クレイコスメのクレイは泥じゃないってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を医師や専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「クレイ」について。第2回は「クレイコスメのクレイは泥じゃないってホント?」の真相を解明!株式会社KURUMUの手塚平さんにお話を伺いました。
Q:クレイコスメのクレイは泥じゃないってホント?
洗顔料やパック、入浴剤などクレイ商品はいろいろあります。しかし、商品によってクレイを粘土や泥と表現していますが、本当は泥ではないのだとか。クレイの種類の違いを表しているのでしょうか。さっそく、この疑問を株式会社KURUMUの手塚さんにぶつけてみました。
A:ホント
「クレイは粘土や泥と言われることもありますが、クレイコスメに配合されているクレイは粘土鉱物のことで、泥とは少し違います。鉱物なので、石にも種類があるように、クレイにも種類が数多くあります」(手塚さん・以下「」内同)
クレイって何からできているの?
「クレイはもともと火山灰であることが多いです。遠い昔に火山が噴火して、その火山灰が海底に積もり、数千万年もの間にそれが流動性や熱、圧力などによって石のように固まったもの。石や鉱物にはいろいろ種類があり、それを粒子の大きさで分けることがあります。その中でも粒子がいちばん細かいものがクレイと言われています。もとは火山灰ですが、火山灰とは違い、自然の力で研磨されているため、表面がトゲトゲしておらず、なめらかなのも特徴です。クレイは地球からの贈り物とも言えます」
クレイにはどんな種類がある?
代表的なもので言うと、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリン、ガスール、クチャなど。ほかにもたくさんありますが、化粧品などに使用される代表的なものをご紹介します。
・ベントナイト
モンモリロナイトを主成分とし、不純物として石英や長石などの鉱物を含んだ混合成分から構成される粘土の総称。日本をはじめ、世界各国で産出される。モンモリロナイトが持つ層状構造に起因した高い吸水性、膨潤後の高い粘性を持つ。陶磁器をはじめ、土木建設業や化粧品、洗剤、石けんなどの日用品、医薬品など幅広い用途に用いられています。
・モンモリロナイト
クレイの中でも特に粒子が細かいのがモンモリロナイトです。はじめに紹介したベントナイトの主成分でもあり、吸着力や保湿力にすぐれていてお肌の汚れを落とす、うるおいを届ける、乾燥から守るという特徴があります。水を含んで膨らむという特徴を持ち、昔からさまざまな用途に使われてきました。羊毛を洗う洗剤、ぶどう酒を濾す濾材、鋳物の型、土壌改良や胃薬の成分として用いられることもあります。クレオパトラが化粧品として使っていたという伝承も。
・カオリン
別名ホワイトクレイとも呼ばれ、一般に白色で主成分はカオリナイト。名前の由来は中国にある地名からで、産地も中国が有名です。熱に強く、陶芸などにも使われています。食品の製造過程では濾過助剤や沈降助剤として使われていて、医薬品では基材、吸着、コーティング、医薬品添加剤とし経口剤などにも用いられます。化粧品では増量・希釈、吸着、研磨・スクラブなどの目的で汎用されていて、パックなどによく使われています。カオリンは粘土鉱物の中では高い吸油性や吸水性を持ち、しっとりとした湿った感触があります。
・ガスール
モロッコのアトラス山脈の山麓で採掘されるクレイです。アラビア語で「洗い清める」という意味で、古くから女性が髪やお肌のケアに使われてきた歴史を持ちます。日本では粉末状やフレーク状で販売され、手作り化粧品に使用されることも。茶色い粒子が特徴的で吸着力に優れ、汚れをすっきり落とすことができます。膨潤性は少なめ。化粧品の表示名称は[モロッコ溶岩クレイ]です。
・クチャ
クチャの歴史は古く、琉球時代より沖縄の女性が髪洗粉や顔に塗り、パックとしたり、吸着洗浄と言う点では使いやすく、地元では馴染みのあるものです。沖縄でしかとれない海泥で、沖縄の海底で育まれてきたクチャは炭酸カルシウムやケイ素などのミネラルを豊富に含んでいます。現在、採られているものは地上に出ているもの。沖縄の方言で「泥」のことクチャと呼ぶため、そう呼ばれるように。化粧品の表示名称は[海シルト]です。[マリンシルト]や[琉球泥灰岩]などと表示されていることもあります。
クレイは産地によって違いがある?
「クレイは日本をはじめ、世界各国で採れるものなので、それぞれの土や水、もともとの火山灰の違いもあるので、それぞれ違いがあります。例えば、国産のモンモリロナイトはナトリウム型で水を抱え込む力がありますが、アメリカ産のモンモリロナイトはカルシウム型が多く、水を抱え込む力はありません。産地によってというより、ナトリウム型かカルシウム型かというところなど組成の違いや、精製技術にもより違いが出ます」
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文/土屋美緒
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
粘土科学研究所というモンモリロナイト(粘土)を使ったスキンケア商品を作っている会社の3代目として誕生。生まれたときからモンモリロナイトを使った商品に囲まれて育ち、いつの間にか粘土化学研究所を手伝うことになり、モンモリロナイトの面白さにハマる。よりたくさんの人にモンモリロナイトの面白さを知ってもらうために、日々新しい商品の開発や用途の可能性を探っている。
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