美的GRAND
お悩み別ケア
2023.5.14

オトナのニキビ対策にも!この15年で劇的に進化したニキビ治療の現在地|biiku

青春時代、適切なニキビ対策がなく、試行錯誤したグラン世代。皮膚科での治療が驚く程進化した今、ニキビはセルフケアで乗り越えるトラブルではありません。思い込みを捨てて情報をアップデートし、子供と自分の肌を守りましょう。ニキビ発症のメカニズムから最新治療まで、皮膚科医の小林美和先生が解説します。 biikuのニキビ特集第2回目(全3回)。

成長段階ゆえ皮脂分泌が不安定に。まずはニキビ発症の仕組みを“おさらい”

気にする程悪化し、放置しても改善しない思春期のニキビ。我が子の肌を早く回復させたいなら、若かりし頃の知識や経験からアドバイスをしないこと。皮膚科専門医の小林美和先生に解説していただきます。まずはニキビ発症の仕組みから。

「赤ちゃんの肌に毛穴が見えないのは、皮脂腺が未熟だから。幼児期〜小児期は皮脂を作る力が弱いので誰もが乾燥傾向です。1018歳の第二次性徴期は、性ホルモンの変化に伴って皮脂腺が成熟し、“皮脂を作れる”ように。毛穴が目立ち始めるのもこの頃から。皮脂が肌表面をコートして肌の内側に水分を留められるようになるので、乾燥は落ち着きますが、皮脂腺の機能が安定するまでは皮脂分泌も暴走しやすい状況に」。外から油分を補って肌を保護する小児期を過ぎたら、皮脂量に応じて保湿の内容を変える必要がありそうです。

とはいえ、皮脂が出る=ニキビ、ではありません。「皮脂腺は毛穴の中にあり、皮脂が毛穴から外にサラサラと流れ出ていれば問題ないのですが、毛穴が詰まると炎症が発生。そこに関わるのがニキビの原因菌であるアクネ菌です。本来アクネ菌は悪者ではなく潤いを守るために一定量は必要。でも、皮脂をエサに増殖すると凶暴化し、脂を分解して刺激を起こす物質(過酸化脂質)に変え、毛穴詰まりや炎症を誘発します」

皮脂腺は、特に男性ホルモンの影響を受けて発達しますが、ほかにもさまざまなホルモンに反応することが明らかになってきているそう。「個人差はありますが、カロリーや糖分のとりすぎ、ストレスにも応答するという研究報告も。いわゆる大人ニキビとの関連が示唆されます」

転換期は2008年。ニキビ治療薬の登場で、早く確実な改善が可能に

ニキビができるメカニズムは今も昔も同じですが、大きく変わったのが、保険適用のニキビ治療です。転換期は2008年、15年前のこと。

「かつてはアクネ菌を減らすために抗生物質が使われていましたが、長期使用で効かなくなったり、再発予防効果はない欠点がありました。
ニキビの初期段階、コメド(面ぽう)から使えるニキビ治療薬が初めて登場したのが2008年、ディフェリンゲルです。2015 年にベピオゲル、デュアック配合ゲル、2016年にエピデュオゲルも加わりました。この4種のニキビ治療薬は思春期から大人まで使えます。炎症がひどい場合は抗生物質や漢方薬を追加しますが、早期であればニキビ治療薬で充分に効果を得られ、結果も早い
セルフケアで炎症を長引かせると、美容医療でも改善が難しいニキビ痕を残す可能性も。ニキビは皮膚の病気と認識し、見つけたらすみやかに皮膚科を受診しましょう。一定期間の治療でも改善が物足りないと感じたら、ケミカルピーリングなどの自由診療という選択肢も」

また、治療中は乾燥感が強く出ることもあるため、ホームケアでは適切な保湿が重要に。「ノンコメドジェニックテスト済みのアイテムを選び、ティーンは水分重視・油分少々、大人は水分と油分をバランス良く補って。オリーブ油などに含まれるオレイン酸は、ニキビを悪化させる脂肪酸なので注意が必要です」

令和の正しい知識を身につけて、ニキビとの闘いに今すぐ終止符を!

ニキビレスへ 令和のアプローチ3

1:ニキビは「病気」。一般皮膚科で早期治療を

“できはじめ”で皮膚科を受診すれば保険治療で効果が出やすく結果も早いもの。「かつては硫黄入りローションや抗生物質の塗り薬・飲み薬が使われていましたが、現在はニキビ治療薬が4種類。症状に応じて、毛穴を詰まりにくくするディフェリンゲルのほか、毛穴詰まりを解消しながら菌を殺すべピオゲルやエピデュオゲル、抗生物質を配合したデュアック配合ゲルを。赤い炎症ニキビには抗生物質の塗り薬や飲み薬を併用することもあり、成長期はルリッドやファロムが一般的です。体内の改善が必要な場合は体質に合う漢方薬を処方することも」

2:ニキビ痕を改善するなら、自由診療の美容皮膚科も

皮膚科での治療は、炎症性皮膚疾患であるニキビを治すことが目的。「ニキビ治療後に赤みや凹へこみ、色素沈着を改善したい場合は、美容皮膚科での保険外治療も。日本皮膚科学会のガイドラインで推奨されている、薬剤を使って古い角質を除去しターンオーバーを整えるケミカルピーリングは10代でも。ニキビ痕が気になれば、まずはかかりつけの先生に相談を」

3 :日々のスキンケアで悪化を防ぎ、連鎖を断ち切る

ニキビ治療中はホームケアも重要に。ここで日々のスキンケアの方向性を間違えると、治療の結果が出にくく、悪化や再発も招きかねません。「そもそも10代の肌は、皮脂が多いので、朝晩の洗顔と水分重視の保湿でOK。ニキビ治療中なら、炎症を落ち着かせ、肌のコンディションを安定させるアイテムを選びましょう」

【関連記事】
オトナもコドモも初動を見極め、ニキビ痕を残さない!     こちらへ!
思春期ニキビも大人ニキビも、正しいホームケアで負のスパイラルを脱出
      こちらへ!

こばやし皮膚科クリニック

小林美和先生

 

『美的GRAND2023年 春号掲載
イラスト/きくちりえ(Softdesign) 文/片岡えり 構成/佐野有子

 

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事