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2025.5.18

ジェーン・スーさんと語る「自信をつける、ただひとつの方法」|作家LiLy対談連載「生きるセンス Season.7」第5話

「年齢を重ねるって、どういうことですか?」作家・LiLyさんが人生の先輩を訪ねて歩いた人気連載『生きるセンス』がwebへとお引越し。より楽しく、より自由に、より心地よく生きるべく、人生のヒントをさらに深掘りしていきます。Season.7のゲストは、ジェーン・スーさんをお迎えします。

第1話▶▶ジェーン・スーさんと語る「32才がオバサンだった時代」
第2話▶▶ジェーン・スーさんと語る「フリーランスと会社員、どっちがいいのか問題」
第3話▶▶ジェーン・スーさんと語る「『That’s life』は魔法の言葉」
第4話▶▶ジェーン・スーさんと語る「エモストリングス、伸ばしていますか?」

今もなお、「私はどこに辿り着くんだろう」と思ってる――ジェーン・スーさん

LiLyさん(以下、L) さて、スーさん聞いてみたいのが、10年後のこと。未来のイメージはありますか?

スーさん(以下、S) さて、どうだろう? 今のパートナーとはできるだけ長く一緒にいようという話をしていて、この関係性が変わらなければ、彼が隣にいることは想像できるかな。ただとにかく無計画で生きてきた人間だから、今もなお「この船はどこに辿り着くんだろう」って思ってるわけ。自分のことがいちばん信用ならないのよ。

 男女関係において自分が信用ならないって感覚は、すごくよくわかります。一生一緒にいるって決意して結婚しても離婚してしまったし、ずっと愛してるって心から叫んだのに別れたあとはケロッとほかの人を愛している自分ももう何度か見てきている。それに、死別するまで一緒にいれたら永遠かなって思うのだけど、死別する辛さを私はまだ知らないし。そう考えると、誰かと人生を並走する夢はもちろん今ももっているけれど、未来は誰にもわからないよなーって結論に行き着いてしまう。

S そうだね。ただ健康でいたいな、とは思うよね。同世代が病気になったり、亡くなったりすることもあって、切実にそう思うようになった。人生の後半戦に入ったなって実感する。

 「50才はリアルな折り返し地点だ」と、先日も50代の先輩から聞きました。40歳はまだ、80代で生きている可能性があるけれど、多くの人は100歳には到達しないから、50歳の誕生日は人生の折り返しだとリアルに感じた、と。

S 人間はある日突然歩けなくなる、食べられなくなるわけではなくて、少しずつ、でも確実に老いていくもの。それは親を見ているとよくわかる。同じ80才でも寝たきりの人もいれば、溌剌とゴルフをしている人もいるわけで、それはやっぱり日々の積み重ねなんだよ。

自信とは、成功したときではなくて失敗をリカバーしたときにつくもの――ジェーン・スーさん

 以前、この連載に出てくださった真矢みきさんが、80才でロングドレスを着るのが目標って言ってて、未来像をビジュアル化するのって大切だなと思ったんですよね。

S いいね、すごく素敵。

 ただ、自分がこれから目指したいビジュがうまく思い浮かばなくて。若い頃の自分とおばあちゃんになっている自分の「その間のビジュ」ってすごく難しい。そこがいちばん長いフェーズなのに! 一方、スーさんは今みたいにクルクルっとパーマをかけたり、自分が似合うビジュアルを上手に探して楽しんでる。さっき登場した時も、オーラがあってすごく素敵でした!

S 嬉しい。ありがとう! 私は昔から、人がやっていないスタイルのほうが自分には似合うという自覚があって。となると、ヘア、メイク、ファッション、どれも流行りを追っても意味がない。ならば自分に似合うものって何か。さらにやりたいことは何か。そのふたつが交差したのがこのヘアスタイルだったんだよね。

 その主観と客観が見事だよなぁ。

S あと失敗を恐れないというのも大きいかな。「失敗するのが怖い」という話をよく聞くけれど、まずは失敗しないと自信ってつかないと思うんだよね。自信って成功したときにつくと思われがちだけど、実はそうじゃなくて、失敗から必死にリカバーしたときにようやくつくもの。だから挑戦しない人は失敗もしないけど、全然自信もつかないという。

 うわっ、響く!

結局、私はトライアル&エラーの人生が好き――LiLy

 実は私、40代に突入するのをすごく恐れていて、それがいざ迎えてみたら仕事も恋愛もガンガンやれて、ハイだった一時期があったのね。だけど今は起業の大変さを知ったり、恋愛の儚さを改めて実感したりして、まさに「That’s life」を実感する日々でもある。あのハイな時期はもちろん貴重だけど、自信をつけるという意味では、確かに今のほうが手応えを感じているかも。

S ああ、いいね!

 やっぱり私はトライアル&エラーの人生が好き。何か突拍子もないことが起こると、ガーンってショックを受けるけど、0.2秒後には「なんだこの予想していなかった展開は! 小説書きたい!」って思える自分もいて。

S さすが物書き! よく「本当の自分がわからない」「それを見つけたい」って聞かれるんだけど、そのためにはとにかくたくさんのことを経験するしか方法はないのかなって思う。椅子に座ったままじゃ答えは出ないし、誰かから「自分らしさ」を授けられても納得するとは思えないし。

 ああ、同感!

S その上で、安定が好きな人は平穏な日々のために努力するのがいいし、波乱万丈が好きな人は何が起こっても大丈夫なように鍛えればいい。それは向き不向きであって、安心するほうを選ぶのが大事。そこで自分に正直になることで、すごく生きやすくなると思うから。

 まさに真理! 私、20代の頃は、将来にものすごく安定を求めていたの。夢があってフリーランスだから、実生活での安定を求めたのね。だから早くに結婚して子供産んで家を買って。幸せの頂点に辿り着いたと思ったある日、10年後も20年後もこの生活が続くのかと想像した瞬間、「あ、私、この感じはあまり好きじゃない」って気がついちゃったんだよね。これは理屈ではない、性分の話で。こんな性分なんて嫌だなってそのときすごく思ったけど、でもこれが私なんだよなぁって受け入れたって感じで。

S 人は多くの他者と触れ合わないと自分を知ることができないし、その過程で誰かを傷つけてしまうこともあると思う。でもさ、だからこそ人に対して優しくなれるし、道を間違えた人のことも受け入れられるようになるんじゃないかな。

 はぁ、わかりみが深すぎます。スーさんが教えてくださった「That’s Life」と「まだ若い! まくれまくれ〜!」をいつも心に置いて、これからも走っていきます!

JANE SU
コラムニスト、ラジオパーソナリティ。1973年生まれ、東京都出身。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)で講談社エッセイ賞受賞。TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』でパーソナリティを担当するほか、ポッドキャスト番組『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』『となりの雑談』も配信中。
Instagram:@janesu112
LiLy
作家。1981年生まれ。神奈川県出身。N.Y.、フロリダでの海外生活を経て上智大学卒。25歳でデビューして以来、女性心理と時代を鋭く描き出す作風に定評がある。著書多数。2023年ベッド内美容ブランド「Bedin」をローンチ。
Instagram:@lilylilylilycom

イラスト/ekore 構成・文/本庄真穂

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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