夏の肌炎上に 打ち水を!【スキンケア科学者・次田哲也博士の 「人生100年時代」の美肌学 vol.1】

科学的根拠のある、本当に正しい美容情報を。先進の皮膚生理学や気象情報、化粧品開発テクノロジーなどに関する膨大な知見から、今みんなが知るべき情報をわかりやすくひもといてお伝えします。
2025も酷暑予報! 暑さから肌を守る科学的Q.E.D.
データで読み解く、日本の夏が暑くなった理由
はじめまして。肌や化粧品の科学を研究する次田(つぎた)哲也です。スマホで簡単に美容情報を手に入れられるようになった今、何が本当の情報なのかよくわからない…と迷ってしまうことはありませんか。私は長年、研究者として美容に関する専門知識をさまざまな立場の方にわかりやすく伝える仕事に携わってきました。そこでこの連載では、肌や化粧品にまつわるさまざまな疑問について、科学的に根拠のある正しい答えをお伝えしていきたいと思います。
まず手始めに、夏の肌ケアについてお話ししましょうか。
2025年夏も、例年以上に暑くなりそうだという予報が出ていますね。日本の夏は年々、過酷になってきています。あなたがもし30代以上の方なら「子供の頃はこんなに暑くなかった」という記憶があるのではないでしょうか。データを見るとまさにその通り。 日本の夏がここまで暑くなったのは比較的最近の傾向 なのです。下のグラフを見てください。
グラフ作成:kairos skincare
これは東京の観測記録ですが、2024年だと35℃以上の日が年間に20日、2023年だと22日…と、2010代に入ってから頻繁に2桁を記録していることがわかります。でも、2000年代より前は、それほどでもないんですね。昔は今ほど、暑くなかったんです。
ツギタ博士 助手コンド 一言メモ
日本の平均気温は、100年あたり約1.4℃の割合で上昇してるんだって。
でも、1.4℃くらいの上昇じゃ説明がつかないくらい、厳しい暑さを感じる昨今だワン
夏を暑くさせている真の理由は「赤外線」だった!?
実は、暑さを感じるのは温度だけではないのです。たとえば蒸し暑さの指標となる不快指数(気温と湿度で計算)。不快指数が85を超えると「暑くて仕方ない」と感じるようになりますが、1974年ではそんな日が年間12日だったのに対し、2024年では75日へと増加! なんと データ上、1年のうち2か月半近くが「暑くて仕方ない」 気候なのです。
そしてもうひとつ、見逃せないデータがあります。
それは「赤外線」。赤外線は、
実は天空からは地上に向かって赤外線が放射されていて(それを下向き赤外放線と呼びます)、地上で観測される赤外線の量は地球温暖化の指標になったりしています。つまり、赤外線は私たちが住む地球を温める働きがあります。
なんとこの赤外線、年々増えているんです‼︎
より詳しいデータをご覧になりたい方は、気象庁のこちらのページへどうぞ。
赤外線は、大気中のチリや水蒸気に当たると乱反射する性質をもっています。つまり、大気が汚染されているほど、赤外線によって地球が温まりやすくなってしまうといえます。
日本では、光化学スモッグなどが問題になった時代にかなり大気汚染対策を頑張ってそれなりに成果も出たのですが、ここ30年は再び、大気汚染にまつわるトピックスが増えています。PM2.5の飛散量増加や、花粉症に悩む人も増えていますよね。
しかも赤外線の熱って〝しつこい〟んです。紫外線は日中どんなに強く降り注いでも、日が落ちて夜になるとゼロになりますが、赤外線の熱は夜になっても大気中に留まって、ポカポカと温め続けます。
つまりは、赤外線のせいで夜になっても空気が温まり続けてるというわけ。これが、日本の夏を暑くさせている大きな原因
です!
猛暑のとき、体を守るため「肌」が猛烈に頑張っている!
それだけ暑くなれば、体にも異常があらわれてきます。熱中症で救急搬送される人が、2004年は全国で10万人近くも。これは消防庁の調査史上最も多い人数です。<データ出典/令和6年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況>
もう、命を守ることが大切で、美肌とかスキンケアとか考えていられない! と思ってしまいますよね。……でも実は、
命を守るために肌はものすごく頑張っている
んですよ。
というのも…自然界の生き物の中で、人間ってかなり暑さに強い方なんです。
トカゲやワニなどの変温動物は暑すぎる環境では生きられないし、恒温動物であるネコやスズメなども、環境温度が40℃を超えてくると健康を保てなくなります。ペットを飼っていらっしゃる人ならよくご存じですよね。
でも人間は、喜んでサウナに入る人がいるくらい(笑)暑さに強い! 100℃くらいの環境でも短時間であれば死なない強さを持っています。その理由はなぜかといえば、肌から放熱をおこなっているから。暑くなると汗をかいたり、体表の毛細血管を広げたりして、体内の熱を外へ外へと逃すようにと、肌が頑張ります。そう、 人間の皮膚は、体のオーバーヒートを防ぐために働くラジエーターのようなもの。ものすごい優秀な働き手 なのです。
頑張る夏の肌に、美の「打ち水」を!
朝から晩までラジエーターとして頑張る夏の肌。当然、ほかの季節よりもお疲れや不具合が出てきます。具体的にいうと、
ほてって赤みのある(=軽く炎症している)状態が続くので、肌が乾燥してバリア機能が低下
しやすくなります。スキンケアで積極的に潤いを補う必要があります。
ちなみに肌がほてっているようなときは、シャバッとみずみずしい感触のコスメが心地よく感じられます。
「打ち水」効果で、肌の熱をクールダウンさせてくれる働き
も。近年は、使い心地は水のようにシャバシャバしているのに、オイル成分を微粒子化して配合することで、美容液や乳液のように潤いが持続する機能的な化粧水も登場しています。
また、朝のメイク前に肌のほてりが気になるようなときは、洗顔のときに流水を手首までかけるようにするといいですよ。手首付近には太い静脈が走っているので、効率的に体の熱を外に逃すことができるんです。
打ち水ケアに1本投入! シャバッと感触なのに潤い持続するローション
保水機能はもちろん、アスレティアならではの植物由来成分を贅沢に配合。シソ葉エキスやハッカ水など、暑さでほてった肌を涼やかに鎮めてくれるような使い心地も夏向き。
アスレティア コアバランス トーニングローション N 150ml ¥6,050
みずみずしいローション処方でありながら、潤い実感は乳液級! 細胞そのものにも、細胞の周りの潤い保持成分にも働きかける新技術を採用。潤いが長時間持続します。
ソフィーナ iP 角層トリートメント 基礎化粧液 160ml ¥1,980(編集部調べ)
タイトルイラスト(ツギタ&コンド)/松元まり子 構成/もりたじゅんこ
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
肌や化粧品に関する専門的な内容を、わかりやすくかみくだいて伝えるスキンケア・サイエンスコミュニケーター。博士(工学)。大手化粧品メーカーにて30年以上にわたり、化粧品の臨床評価技術の開発をはじめ、皮膚科学に基づく基礎から応用の研究開発に従事。元東京農工大学客員教授。現在はフリーランスとなり、その活動の幅を広げている。『美的GRAND』本誌でも、サイエンスに基づいてケア法や最新コスメを解説する特集が大人気。https://kairossc.com