【スキンケアの基本】オイルの力で水分の蒸発を防いで! 石油系、固形、液状…それぞれの特徴を解説|タイプ別アイテムも紹介
今回はオイルやバーム、リッチなクリームに配合される“油剤”の働きをする成分について解説していただきました。早速チェックして♪
【タイプ別アイテム紹介】保湿ケアのアプローチ|水分の蒸発を防ぐ
「例えばトーストにバターを塗るとパンのしっとり感が続くのは、油分の膜で水分の蒸発を防いでいるから。同じように水分保持力の低下した肌に油剤を塗ると、水分の蒸発を防ぐことができます」(近藤さん)。
油剤は常温で固形か液状か、原料が石油か植物か動物か、で語られることが多いので、特徴ごとに大きく分類して成分を紹介します。
石油系油剤
安定性が高く低刺激。さらっとしてコスト的にも優れたオイル
ワセリンやミネラルオイルなどに代表される、いわゆる“鉱物油”。高度に精製されているので安定性が高く、肌に刺激を与えないので敏感肌用スキンケアによく配合されています。固形から液状までさまざまな形状が。
成分名
●ミネラルオイル
●ワセリン
●水添ポリイソブテン
など
ワセリンとミネラルオイルがベース。
ドクター津田コスメラボ TSUDA SETSUKO スキンバリアバーム 18g ¥5,940
ワセリンベースの低刺激なバーム。
資生堂薬品 イハダ薬用バーム[医薬部外品] 20g ¥1,485(編集部調べ)
温泉水とミネラルオイルがベースの敏感肌用。
ピエール ファーブル ジャポン アベンヌ スキンバランスクリーム EX SS(R)49g ¥4,180(編集部調べ)
固形油(植物性・動物性)
植物や動物から抽出した固形油。液状よりも潤い実感が高い
植物の種や動物の脂肪、ミツバチの巣などから作られる、常温では固形の油。シア脂やカカオ脂のように融点(とろける温度)が低いと柔らかく、ミツロウのように融点が高いと固め。それが化粧品の仕上がりに影響します。
成分名
●シア脂
●カカオ脂
●ミツロウ
●水添ヒマシ油
●馬油
など
サラソウジュという樹木の種子からとれる固形油を使用。
THREE バランシング エモリエントバーム 7g ¥4,400(11月17日発売)
植物由来の固形油にハーブエキスなどを配合。
ネイチャーズウェイ チャントアチャーム バリアバーム 20g ¥3,850
固形油と液状油をブレンドし、柔らかなテクスチャーに。
RED アクア・アクア オーガニックフルーティーバーム(シトラス) 7.5g ¥1,870
液状油(植物性・動物性)
油剤の中で最もイメージが良く、アピール成分という意味合いも
種子や実、魚の肝臓などから抽出され、テクスチャーもさまざま。馬の胎盤エキスをオリーブ油で抽出した油溶性プラセンタエキスのように、抽出に植物オイルを使った原料も。スクワランには動物性と植物性があります。
成分名
●スクワラン
●コメヌカ油
●ローズヒップ油
●メドウフォーム油
●ブドウ種子油
●油溶性プラセンタエキス
など多数
油溶性プラセンタエキスと油溶性ビタミンC誘導体のみというシンプル処方で、肌にハリを。
Nuzzle フーミー オイル美容液 20ml ¥3,080
ホホバ油をベースに、希少なプロポリスエキスを配合。
MiMC バイタルスキンコンディショニングオイル 10ml ¥4,180(9月23日発売)
100%植物由来のオイルとエキスで処方。
マツモトキヨシ アルジェラン モイストクリア スキンオイル 30ml ¥2,178
Q&A
Q.石油系オイルは肌に悪い? A.「石油系が肌に悪いというイメージは間違いで、実際には安定性が高く肌に負担をかけません。その分個性が少なく、開発者から見ると面白みに欠ける原料ではありますね」(岡野さん) Q.肌が敏感なときはワセリンだけ塗るのがいいって本当? A.「化粧水がしみるようなときは肌に浸透するものを塗らない方がいいので、浸透せず表面を覆い守るワセリンや、敏感肌用のバームを塗るのがおすすめです」(近藤さん) Q.植物オイルなら何がおすすめ? A.「植物油の種類は本当に多く、特定のものをおすすめするのは難しいです。劇的な効果が得られるものはないので、テクスチャーや肌との相性で選んでいいと思います」(近藤さん)『美的』2021年11月号掲載
撮影/松本拓也(背景) イラスト/浅生ハルミン 監修/岡野利彦(カラーズ)、近藤和裕(Nuzzle) 構成/大塚真里
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
スキンケアを中心とした化粧品の研究開発に約20年携わる。成分・処方の高い専門性をもち、サイエンスと植物の可能性を追究。