スキンケアニュース
2021.12.21

【スキンケア賢者座談会】乾燥が気になる季節が到来! 「保湿」について学ぼう

美肌の基本であり、何よりも重要な王道ケアである「保湿」。でも意外なことに、美白やエイジングケアに熱心に取り組んでいる人でも、基本の保湿ができてない人が多いというプロの指摘。何を選び、どう使ったら良いのか? 肌がどんな状態なら正解といえるのか? この機会に学びましょう。

美白とかリフトとか肌の変化を求める前に基本の保湿を丁寧に。それだけで透明感もハリも出ることを知ってほしい(大塚真里)

レイアウトp1~4

━━「美肌の基本は保湿」だとよく言われますが、そもそもなぜ保湿が必要なのでしょうか?

中崎 皮膚はいろいろな働きをもっていますが、いちばん重要なのは「バリア機能」だと考えます。人間の体をいちばん外側で保護して健やかに保つ機能。皮膚の潤いが不足すると、バリア機能が低下してしまうのです。外界からの刺激を受けやすくなりますし、肌内部の潤いも逃げていってしまいます。

大塚 潤っている肌はバリア機能が正常に働くから、炎症や赤みなどのトラブルが起こりにくくなりますね。いわば「凪」の状態。潤っているとふっくらとしてハリが出るのはもちろん、表面のキメも整うから、光を透過してキレイに拡散するんですね。見た目に透明感が出るし、毛穴なども目立たなくなります。

中崎 美容に熱心な方に意外と多いのですが、「バリア機能を正常に保つ」という基本ができていないのに、あれもこれもと化粧品を重ねたり、パックやゴマージュを毎日行うなど“オプション”のケアに熱心になって、かえって肌に負担をかけているケースが見受けられます。

大塚 そうなんです! 美白とかハリとかの前に、基本の保湿を丁寧に行うことこそが美肌への近道だということを皆さんに強くお伝えしたいです。

 

━━では、「基本の保湿」のために、具体的にどんな化粧品を選んだらいい?

大塚 私は3つの役割をかなえる化粧品が必要だと考えます。(1)まず、水分が不足しがちな大人の肌にたっぷりと水分を補う (2)次に、水を抱え込む性質をもつ保湿成分を与える (3)最後に肌表面に油分を与えて水分が逃げにくい状態を保つ。

中崎 (2)の保湿成分としては、『セラミド』が有名ですね。セラミド自体は脂質ですが、水分を肌の中で抱え込んで保持する働きがあります。

大塚 セラミドを配合したコスメはいろいろあるので、選択肢が広いと思います。後は『リン脂質配合』とか、『水分を吸着するマグネット成分配合』などと謳われている化粧品も良いと思います。

 

━━なるほど。そうすると、(1)化粧水 (2)セラミドなど保湿成分配合の美容液 (3)油分を含んだ乳液やクリーム、の3品重ねが基本のケアということですね。

大塚 はい。そしてもっと根本から潤う力を高めたいなら、+αで肌の代謝を高める成分入りコスメをお手入れのどこかに組み込むと良いと思います。肌の奥で角質細胞が生まれるとき副産物としてセラミドやアミノ酸などの潤い成分が生まれるそうです。つまり代謝の良い肌は、自ら潤いを産み出す力も高いんです。

 

━━年齢を重ねると肌が乾きやすくなるのは、加齢によって肌の代謝が低下するのもひとつの原因だといえそうですね。肌表面の皮脂も、分泌量が減りますし。

中崎 極端な話、保湿はすればする程肌にメリットのある“いいことずくめ”のケア。保湿をして悪いことはないので、たっぷりと潤してほしいです。特に乾燥する季節は、肌表面の潤いが奪われやすくなるので、こまめに、念入りに。

━━では、保湿のために“してはいけないこと”はありますか?

