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2022.8.19

美人女優が、どうしても上手く歳を取れない理由。【齋藤薫「大人美のマナーとルール」vol.12】

美容医療を“やり過ぎ”て、顔が変わってしまうと、ハリウッドでも女優は一気に仕事を減らしてしまうのに、この“美人女優”だけは例外。女優と年齢と美容医療の、抜き差しならない関係をここで改めて検証してみたい。【齋藤薫「大人美のマナーとルール」vol.12】

美貌を売りにしてこなかった女優ほど、歳をとらない?

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ニコール・キッドマン、昔から大ファンだった。才能に溢れ、本当に美しい人だから。かつて“世界一美しい女優”と讃えられたことさえあったと思う。そう、ちょうどシャネルNo.5のミューズだった頃……。
しかし美人女優として一時代を築いた人ほど、歳を重ねるのが難しい。美しくなければいけないというプレッシャーが重くのしかかり、上手く歳を取れないのが普通なのだ。

不思議なもので、女優も男優も“美貌を売りにしてこなかった人”ほど、逆に40代以降も見た目にあまり歳を取らなかったりする。
つまり端正な顔の方が、加齢による変化が強調されて見えるのだ。さらには主役を張ってきた美人女優ほど、どうしたって若さ美しさにしがみつくから、いろいろやりすぎてしまう。だから余計に、若い頃との落差が形になりやすいのである。

残念ながらその典型が、ここ10年ほどのニコール・キッドマン。だいぶ前から、“顔がしょっちゅう変わること”がゴシップ誌に度々取り上げられてきたけれど、確かに見るたびに顔の印象が変わる。申し訳ないけれど、この人を担当するドクターとの相性が良くないのか、そもそもこの人の顔には美容医療が合わないのか。そこは不明だけれど、なぜこうも顔が変わっていくのか?

これに対し本人は、最低限のボトックスには手を出したことがあるけど、もうやらないわと語っているが、想像の域を出ないものの、その変化を見る限りは、それこそやり過ぎなくらい色々試してみているに違いない。ひょっとすると、自分の顔をどのような方向に持っていったらいいのか、もはや分からなくなってしまっているのではないだろうか。

世の中、そんなに人の顔など見ていない事実に気づこう

この人自身がそうであるという意味ではなく、今、自分の容姿に対して異常に執着してしまう精神疾患が注目を浴びていて、例えばビリー・アイリッシュやキム・カーダシアンがそうした症状に見舞われていることを告白している。これは、ちょっとしたことから自分の容姿にコンプレックスを持つようになるのが原因と言われるが、やはり注目されることへの恐怖が前提としてあるのだろう。

この精神疾患の治し方としては、「世の中、そんなに人のことなど見ていない」という事実に気づくことが1番効果的と言われるけれど、人に見られることが仕事であれば、人目を意識すればするほど、ある種のトラウマが悪化していっても不思議ではないのだ。

そう考えると、なんだかちょっと切なくなる。ニコール・キッドマンのように、30代半ばで世界一の美女との賛辞を欲しいままにしてきた人が、40代に入ってほんの少しでも劣化を自覚したり他者から指摘されたら、その瞬間から美意識がバランスを失い、判断力を失ってもおかしくないのだ。
ごく最近も、またまた施術のやり過ぎでは? と指摘する記事を見た。この人にまつわる整形疑惑は一向に消える気配がないのだ。

知性があれば、少なくとも“やり過ぎ”にはならない?

