケア、ウェルネスまでを多角的に紹介。「年齢に抗う」というアンチ・エイジングではなく、年齢ととともに自分らしい美しさを積み重ねていくというポジティブな“ネオ・エイジング”を提唱し、信頼できる知見をわかりやすく発信することを心がけています。

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撮影: 杉江拓哉(TRON)

スタイリング: チヨ

取材・構成: 松田亜子

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