人生の達人 野口美佳さんが語る「センス」とは？｜作家LiLy対談連載「生きるセンス Season.2」第1話

「年齢を重ねるって、どういうことですか？」作家・LiLyさんが人生の先輩を訪ねて歩く人気連載『生きるセンス』がセカンドシーズンに突入。より楽しく、より自由に、より心地よく生きるべく、人生のヒントをさらに深掘りしていきます。第２回は、ミカジョンこと野口美佳さんが登場。さて、人生の達人が語る“センス”とは？

第2話▶▶人生の達人 野口美佳さんと語る「執着を手放すと、どうなる？」
第3話▶▶人生の達人 野口美佳さんと語る「成功者の定義って、何？」
第4話▶▶人生の達人 野口美佳さんと語る「自然が私たちに教えてくれること」
第5話▶▶人生の達人 野口美佳さんと語る「野心はもつべきか否か」

作家・LiLy × 今回のゲスト 野口美佳さん

LiLyさん（以下、L）　ミカジョン、今日はわざわざニセコから東京まで出てきてくれてありがとう！すっごく会いたかった！

美佳さん（以下、M）　LiLyのために羽田空港から直接駆けつけたよ。実際に会うのは少し久しぶりだよね。元気だった？

L　元気、元気！っていうかミカジョン、めちゃくちゃきれい…。ＳＮＳを見ながら「なんかすっごくかわいいんだけど、どうして？」って思っていたの。でも、実際にこの目で見て確信しちゃった。私たち、知り合ってかなりの年月が経つけれど、ミカジョンは今がいちばん美しい。断言します。

M　そんなに褒めるなんてどうしたの？何も出てこないよ？（笑）

L　ではさっそく、この対談のタイトルを申し上げます。ズバリ「生きるセンス」。人は年齢を重ねるほど、生き方にセンスが出ると思っているのね。そしてそのセンスはどこから生まれるものなのか、今回は根掘り葉掘り聞いていきたいのです。

M　なるほどね、了解。

L　だから今、私はミカジョンのことを「きれい」と言ったけれど、それは「抜群にセンスがいい」というニュアンスを大いに含んでいるの。若く見えるとか、顔立ちが整っているとかそういう次元ではなくて、「自分らしさを更新し続けている美しさ」とでもいうのかな。アイデンティティとか、オリジナリティとか、そういう言葉に通じるものかもしれない。

M　センスはお金じゃ買えないからね。これだけは確かだよ。

L　最初から本質を突いてきたね。まさにそのとおり。さらに最近実感しているのが、自分が何者かを知るセンス。私は今、セクシャルウエルネスのブランドを立ち上げるべく起業して、２０２４年のローンチに向けて日々慌ただしく過ごしているのだけど、あるアパレルアイテムを開発する際、うっかり自分たちでデザインを始めてしまったことがあったのね。

M　それってどうなんだろう。

L　でしょう？完全にファッションデザイナーという仕事への冒涜だよね。ビジネスパートナーの子とお互い目を見合わせて「間違えた！餅は餅屋だ！」ってすぐに止めました。私たちはセンスがいい人を探して、だれに何をお願いすればいいのかを見極める、いわゆる編集者的視点はあるかもしれないけれど、決してある分野のクリエイターなどではない。「ああ、勘違いもはなはだしい！」って、世界中に土下座しました。

M　「調子こかない」というのも、ある意味センスなんだよ。

L　おっしゃるとおり。生き方、働き方、暮らし方。さらに恋愛の仕方から年齢の重ね方まで、人生のあらゆるシーンで必要なのが、センス。今、ミカジョンはニセコに移住して、自然に囲まれた暮らしをして、人生史上いちばんの美しさを誇っている。そのハイセンスな生き方、年齢の重ね方に、私は心の底から憧れているの。

M　ありがとう。すごく嬉しいよ。

L　そして、今のミカジョンの人生に欠かせないのが、あのとーっても素敵なパートナーだよね。

M　ふっふっふ。

L　彼と出会ったのは、確かハワイだったよね。あれっていつだっけ？

M　今から９年前だと思うよ。

L　そんなに前？あのときのミカジョンはショートカットで、ショートパンツがすごく似合っていて、とってもチャーミングだったな。ちなみに何歳だったの？

M　確か50歳のときだね。

L　そうだったんだ！でもその前は「恋愛なんて暇なやつらがするもんだ」なんてせせら笑ってたの、覚えてる？

M　そうそう。そんな自分がまさか50歳で３回目の結婚をするなんてね。

L　その頃、私が家族総出でハワイのご自宅を訪れたの、覚えてる？

M　もちろん！LiLyと子供たち、あとお母さんも一緒に来たよね。

L　２週間ほどいたかな。けっこうなロングステイ。

M　LiLyのお母さんがすごくおもしろい人で。

L　そう、めちゃクレイジーなの（笑）。なんというか、文学少女がそのまま大人になった感じ。不思議ちゃんであり、文芸アディクトでもある。

M　「それはハルキがデビュー当時に言っていたことと同じね」とか、愛読書の記憶がすごい。その読書好きの血が、LｉLｙにも流れているんだね。

L　そのハワイ旅行だけど、ミカジョンはミカジョンで運命の人と巡り合って人生のターニングポイントを迎えていたと思うんだけど、私は私でミカジョンから指摘された、あるすごい事実が私に大きな気づきを与えてくれたの。それって、何かわかる？

M　ああ、発達障害？

L　そう。あのハワイで、私に向かって「それって発達障害じゃない？」ってプレーンなトーンで伝えてくれた。そのことが、私のその後の人生を大きく変えていくことになるんだよね。

「自分らしさを更新し続けている美しさ」というものが存在すると思う――LiLy

センスはお金では買えない。これだけは事実。――野口さん

自分が何者かを知り、わきまえる。その美意識が必要。――LiLy

「調子に乗らない」のもある意味ではセンスなのかも。――野口さん

野口美佳
1965年生まれ、宮城県出身。女性向けのランジェリー通信販売会社「ピーチ・ジョン」を立ち上げ、代表取締役を務めたのち、実業家に。現在は北海道・ニセコに移住し、自然豊かな森の家で暮らす。
Instagram：@mika_john_noguchi

LiLy

作家。1981年生まれ。神奈川県出身。N.Y.、フロリダでの海外生活を経て上智大学卒。25歳でデビューして以来、女性心理と時代を鋭く描き出す作風に定評がある。著書多数。
Instagram：@lilylilylilycom

次回は2月29日公開予定！
第２話「執着を手放すと、どうなる？」
お楽しみに！

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