正直私は今まで、そういうものと知性は反比例すると考えてきた。知性があれば、少なくとも“やり過ぎ”にはならないのではないかと。英国女優に“やり過ぎ”を指摘される人が少ないのは、国民性もあるのだろうが、英国で女優を目指す人は舞台志向が強く、若さや美貌への執着は薄めの女優が多いとされるから。ニコール・キッドマンはオーストラリア出身で、最初は演技で注目された人だけれど、結果的にハリウッド女優として美貌で大成しただけに、いわゆる演技派とはやはり一線を画す。

とは言え、これまで“やり過ぎ”を指摘されてきた女優は、軒並み仕事を減らし、半ば引退状態に追い込まれたのに、ニコール・キッドマンだけは、なぜか例外。むしろ40代後半から次々と重要な役をこなし、アカデミー賞からエミー賞まで、授賞式では毎年のようにその姿を見かけるほどに活躍し続けている。まさに、ここまで顔が変わる人が、こんなに平然とオファーを集め、しかも高い評価を得ているのは前代未聞。

じつは「ブリジット・ジョーンズの日記」で人気を集めたレネー・ゼルウィガーも、顔が変わってしまったことを散々報道されていて、6年間仕事も休業状態だったが、52歳の時に「ブリジット〜〜」の3作目に出演するために“顔を元に戻した”とされる。昔の面影が戻ってきた途端にオファーが増えて、その3年後、また別の役でオスカーを獲得したほど。“本場”のハリウッドでも、整形へのアレルギーはやはりまだ存在するのだ。

でもニコール・キッドマンは、そうしたスキャンダルをものともせず、たくさんの仕事をこなしている。それがなぜなのか、ある意味謎だったが、最近のこの人の仕事ぶりを眺めていて、じつはその答えがなんとなく見えてきたのだ。

さすがは一流の女優、そこまで美貌に強くこだわっていながら、最近は全くノーメイクの老いてくたびれた役にも挑戦し、むしろ役の幅を大きく大きく広げている。世間の方も、それならば……と言うことなのだろう。実力さえあれば、情熱さえあれば、そして魅力さえあれば、明らかな“やり過ぎ”にも目をつぶるという意識が生まれているのかもしれない。

あのパク・ミニョンも整形を認めてもなお、人気No.1

そもそもニコール・キッドマンはIQ 132で、小説も書く才女。しかもトップ女優の奢りがなく、仕事を共にする人を皆ファンにしてしまうほど、人柄も良いのだとか。そうなると、いろんな見方が好意的になっていく。

逆に今までに例のない50代の美人女優を目指すためにこそ、自分の未知なる可能性を模索するべく、美容医療に本気で挑んでいるのではないかとさえ思えてくる。生真面目な人だけに、単なる若さへ執着にとどまらず、自分の新しい美しさを本気で模索しているのではないかと。

そういう女優としてのプロ意識がしみじみ伝わるから、美人女優の重圧を理解し、世間も業界も彼女を受け入れるのではないか。そういう意味での、“挑戦としての美容整形”を容認する下地はハリウッドでも既に出来上がっているのかもしれない。

韓国女優でNo. 1の人気を誇る「キム秘書はいったい、なぜ?」のパク・ミニョンも、顔をかなり直していることをカミングアウトしており、学生時代と別人であることは周知の事実。それでも今が美しければという、ある意味進んだ社会なのだ。

もちろん日本はまだまだ。時間をかけたとしても、それを容認するような社会になるかどうかは、疑問である。一人ひとりの中に美容医療への抵抗感があるうちは、韓国のようにそれも含めて美しいという価値観を持つまでには至らないのかもしれない。

でも大丈夫。そうこうしているうちに、化粧品の先進テクノロジーがまさに美容医療に匹敵するような効果を持つようになってきた。それこそ本当の意味で正真正銘「塗るヒアルロン酸」がこの秋、誕生するのだ。実際に一晩で肌が膨らむ注射級の仕上がりが、発売前からもう大きなニュースになっている。

次回はその製品と、私たちの未来についてを熱くお伝えしたい。そう、ニコール・キッドマンにもそうした進化を早く教えてあげたいのだ。あと少し自然な印象になれば、この人は紛れもなく、過去に例のない“60代の美人女優”への道を切り開いていく、大切な大切な存在なのだから。

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美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫
女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。『大人の女よ! 清潔感を纏いなさい』(集英社文庫)、『美人だけが知っている100の秘密』(角川春樹事務所)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)など著書多数。

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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