お悩み別ケア
2022.11.1

【フラーレン】抗酸化効果を、わかりやすく解説します

コンテンツ提供:日本化粧品検定協会

概要

成分名 フラーレン
成分の働き 抗酸化、バリア機能改善、ヒアルロン酸産生促進
医薬部外品としての効能効果
表示名称 【化粧品】フラーレン
主な配合アイテム 【化粧品】スキンケア・UVケア・メイクアップ・ヘアケア

由来・歴史

主な原料の由来

植物(杉の木)

歴史

1985年、アメリカのライス大学とイギリスのサセックス大学の共同研究により発見され、その後1996年に功績が認められ、発見者はノーベル賞を受賞。現在は化粧品だけでなく、さまざまな用途で使われています。

フラーレンには抗酸化力があることがわかり、さまざまな応用が期待されました。しかし、炭素のみで構成されているため、まったく水に溶けない性質が大きな壁となりました。

試行錯誤の結果、ビタミンC60バイオリサーチ株式会社が、水溶性フラーレンの化粧品原料の開発に成功。2005年より化粧品原料として販売されました。

その他の成分情報

炭素原子60個がサッカーボール状になった分子です。もともとは合成で作られていたフラーレンですが、ナチュラル、ボタニカルコスメの需要が高まり、植物(杉の木)由来のフラーレンが販売されるようになりました。

効能効果・はたらき

フラーレンの図解

「化粧品」に配合したときの働き

抗酸化

フラーレンは、抗酸化成分として知られているビタミンCなどとは異なるメカニズムで抗酸化力を発揮します。一般的な抗酸化成分は、成分自体が酸化されることにより、他の物質の酸化を防ぎます。そのため、一度酸化されると抗酸化力を失ってしまいます。

フラーレンは、フラーレン自体が酸化されるのではなく、活性酸素を吸着、または分解するため、他の抗酸化成分と異なり、抗酸化力の持続性が高いのです。

さらに、一般的な抗酸化物質が光に弱く、酸化・分解されるのに対して、フラーレンは光や熱にも強く、抗酸化効果が持続します。

抗酸化によって、以下の働きが期待できます。

  • メラニン生成指令阻止
  • しわ予防
  • 毛穴引き締め
  • ニキビ予防
  • 毛髪ケア
  • 保湿

メラニン生成指令阻止

紫外線を浴びて活性酸素が発生することで、メラニン生成指令物質が放出されます。活性酸素を取り除くことで、メラニン生成指令物質の発生を防ぎ、メラニンの過剰な生成を抑制します。

しわ予防

活性酸素により、真皮のコラーゲン分解酵素が活性化し、コラーゲンの減少や変質が生じます。活性酸素を取り除くことでコラーゲンの分解を食い止め、しわの発生を予防します。

毛穴引き締め

過剰な皮脂分泌に加え、酸化した皮脂が、毛穴まわりの皮膚に対してダメージを与え、メラニン色素も増加し、毛穴を目立たせてしまいます。皮脂の酸化を抑え、皮膚へのダメージやメラニン生成を抑制し、毛穴の目立ちを改善します。

ニキビ予防

皮脂分泌が増え、アクネ菌が毛穴の中で増殖すると、活性酸素が大量に発生して炎症を引き起こし、赤ニキビとなります。活性酸素を取り除くことで炎症を抑えるので、ニキビを予防します。

毛髪ケア

頭皮の皮脂が酸化することで、毛包内にもダメージを与え、毛髪の成長にも影響を与えます。皮脂の酸化を抑えることで毛髪の健やかな成長を促します。

保湿

肌のバリア機能を改善し、保湿力を高めます。

「医薬品」としての効能効果

医薬品としては配合されていません。

「食品、サプリメント」に配合したときの働き

食品・サプリメントとしては利用されていません。

注意点

粒子の大きさから、EUでは「ナノマテリアル」に分類され、安全性に対して懸念されていますが、現状では安全性に対して問題はないとされています。

豆知識

日本化粧品検定協会代表理事:小西 さやか

フラーレン自体は黒い粉末で水にあまり溶けない性質がありますが、化粧品原料では使いやすい形に加工されたものが販売されており、水溶性フラーレンや油溶性フラーレンなど、ビタミンC60バイオリサーチ株式会社が提供しているフラーレンは、現在(2022年6月時点)6種類あります。

最もよく使われるのが、水やBGなどに分散した水溶性フラーレンです。また、クリームやオイルなどにも配合できるように、スクワランオイルに分散した油溶性フラーレンもあります。このように、化粧品原料として使いやすい形で提供することで、幅広いアイテムへの配合が可能になりました。

また、それぞれ推奨配合濃度以上配合されている製品は、次のマークを表示することができるため、高濃度配合されている化粧品を選ぶ参考にすることができます。

【R.S.】(ラジカルスポンジ)水やBGなどに分散した水溶性フラーレン。さまざまな化粧品に配合できる定番タイプ。

【L.F.】(リポフラーレン)スクワランオイルに分散した油溶性フラーレン。さまざまな化粧品に配合できる定番タイプ。

【M.F.】(モイストフラーレン)リポソーム化用フラーレン。ナノカプセル状でしっかりと浸透し保湿効果が高いタイプ。

【V.F.】(パウダータイプフラーレン)シリカゲルにフラーレンを内包させた化粧品原料で、黒さをカバーし白い粉末にしたパウダータイプ。メイクアップ化粧品に配合されることが多い。

【S.F.】(サンケア専用フラーレン)紫外線吸収剤(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)にフラーレンを分散させた赤褐色の液体タイプ。赤み抑制効果がある。

【H.F.】(ヘアシャイニーフラーレン)毛髪補修効果のあるヘアケア専用のフラーレン。赤褐色の液体タイプ。ヘアケア専用。

植物由来フラーレンマーク(ナチュラルフラーレン)すべてのフラーレン原料に共有できるマークで、植物由来フラーレンが規定値以上配合された際に使用されています。

抗酸化力には相乗効果があるので、ビタミンCやビタミンEなどが一緒に配合されているコスメがおすすめです。

また抗酸化ケアのコスメは、朝と夜なら、酸化される前に塗っておくことができる朝に使用した方が効果が高いというデータもあります。

小西さやかさんの記事一覧

 

<引用元>
フレグランスジャーナル, 45(1), 46-50 (2017)
経済産業省, ナノマテリアル情報提供シート, フラーレン
小西さやか, 知れば知るほどキレイになれる!美容成分キャラ図鑑, 西東社, 2019, p.110-111
ビタミンC60バイオリサーチ株式会社 Webサイト (フラーレンのサイエンス)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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