野口美佳さんと語る「成功者の定義って、何?」|作家LiLy対談連載「生きるセンス Season.2」第3話
「年齢を重ねるって、どういうことですか?」作家・LiLyさんが人生の先輩を訪ねて歩く人気連載『生きるセンス』がセカンドシーズンに突入。より楽しく、より自由に、より心地よく生きるべく、人生のヒントをさらに深掘りしていきます。第2回は、ミカジョンこと野口美佳さんが登場。成功者の定義とはお金?もしくは…
第1話▶▶人生の達人 野口美佳さんが語る「センス」とは?
第2話▶▶人生の達人 野口美佳さんと語る「執着を手放すと、どうなる?」
第4話▶▶人生の達人 野口美佳さんと語る「自然が私たちに教えてくれること」
第5話▶▶人生の達人 野口美佳さんと語る「野心はもつべきか否か」
時代をつくる起業家は
まるでアーティストのようなのだと思う
――LiLy
LiLyさん(以下、L) 私は今、セクシャルウエルネスブランドを起業して、その仕事に邁進しているのだけど、折に触れて「やっぱりミカジョンって、そして “PEACH JOHN ” ってすさまじかったんだな」って感じるの。
美佳さん(以下、M) あの時代、懐かしいね。
L “PEACH JOHN ” が掲げた「元気、ハッピー、セクシー」というキャッチコピーに私たち世代は育てられたよ。
M マルキューで堂々とランジェリーを展開したのは早かったかもしれない。
L それも生々しい感じではなくて、ポップ。だけどちゃんとセクシー!女の子が自分をエンパワメントするために下着を選ぶ、そのはしりだよ。あとね、社長って女性でもなれるんだ、って印象を日本に知らしめた。あのド派手なかまし方は、時代をリードしたと思う。あれはアートだったと思うよ。
M アートは言いすぎ(笑)。
L いや、ビジネスって、広告のビジュアルやコピーがあって、商品が売れて、モノやコトが社会に浸透して、それがいずれ文化となる。今、自分がブランドを立ち上げるミッションに挑んでいるからこそ、起業家ってアーティストとかクリエイターに近いのでは、と思っているんだよね。
M そっか、その視点は面白いかも。
成功者の定義はわからない。
ただ、成功=お金では決してない
――野口さん
L そこで一時代を築いたミカジョンに聞いてみたいのが、成功って何?成功者ってどんな人?ということなのだけど。
M 人から見ると私は成功者になるのかもしれないけど、自分をそう思ったことは一度もないなぁ…。いや、あるね!それも最近。
L ぜひ教えて!
M 今、私はニセコのスキー場のそばのログハウスを購入して、手入れをしながら住んでいるじゃない? その家の暖炉に火が灯っていて、夫が寛いでいて、子供たちに「ママ、何飲む?赤ワイン?」って言われたとき、「ああ、こんなに幸せな人、世の中にいる?」って感じたんだよね。思い返せば、あれこそが自分を成功者だと実感した瞬間かもしれない。
L はぁ…すごいいいシーン。その話を聞いて思い出したんだけど、ミカジョンが今のパートナーとあらためて一緒になる決意をしたとき、当時住んでいたハワイのマンションの屋上で、ひとりでシャンパンを開けて乾杯している写真を送ってきてくれたのね。「女性でもこういう生き方ができる。働く女性のパイオニアとして、社会を切り拓くために戦ってくれた過去の女性たちに乾杯してる」って書いてあったの。
M うん、覚えてるよ。
L あのハワイでの乾杯は、今のニセコの赤ワインへの伏線だったのかも。
M ふふふ。ただ成功ってなんだろうね。成功者の定義もわからないな。ただ私の場合、「成功=お金」ではないことは確か。いろいろなことを経験した今、炎のゆらめきを眺めて味わう一杯の赤ワインが、揺るぎない成功の証だと感じるんだよね。
40代で起業して
新たなる人生の冒険が始まった
――LiLy
L 実は人生でいちばんお金がない今の私も今、自分のことを成功者だな、なんて思う瞬間がここ最近はたくさんあるの。
M LiLyは起業の真っ只中にいるから。それは楽しいよね。
L 40代に入って、新たな冒険が始まったことに興奮してる。女友達と一緒に起業したことも大きいな。毎秒楽しいの。毎日文字通り大爆笑しながらマルチタスクをこなす日々で。作家ってやっぱり孤独だから、相棒ができて、新しいプロセスを全力でこなしていくこの過程が幸せでたまらない。成功=幸せを腹の底から感じる瞬間があるってことなのかも。つまり「人」と「体験」かな。
M お金はなくてもサクセスできるってこと。
L 結果としてのお金を掴みにいくゲームが楽しい、とも言えるなぁ。ミカジョンとはこうやって感性を共有できるのがすごくうれしいし、楽しい。まるで同志のようだし、その一方で、メンターでもあるし、親友だし、最高。
M LiLyとの付き合いは長いけど、お互いに “今 ” の話ができるのがいいんだと思うよ。
L ミカジョンは昔の武勇伝を語るタイプじゃないもんね。「忘れた〜」ってよく言うし(笑)。
M 昔の話を「すごいですね〜」って聞かれるのもちょっと苦手かな。それよりは、自分ではできないこと、まだ知らないことについて、好奇心旺盛にフラットな姿勢でシェアできる人と話がしたい。
L 過去の自分に執着することなく、軽やかに今を生きる。ミカジョンが「自分らしさを更新し続けている美しさ」の秘訣は、そこにあるのかも!
1965年生まれ、宮城県出身。女性向けのランジェリー通信販売会社「ピーチ・ジョン」を立ち上げ、代表取締役を務めたのち、実業家に。現在は北海道・ニセコに移住し、自然豊かな森の家で暮らす。
Instagram:@mika_john_noguchi
Instagram:@lilylilylilycom
次回は3月14日公開予定!
第4話「自然が私たちに教えてくれること」
お楽しみに!
イラスト/ekore 構成・文/本庄真穂
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。