私の性欲、どこ行った? セックスレスが増加中。アラサー女性の「性欲」の実態と不安
「多忙&三密回避の日々、ドキドキムラムラな気持ちがすっかり消えて…」という声が多数。何か異常なサイン?コロナ明け、元の生活に戻れば思い出せる?将来の妊活、大丈夫…? …そんな不安を抱えるあなた、専門家&『美的』と一緒に考えましょう!
ふと気が付けば。私の性欲、どこ行った?
皆さんも、こんなお悩みありませんか?
CASE1
“子供は欲しいけれど、私も夫も性欲が希薄。しかもお互いに忙しいので、SEXする機会もなければしたい気持ちも起こらないんです…”(教育関係勤務・結婚3年目・28歳)
CASE2
“三密がNGとされているこのご時世、出会いもないし、『超』濃厚接触は自然と避けてしまいますよね…”(事務・彼氏なし・32歳)
CASE3
“元々、性欲がほとんどない私。 いざ事に及んでも、性交痛もあるため避けてしまいます…”(フリーランス・交際歴5年・33歳)
性欲低下の悩みに対して今、なすべきこととは?
「性欲」は人間が本来もっている3大欲求のひとつ。元々、女性は男性と比べて性欲が低めだと言われていますが、アラサー世代の美的クラブにアンケート調査を実施したところ、忙しさやコロナ禍など、さまざまな理由で性欲のなさに悩んでいる女性が最近増えているということがわかりました。性欲がなくても日常生活には支障がないかもしれないけれど、美容や健康面、妊活など、将来に何らかのデメリットがあったりするのでしょうか…?
性欲が低下する主な原因と理由、そのさまざまな対処法について、専門家にアドバイスしていただきます!
美的クラブに聞きました!アラサー世代の「性欲」について今の実態は?
2021年5月20日実施。n=182
Q. 最近の「性欲」はどんな感じ?
6割以上が「今、性欲が低いorない」と回答。「忙しくてそれどころじゃない」「精神的に落ちている」「ほかに楽しいことがある」の3つが理由の大多数を占めました。
Q. 今の「性欲」のなさに悩んでいますか?
「このパートナーと一緒にいてもいいの?」「子作りの際に困りそう」など、性欲のなさに強い危機感を感じている人も。
Q. 「性欲」のなさ、改善したい?
「YES」と回答したうちの約半数が、「美容や健康面で自分にとってメリットがあるならぜひ改善したい」と答えました。
まずはセルフチェック!最近のあなたはどんな感じ?
5つ以上当てはまる場合はもしかしたら性欲が低下しているかも?
- 最近、喜怒哀楽の振れ幅が狭くなってきた気がする
- TVや映画のラブシーンを見てもときめかなくなってきた
- 恋愛したいという気持ちがあまり起こらなくなった
- 最近、よく眠れないことが多い
- 近頃なんだか気分が落ち込みがち
- 人とのコミュニケーションが億劫&抵抗がある
- パートナーとのスキンシップさえ面倒くさい
- 誰ともSEXしたいと思わない
- SEXに自信がない
- SEXが苦痛だ
子供は欲しいけれどセックスレスが増加中!
まずは産婦人科医で不妊治療を専門とする東邦大学医療センター大森病院の片桐由起子教授と、進化心理学に詳しい東京大学の坂口菊恵准教授にアラサー世代の性欲低下の実情について伺いました。
「年齢や環境などにより個人差はありますが、実は性欲はパートナーがいるからなくなるんです」と話すのは坂口菊恵先生。
「相手がどんなに素敵な人でも、付き合いが長くなるにつれて性的興味が薄れていくのは自然なこと。でも最近は、ステディな関係になるかならないうちから、男性が女性にまったく触れてこないケースがけっこうあって、それに悩む女性も増えているようです」
片桐先生の元には、子供は欲しいけれど実はセックスレスというカップルがここ数年、よく訪れるそう。
「圧倒的に多いのが、『仕事が忙しい』という理由。疲れやストレスで性欲どころではない。でも、このままでは授からない?という不安や危機感から、不妊治療を試みるという考えに至ったのでしょうね」
将来どうなりたいかをしっかり考えてみて
では、アラサー世代はどんな風に性欲のなさと向き合えばいいのでしょうか? 坂口先生からはこんなアドバイスをいただきました。
「加齢によっても性欲は低下していくので、将来子供をもちたいと思うなら後回しにせず、パートナーに対して性欲がしっかりあるうちに作ってしまった方がいいかもしれません」
また、片桐先生はこう話します。
「性欲のなさが直接、健康に悪影響を及ぼすことはないと今のところ考えています。必ずしも性欲は、ないといけないわけではありません。今は不妊治療の技術も進化しているので、本当にセックスレスで自然妊娠が難しい場合でも、対処法はいくらでもあります。大切なのは、ご自分とパートナーが将来どうしていきたいか。ふたりでよく話し合うことが大切です。ただ長期間、性欲のなさが続くのは抑うつ状態の一歩手前のサインという場合も。また性交痛は子宮内膜症の可能性もあるので、早めに専門医にご相談ください」
東邦大学医療センター 大森病院 産婦人科 教授
片桐由起子先生
かたぎり ゆきこ/東邦大学医学部を卒業後、米国コーネル大学留学などを経て、現職に。専門は不妊治療。同大の男女共同参画推進センター長も務める。生殖医療専門医、臨床遺伝指導医など。
『美的』2021年9月号掲載
イラスト/チブカマミ 構成/内田淳子、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
さかぐち きくえ/東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。複数の大学で非常勤講師を経て現職。著書に『ナンパを科学する ヒトのふたつの性戦略』がありメディアや講演会で性について語る機会も多数。