お悩み別ケア
2023.6.6

グリチルレチン酸ステアリル|化粧品としての効果は?【美容成分大全】

抗炎症成分として非常に有名で、幅広く使用されています。「肌荒れ防止」「ニキビ予防」「フケ・かゆみ防止」の効能効果で認められている医薬部外品の有効成分で、長年にわたり使用されている実績があり、敏感肌向けの製品にも使われています。油溶性のため、油分の多い乳液やクリームや美容オイルに配合されます。

プロフィール

成分名 グリチルレチン酸ステアリル
表示名称 グリチルレチン酸ステアリル(医薬部外品の表示名称:グリチルレチン酸ステアリル)
主な配合アイテム クレンジング・洗顔、スキンケア、メイクアップ、ヘアケア、ハンドケア
成分のはたらき 抗炎症
医薬部外品としての効能効果 肌荒れ防止、ニキビ予防、フケ・かゆみ防止

どんな「効果・働き」がある?

  • 抗炎症

肌荒れを防ぐ

炎症を悪化させる物質をブロックし、肌内部で起こる微弱な炎症を抑えます。これによりアレルギー反応を抑えて、かゆみや炎症の広がりも抑制します。炎症に対する高い効果をもつことから、「肌荒れ防止」の有効成分として認められています。

さらグリチルレチン酸ステアリルは刺激性が低いことも知られています。肌への負担が少ないことから、敏感肌向けの製品にも多く使われています。

ニキビを予防する

ニキビによる炎症や赤みを抑えるため「ニキビ予防」の有効成分としても認められています。

フケ・かゆみを防ぐ

頭皮の炎症を抑えることは健康な頭皮環境を保つことにつながります。そのためフケやかゆみを防ぐことができ、「フケ・かゆみ防止」の有効成分としても使用されます。シャンプーやリンスなどのヘアケア商品や育毛剤にも配合されます。

美容賢者からの「ひとこと」

日本化粧品検定協会代表理事

小西 さやか


関連記事をcheck ▶︎

水溶性はGK2、油溶性はグリチルレチン酸ステアリル

グリチルレチン酸ステアリルとグリチルリチン酸ジカリウム(通称:GK2(ジーケーツー))は、どちらも薬用植物として世界中で利用されている「甘草」に含まれるグリチルレチン酸の誘導体で、「肌荒れ防止」の医薬部外品の有効成分として、幅広く使用されています。

水に溶けやすいグリチルリチン酸ジカリウムは化粧水など水系のアイテムに配合しやすく、油に溶けやすいグリチルレチン酸ステアリルは油系のアイテムに配合しやすいという特性があります。

「甘草エキス」から有用な成分を精製している

同じ“甘草の根”由来の成分として「甘草エキス」や「カンゾウ根エキス」などがあります。これらのエキスは植物そのものから抽出しているため、さまざまな化合物が含まれています。これに対してグリチルレチン酸ステアリルは、単独の成分です。甘草の根から有用な成分のみを精製してつくられています。全成分表示で「グリチルレチン酸ステアリル」と記載されている場合は、有用成分であるグリチルレチン酸ステアリルのみが配合されています。そのため、配合濃度にもよりますが、エキスよりも高い効果が期待できる場合が多いです。

化粧品による肌トラブルも防ぐ!

すぐれた抗炎症作用から、肌悩みに対応するだけでなく、化粧品による肌トラブルを防ぐ目的でも使用されます。最近ではグリチルレチン酸ステアリルをナノレベルまで小さい粒子にして分散させ、より水系の製品に配合しやすく、より効果を高められるように開発された原料も使われるようになっています。

「歴史・由来」その他の雑学

グリチルレチン酸ステアリルは、「グリチルレチン酸」に脂肪酸の一種であるステアリン酸を結合させたものです。グリチルレチン酸ステアリルは、皮膚内でステアリン酸が外れて「グリチルレチン酸」になり、抗炎症作用を発揮します。

グリチルレチン酸ステアリルは”油溶性”で、“水溶性”のグリチルリチン酸ジカリウムと比べて皮膚に吸収されやすいという特徴もあります。

ちなみに、同じグリチルレチン酸の誘導体である「グリチルリチン酸ジカリウム」は、「グリチルレチン酸」にグルクロン酸(ヒアルロン酸の構成成分の1つ)が結びついたものに、カリウムが2つ結合しています。

歴史

マメ科の甘草(カンゾウ)の根に微量含まれているグリチルレチン酸の仲間です。甘草は、薬用植物として世界中で利用されていることから、「生薬の王」とも称されています。その歴史は4,000年にわたり、古代バビロニアのハムラビ法典に薬として記述された、古代エジプトのツタンカーメン王の墓地から甘草が発掘されたなど、数々の逸話があります。日本には中国より渡来したと考えられ、正倉院にも生薬としての甘草が保存されています。

20世紀前半から、その有効性に関する応用研究が繰り返され、肝機能改善による解毒作用、抗潰瘍作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用などが臨床的に確認されました。また、その高い抗炎症作用と安全性から皮膚科領域においても注目され、20世紀中頃から医療分野でさまざまな応用がなされ、それに伴い、多くのスキンケア製品でも利用されるようになりました。

主な原料の由来

植物(甘草)

医薬品やサプリメントには?

医薬品や食品、サプリメントには使用されません。

注意事項

特にありません。

 

<引用元>
丸善製薬株式会社 技術資料
丸善製薬株式会社 シーオーグレチノール®パンフレット
丸善製薬株式会社 AiOLM®パンフレット
鈴木一成, 化粧品成分用語事典2012, 中央書院, 2012, p.410

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事