【グリチルリチン酸ジカリウム】肌あれ防止の有効成分として承認
コンテンツ提供:日本化粧品検定協会
概要
成分名 | グリチルリチン酸ジカリウム |
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成分の働き | 抗炎症、バリア機能改善 |
医薬部外品としての効能効果 | 肌あれ防止、ニキビ予防、フケ・かゆみ防止 |
表示名称 | 【化粧品】グリチルリチン酸2K【医薬部外品】グリチルリチン酸ジカリウム |
主な配合アイテム | 【化粧品】【医薬部外品】スキンケア・メイクアップ・ボディケア・ハンドケア・UVケア・ヘアケア・オーラルケア |
由来・歴史
主な原料の由来
植物(甘草の根から抽出)
歴史
グリチルリチン酸は、マメ科の甘草(カンゾウ)の根に微量含まれています。甘草は、薬用植物として世界中で利用されており、「生薬の王」とも称されています。その歴史は4,000年にわたるとされており、甘草が古代バビロニアのハムラビ法典に薬として記述された、古代エジプトのツタンカーメン王の墓地から発掘されたなど、数々の逸話があります。日本には中国より渡来したと考えられ、正倉院にも生薬としての甘草が保存されています。
20世紀前半から、その有効性に関する応用研究が繰り返され、肝機能改善による解毒作用、抗潰瘍作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用などが臨床的に確認されました。また、その高い抗炎症作用と安全性は皮膚科領域においても注目され、20世紀中頃から様々な臨床応用がなされ、それに伴いスキンケア製品への配合も拡大しました。
その他の成分情報
トリテルペンサポニンの一種であるグリチルリチン酸の誘導体です。グリチルリチン酸ジカリウムは、グリチルリチン酸にカリウムを結合したグリチルリチン酸二カリウム塩で水溶性です。
漢字で「甘草」、英語では「Licorice(リコリス)」と書くマメ科の植物で、中国、ロシア、中央アジア、中近東、欧州などに自生する多年生植物です。グリチルリチン酸は甘みがあり、甘さは砂糖の200倍ともいわれています。
効能効果・はたらき
「化粧品」に配合したときの働き
- 抗炎症
- バリア機能改善
抗炎症
炎症を悪化させる物質をブロックすることで、肌内部で起こる微弱な炎症を鎮めてアレルギー反応を抑え、かゆみや炎症を抑制するため、医薬部外品の肌あれ防止の有効成分として承認されています。
炎症に対する高い効果をもつことからニキビによる炎症や赤みを抑えるため、ニキビ予防の有効成分としても認められています。また、頭皮の炎症を抑えることは健康な頭皮環境を保つことにつながり、フケやかゆみを防ぐため、シャンプーやリンスなどのヘアケア商品や育毛剤にも、グリチルリチン酸ジカリウムが有効成分として配合されます。加えて、刺激性が低く、肌への負担が少ないことから、敏感肌向けの商品に配合されることも多くあります。長年にわたり幅広く使用されています。
バリア機能改善
炎症に伴ってつくられるヒアルロン酸を分解してしまう酵素「ヒアルロニダーゼ」の活性を抑える作用、角層細胞の膜を強くし、皮膚のバリア機能を高めるコーニファイドエンベロープを強化する働きが期待され、それによってバリア機能改善も期待できます。
「医薬品」としての効能効果
すぐれた消炎作用により、一般医薬品の胃腸薬や点眼薬などに使用されています。
「食品、サプリメント」に配合したときの働き
カンゾウ抽出物(カンゾウエキス、グリチルリチン、リコリス抽出物)は甘味料としても使用されます。グリチルリチン酸のナトリウム塩であるグリチルリチン酸ジナトリウムは食品添加物として、使用基準があります。
注意点
特にありません。
豆知識
日本化粧品検定協会代表理事:小西 さやか
「すぐれた抗炎症作用から、肌悩みに対応するだけでなく、化粧品による肌トラブルを防ぐ目的からも幅広い製品に配合されています」
小西さやかさんの記事一覧
<引用元>
丸善製薬株式会社 技術資料
丸善製薬株式会社 カンゾウエキスパンフレット
小西さやか, 知れば知るほどキレイになれる!美容成分キャラ図鑑, 西東社, 2019, p.152-153
丸善製薬株式会社 webサイト(総合プロダクトガイド)
丸善製薬株式会社 薬粧部webサイト(健康美容EXPO GK2(グリチルリチン酸ジカリウム))
エスエス製薬webサイト(薬の成分ディクショナリー)
東京都福祉保健局Webサイト(食品衛生の窓)
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。