 

中崎 摩擦と、過剰な「落とすケア」ですね。例えば熱いお湯で洗う、洗浄力の強いもので洗顔する、スクラブで毎日洗う、といったケアは避けてほしいです。

大塚 全く同じ意見です。いくら乾燥する季節だといっても、ただ普通に過ごしているだけで角層内のセラミドが空気中にどんどん逃げていくということはないですよね。保湿力を低下させる大きな原因は、朝夕の洗顔。洗うことで流れ落ちてしまうんです。洗う回数がなるべく少なく済むように、夜はメイクも落とせる2 in 1の洗顔料を使うのもよい方法だと思います。

 

━━メイクがサッと溶け落ちるようなオイルクレンジングやバームは強いから使わない方がいいのでしょうか?

大塚 いいえ。クの濃さに応じて選ぶと良いと思います。濃いメイクを洗浄力の弱いもので時間をかけてしつこくマッサージするよりは、オイルなどでスッと浮かせて流す方が肌に優しいと思います。逆に、薄化粧のときは泡洗顔やミルクなどマイルドなものを。

中崎 マスク生活で今、肌は薄化粧の人も多いですよね。目元だけ専用のポイントリムーバーで先に落とし、顔全体はマイルドなもので洗うのも良いと思います。

━━適切に洗って、その後存分に潤して、バリア機能の高い肌を維持する。これが保湿の極意だということですね。

保湿をすると肌のバリア機能が正常になりあらゆる肌トラブルが起こりにくくなります。ゆらぎはもちろん、エイジング予防にも(中崎恵美)

Key word 1.肌の要は「バリア機能」

ここ数年「外出から戻ったら手洗い」が習慣となりましたが、肌に悪いものが付着しても洗い落とせば無害でいられるのは、肌(の主に角層)に強力なバリア機能が備わっているから。あらゆる刺激から体を守っています。

Key word 2.潤いによってバリアが機能する

角質細胞とその周辺を満たす“潤い成分”がレンガのように積み重なっている角層。潤い成分がみっちりと詰まっている肌は強固ですが、潤いが不足するとスカスカになって穴の開いたような状態(=バリア機能が不健全)に。潤いこそが、肌の砦なのです。

Key word 3.保湿とは角層を満たすこと

レイアウトp1~4

角層が潤いで満たされているか否かが、バリア機能に直結します。つまり、保湿ケアで絶対に欠かせないのが上のイラストの(2)。具体的には、セラミドやリン脂質、アミノ酸、糖類などの保湿成分を肌に補うケアです。さらに(1)(クリーム、乳液などを重ねる)で、より潤いが保持されて、保湿効果が長時間持続します。

Key word 4.代謝UP=潤いUPの法則

上のイラストで+αで示しているのは、表皮の細胞が生まれる場所やその下の層にまで働きかける美容成分。代謝を活性化して肌の中から潤いを増やします。その効果が認められている成分としては、ビタミン類、ヘパリン類似物質、ライスパワーエキスNo.11、炭酸など。いずれも肌の代謝UPに働くことが認められています。

Key word 5.クレンジング料はメイクの濃さで選ぶ

レイアウトp1~4

洗顔料に関しては、肌質に合うものを選べばOK。一方でクレンジング料は、メイクの濃さに応じて用意して。できれば、「濃いメイクをスルッとこすらず落とせるもの」「薄いメイクの日のマイルドなもの」と2パターン用意できると肌の負担が最小限に。

Key word 6.摩擦は保湿の敵

肌を摩擦すると、その物理的刺激によって潤い成分がこすれ落ち→バリア機能が低下→炎症を引き起こすという悪サイクルに。コスメを選ぶときも「肌をこすらずケアできるものか」という観点を忘れないようにして。

 

皮膚科医

中崎恵美さん

美容エディター

大塚真里さん

『美的』2022年1月号掲載
撮影/榊原裕一(人物)、河野 望(静物) ヘア&メイク/新見千晶 スタイリスト/程野祐子 モデル/朝香りほ イラスト/いしやま暁子 構成/村花杏子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事