“Mattママ”桑田真紀「仕事の上で気を付けているタイムマネジメントとコミュニケーション」|美的GRAND 連載 vol.17

夫は野球界のレジェンド・桑田真澄氏、次男は現在アーティストとして多方面で活躍中のMatt Rose氏。専業主婦から一念発起し、彼らを公私ともに支え、現在は化粧品会社も経営する桑田真紀さん。「優れた才能を発掘して応援したい」という根っからの「応援気質」で周囲の人々をサポートする真紀さんの「応援力」は、夫、子供、義理両親など身内だけでなく、上司・部下・同僚やママ友、すべての人間関係の参考になるはず。
仕事の上で気を付けているタイムマネジメントとコミュニケーション

ふんわりとした設定ではなく「何時までに終わらせる」と決める
前回、仕事でのペースが心地よい人、自分と合う人とはスムーズに事が進むということを書きました。そうは言っても、ビジネスですから最低限のスピード感は必要であり、円滑に進めることはマナーでもあります。そのテンポは、当然全てのステップの早い遅いに繋がっていくわけですから。
特にやりたくないことや言いづらいことでやりとりが滞ることが多いと思いますが、そういう煩わしいなと感じるものほど即やったほうがいいですし、それができていないといろいろ計画がズレていってしまうわけです。
「そんなことわかってはいるけど」……ですよね。
だとしたら、「今日中にやる」「明日夕方までにやる」ではなく、「今日の午後1時ちょうどにスタートして15分以内で終了させる」とか、「明日の朝9時の始業と同時に必ずメールする」とか、明確に時間を区切ってしまうのもひとつの方法かもしれません。「タスク」として「事務的に」「時間通りに」こなしていく。それが習慣になれば、即レスしない自分にモヤモヤするように。習慣になってしまうまで繰り返せば大成功です。
「それを済ませないと気分が晴れない」という境地にまで達したらしめたもの。皆さんの暮らしの中にもいくつかそんな「自分だけの小さなきまり」があるはずです。ジムに行って筋トレすることだったり、ヨガだったり、ランニングだったり、「身体を動かす系」の「やらないと気が済まない」習慣をよく耳にしますが、日常のささいなことでもあると思うのです。
午前中に必ずトイレ掃除をしないとモヤモヤするとか、自分だけの食器のしまい方ルールがあったり、ゴミの出し方だったり、何でもいいんです。面倒な作業のルーティンでも習慣化してしまえば逆に面倒じゃなくなって、むしろやらないとすっきりしない……そんなことはありませんか? 仕事もそれと同じで、自分にとってのイヤなこと、苦痛なことほど、「何時までにやる」と時間をしっかり決めて習慣化してしまうのがいいと思いますよ。
人に任せることは「チーム」と自分の成長に役立つ
もうひとつ、ビジネスをしていく上でよく相談されるのが、「人に任せられず、何でも自分でやってしまってパンクする」というビジネスパーソンの悩み。私もまだまだトライアンドエラーの最中ではありますが、ひとつ言えるのは、「人に任せるということも、自分にとって勉強のうち」だということ。任せる方も任される方も、共に「学び」であります。
お取引先とはプロ対プロの関係ですから、「ここは全面的にお任せする」という場面はいくらでもありますよね。それと同じで、自分の会社の従業員や外部スタッフにも、同じ気持ちで「全面的に任せてみる」のです。時には口を出したくなってしまうこともあるかもしれません。もしかしたら自分がやってしまったほうが早いことも多々あるかもしれません。やり方を説明するほうが面倒だと思うこともあるかもしれません。でも、そこをグッと我慢して、とにかく信頼して任せてみる。それは、自分がラクをするためではなく、事業の幅を広げるための第一歩。チームを強固なものにするためには必要なことです。
今現在は具体的に何も決まっていませんが、今後は私もさらに別の事業ができたらいいなとうっすらと考えているところで、だとしたらなおさらのこと人材は必要です。言うまでもなく、人は宝ですから、経営側も、スタッフも、どちらもいきいきとやりがいが見いだせる、学びが多いチームにしていきたいと思うのです。
単なる「グループ」ではなく、目的を共有して協力していく「チーム」。
ひとりひとりの能力や個性を最大限に発揮できるチームビルディングをするために、私も一生懸命、組織の強化に挑戦しているところです。
どうでもいいような雑談でもそれは充分なアイスブレイクになる
ところで、皆さんは仕事の場面で雑談をするタイプ?それとも避けるタイプですか?
仕事の打合せの際に、ちょっとした雑談をする人としない人に分かれると思うのですが、私は敢えて「する」ほうです。お会いしてすぐだったり、議題がひと段落したとき、本題とは関係ない時節の話題を入れてみたり。
初対面だとお互い構えたり、緊張してしまうことがほとんどではないでしょうか。メールや電話でのやり取りを経て実際にお会いするわけですが、事前連絡はどうしても事務的でフラットな印象になりがちですから。
私の仕事で言えば、特にテレビやCMなどの映像関連のものは関わるスタッフが多いし、広告代理店やクライアントの皆さんなど、たくさんの方々にお世話になります。とにかくいろんな人にお会いしますが、その多くはその時一度きりの巡り合わせで、浅いお付き合いになりがちだということも少なくありません。
でも、待ち時間も含め、「1回きりなのに関わっている時間は結構長い」というパターンが多いのもこの仕事の特徴。私はその際にもスタッフの皆さんとは進んでおしゃべりするようにしています。何の話題でもいいから少しでも盛り上がれると、こちらもホッとします。打ち解けてくると「最近おすすめの化粧品って何ですか?」というような質問をいただくことも。ちょっと取り出したリップクリームやハンドクリームがカンバセーションピースになることも多々あります。
美容の情報交換は「まさにリアルな口コミ」という感じで、楽しいし有益ですし、そのおしゃべりによって思いもよらないアイデアが浮かんだり。場が和むだけではなく、新たにビジネスが広がるヒントになったりすることもあります。そんな時、「やっぱり私は”人”が好きなんだな」と再認識します。
「袖振り合うも多生の縁」ではないですが、そこで不思議と波長が合って仲良くなる人もいます。無理に関係を深くするわけではないけれど、その日が終わった時に「ああ、今日の現場は楽しかった」と思ってもらいたいですし、私たちもそう思いたいのです。結局はそれが「いいものが完成する」ことにつながる気がしています。
今回は私が日頃心がけている「仕事を円滑にする3つ」をお伝えしました。ビジネスはもちろん、お付き合いや生活のヒントになればうれしく思います。
桑田真紀【全方位「推し活」力の磨き方 】そのほかの記事はこちら撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/広瀬あつこ 構成/三井三奈子
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