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2024.3.14

野口美佳さんと語る「自然が私たちに教えてくれること」|作家LiLy対談連載「生きるセンス Season.2」第4話

「年齢を重ねるって、どういうことですか?」作家・LiLyさんが人生の先輩を訪ねて歩く人気連載『生きるセンス』がセカンドシーズンに突入。より楽しく、より自由に、より心地よく生きるべく、人生のヒントをさらに深掘りしていきます。第2回は、ミカジョンこと野口美佳さんが登場。ニセコ暮らしで感じていることとは…?

第1話▶▶人生の達人 野口美佳さんが語る「センス」とは?
第2話▶▶人生の達人 野口美佳さんと語る「執着を手放すと、どうなる?」
第3話▶▶人生の達人 野口美佳さんと語る「成功者の定義って、何?」
第5話▶▶人生の達人 野口美佳さんと語る「野心はもつべきか否か」

生きるセンス

2000年に夢見た未来を
私たちは生きている
――LiLy

LiLyさん(以下、L) つねに〝今〟を生きている印象のミカジョンだけど、2024年を迎えた今、考えていることはある?

美佳さん(以下、M) 単純に、長く生きてきたな、とは思うね。

L 毎日が爆速で過ぎていくけれど、よく考えると、2000年代に入って24年が経とうとしているんだよね。

M 大騒ぎした2000年問題からもうすぐ四半世紀ということか。

L この24年間で、いろんなことが大きく変わったと思うの。つい最近「私、とうとう未来に来たんだな」と思ったことがあって。

M 未来って?

L 「裏渋」と呼ばれるエリアに久ぶに行ったの。なんでもない快晴の午後だったんだけどね、シーシャカフェでかかっていた音楽がよいねって友達と話していたら、店員の男の子がサクッとSportifyの自作プレイリストをエアドロしてくれて。スマホひとつで連絡先を交換することもなく音楽をシェアできて。外に出たら、カラフルなヘアカラーにリュック背負った若者たちがLuup(電動キックボード)でスイスイ移動していて。あ、景色が変わったなって。しかもLuupの社長はまだ20代って聞いたばかりだったこともあって。ドラえもんの漫画のような未来っていつ来るんだろうと思っていたけど、「ああ、まさに今、私は未来を生きている」って思ったの。

M そう考えると、たかが24年、されど24年。2050年の世界はどうなっているのか、すごく楽しみだね。

森で暮らしていると
畏怖の念が湧いてくる
――野口さん

L ミカジョンはこの先に何がしたいかって考えている?60代を目前にして目標などはあるの?

M まずは、スノボが大好きだから、そのために動ける体でいることは必須。あとは目標というより、今いちばんやりたいことは、ニセコの家周辺の森の整理かな。

L 森の整理!? その話、詳しく聞かせて!

M 倒れた木を整理したり、そこで出た枝をまとめたり、伸びっぱなしの草木を整えたり…。めちゃくちゃ体力使うから、大変なんだよ。でも森の四季を見ているのは本当におもしろくて、それこそが今の私が夢中になっていること。趣味のきのこ狩りも生活一部で、森の中にいると幸せな気持ちになる。

L はぁ、素敵すぎる話で深くため息。森に囲まれる暮らしを選んだこと、さらに森を整えることに喜びを覚えていること。それこそがセンスだと思うの。あとそれを一緒に楽しんでくれるパートナーの存在も大きいかもしれないね。

M 森の中で暮らしていると、久しぶりに東京に来たとき、すべてがつくり物だな、と感じる瞬間がある。まぁ人間の手によるクリエイションの賜物だと考えると、それはそれですごいのだけど。

L ニセコの環境とは、まったく違うもんね。

M ニセコは季節によってはカメムシが大量発生したりして、ものすごく臭くて、1日100匹以上退治して、それで1日が終わってしまう、なんてこともある。バンバン退治しながら「君たちはなんのために生まれてきたの?」なんて思うけど、あんな造形のあんな生き物、人間は絶対につくり出せない。そう考えると、自然へのリスペクトが湧いてきたりもして。森で暮らしていると、24時間のうち23時間は自然に支配されているといっても過言ではないかな。

神様がつくる偶然を
人間は超えることができない
――LiLy

L 私が作家としてつねづね思っているのが、「神様がつくる偶然を、人間は決して超えることができない」ということ。だから何かをこねくり回したような安っぽいドラマを書くのは意味がないと思ってる。神様による偶然の産物の人生を受け入れて、巫女のように書くのがいいのかなと思っているんだよね。だからこの起業という冒険も作家業の一部。執筆には人間活動が必要。

M LiLyが言っていること、よくわかるよ。私はもう人工物にあまり興味がもてないんだよね。ただ18歳から30年間東京に住んで、いざニセコに移住すると決めたとき、唯一惜しいものがあったの。なんだかわかる?

L うーん…。

M それこそが食。お寿司屋さんやフレンチなど、職人やシェフの技術を施した、一流の美食と離れるのはすごく辛かったね。少し前までは1年後の予約をもっていて、わざわざ食べに来たりもしたけれど、もうそういうこともしてないな。今はニセコで収穫したキノコや、海で手づかみにした鮭、漁師さんからいただく鹿肉などを自分たちでサッと調理して食べるほうが楽しいし、おいしい。

L うわぁ。そこに「食」がくるのかぁ!私には思いもつかないことだ。やっぱりミカジョンはセンスの塊。ニセコに移住してゆったりするどころか、感覚が研ぎ澄まされてキレッキレになっているのを感じる!

野口美佳
1965年生まれ、宮城県出身。女性向けのランジェリー通信販売会社「ピーチ・ジョン」を立ち上げ、代表取締役を務めたのち、実業家に。現在は北海道・ニセコに移住し、自然豊かな森の家で暮らす。
Instagram:@mika_john_noguchi
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LiLy
作家。1981年生まれ。神奈川県出身。N.Y.、フロリダでの海外生活を経て上智大学卒。25歳でデビューして以来、女性心理と時代を鋭く描き出す作風に定評がある。著書多数。
Instagram:@lilylilylilycom

次回は3月21日公開予定!
第5話「野心はもつべきか否か」
お楽しみに!

イラスト/ekore 構成・文/本庄真穂

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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