皮膚科医・友利 新先生に聞く!「老けにくい」肌を作るための最新ケア情報
皮膚科学研究の進化に期待が高まり、情報は日々更新され、数年前とは異なることも。最新のエイジングケアについて、医師の友利新先生に伺いました。
「老けにくい」ってこういうこと。最新情報&考え方
最新の皮膚科学事情を知る友利先生は、こう話します。
「皮膚科学研究の分野では年々、肌老化のメカニズムでわかってきたことが増えています。また、美容医療も注入やレーザー治療などが発達し、切り張りだけではなくなりました。今は、ナチュラルに若々しさを保てる時代。その醍醐味がわかるのはエイジングが始まる30代から。自らの肌で最新美容を実験するように楽しんでいただけたら、外見はもちろん内面からもイキイキと輝く、今の時代にぴったりの若々しい人でいられると思います」(友利先生)
「ニューノーマル時代のエイジングケアは“抗炎症”がカギ。日焼けしない、 摩擦しない、乾燥させないことが大切です」
日焼け、摩擦、乾燥を避けるべき大きな理由は、その3つが肌の“慢性炎症”を招くから。急性炎症とは少し異なり、ヒリヒリとした刺激などを感じないのが、慢性炎症のやっかいなところ。けれども、肌の奥では慢性炎症が原因でコラーゲンなどの破壊が無自覚のうちに進み、ある日突然シミ、シワ、たるみとなって、私たちを悩ませるのです。
マスクによる摩擦や乾燥などのダメージが増えたニューノーマル時代は、以前よりも慢性炎症が起きやすくなりました。これまで“抗炎症=敏感肌ケア”の印象が強かったと思いますが、今後は抗炎症を他人事と捉えた瞬間、肌老化が進むと考えてもいいかも。“与えすぎのケアが肌を甘やかす”といった考えも、最新の皮膚科学研究ではマボロシ。きちんと保湿し、過酷化した現代の肌環境と戦えるバリア機能をキープしましょう。
「コラーゲンはとった方がいい」
10年くらい前、“インナーケアでコラーゲンを摂取しても意味がない”という情報が流れました。けれども今は否定されていて、コラーゲンを補うことで血管がしなやかになって強化され、体内のコラーゲン産生力も高まることが確認されています。ぜひ摂取していただきたいし、ビタミンやアスタキサンチンなど抗酸化成分もとっておくと慢性炎症の予防につながり、おすすめです。
「“美肌菌”に腸活。菌の研究は、さらに進みそう」
腸は今、“第2の脳や心臓”と呼ばれていますよね。その理由は、脳に次ぐともいわれる程多くの神経細胞が、腸に集まっているから。自律神経との密接な関わりがあり、体の健康はもちろん、感情まで左右することが近年の研究でわかってきていて、免疫分野やうつ病治療への応用も今、進んでいます。同じく、肌に備わる“美肌菌”の研究も今、進化をたどる一方!ニキビからエイジングケアまで、スキンケアにも幅広く取り入れられているので今から押さえておくと、将来の美しさに差がつく予感大です。
「ゴールデンタイムより熟睡度が大切です」
肌に備わる修復・再生・ターンオーバーの機能は、22〜翌2時に睡眠をとると高まるといわれていたこと、覚えていますか? 今でも全否定されてはいませんが寝ている時間帯よりも熟睡しているか否かがポイントであることが、今では判明しています。なぜなら、肌の健康を維持する成長ホルモンが入眠後に初めて訪れた深い眠りのときに最も分泌されることが確認されたから。22時に焦って眠る必要はないけれど、上質な睡眠をとる心掛けは今後、より重要に。
『美的』2021年10月号掲載
撮影/大原敏政(aosora・静物) 構成/北川真澄
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
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