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2019.12.4

脳科学者・中野信子さんが解説「今、『楽しそうに見える人』が最強の理由」

今、注目される人たちは、無駄に笑顔を振りまくことも、周囲に媚びることもなく、何か大きなミッションに真剣に取り組む局面でも、なぜか楽しそうな空気を醸し出している人――それってどういうこと?なぜ今素敵に見えるの??脳科学の視点から中野信子さんに伺ってみました。

「『笑顔』=『楽しそうな顔』は脳に好反応を与えることがわかっています」(脳科学者・中野信子さん)

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人はなぜ今「楽しそうな顔」に惹かれるのかーーこの問いに脳科学の視点から答えるに当たり、興味深い事例をひとつご紹介しようと思います。身も蓋もない話ですが、人の容姿に点数をつけたとき、点数の高い人を前にした方が脳の前頭前野がいい反応を示します。ところが低い点数の人でも「笑顔」になると、それを目にした人の脳は活性化することがわかったのです。「笑顔」=「楽しそうな顔」は脳に好反応を与える。すなわち、元々の容姿に自信のない人程、笑顔でいることを心掛けると魅力が増すということです。

また、今が「本音感」を求める時代であることも関係していると思います。ミステリアスさではなく、オープンさ。芸能人もある程度ライフスタイルを公開する時代です。こうした時代に、いわゆる「すまし顔」は「何を考えているかわからない」という警戒心を抱かせがちです。「笑顔」の方が「私は自然体に生きています」というメッセージになるのです。

そうはいっても、現代の女性はとても忙しい。仕事に家庭に、人によっては育児に…と日々多忙を極め、楽しいと感じる暇がない。一方でそれほど忙しくない人も、「私は充実していない」とつらさを感じがちです。どうすれば、「楽しさ」を感じられるのでしょう?

「マンネリは楽しさの敵。同じ状態が続くと脳は幸せを感じません」

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実は、楽しいか楽しくないかを決めるのは「状態」ではなく、その状態からの「変化」で決まります。例えば100あるものが99になったら不幸を感じがちですが、0から1になるとそれは幸福である、と脳は感じます。また、「変化なし」=同じ状態がずっと長く続くことも、幸福とは感じません。マンネリも楽しさの敵。ちょっと前の自分と比べてどれだけ進化があったか、がポイントなのです。1か月前は上手に眉を描けなかったけど、描けるようになった。昨日は肌がくすんでいたけど、今朝は顔色がいい。そういうポジティブな変化をうまく見つけられる人というのは、「楽しさ上手」な人だなと思います。向上心のある人ですね。

ただ、これが脳の非常にやっかいな所なんですが、人間は楽しい記憶よりも嫌な記憶の方が長く鮮明に残るようにできています。10個の楽しいことより、1個の嫌なことを強く覚えてしまうのです。大昔は、危険な場所や嫌なものを覚えておかないと命の危機に関わりましたからね。現代ではそんなことはほぼないのに、脳のシステム自体は変わっていません。なので、「ポジティブになんてなれない」「どうせ私なんて…」とネガティブに思ったら、「これは私の脳が正常に働いている証拠なんだ!」くらいに受け止めてください。

「コスメだったら、いつもと使い方や入れる範囲など変えてみるのがおすすめ」

忙殺されそうな日々の中でも「楽しさ上手」でいるために、「自分をリリースするための何か」をもっておくことをおすすめします。タスクから離れて、ホッとひと息つける、あるいは没頭できる何かです。私の場合はアートなのですが、カフェに行くでもドラマを観るでもいい。そういうリリースする“種”を複数もっておくといいと思います。『美的』読者はメイク好きな方も多いと思うので、例えば平日にはできないような攻めたメイクをしてみるなどどうでしょう。その際、自分のクリエイティビティを発揮できるような、いつもと違うコスメの使い方に挑戦してみてください。定番ではこの色をまぶたにのせるけどあえてキワに入れてみる、色と色を混ぜてみる、などがいいですね。そうして「私はいつもと違うメイクを試すことができた」と感じることで、脳はドーパミンを分泌し、幸福感をもたらします。

最近なんだか楽しくない、あまり笑っていない気がする…と感じたら、自分をリリースし、昨日までの自分とは違う前向きな1歩を踏みだしてみてください。その変化によって「楽しさ」を感じ、「笑顔」が増えていくことで、周りの人の脳は好反応を示します。それはすなわち、あなた自身の魅力度が増していく、ということなのです。

 

PROFILE
中野信子さん
1975年生まれ。脳科学者/医学博士/認知科学者。東日本国際大学教授。脳や心理学をテーマに研究、執筆、メディア出演と活動。著書に『キレる!』、ジェーン・スー氏と共著で『女に生まれてモヤってる!』(共に小学館)ほか多数。

美的1月号掲載
構成/加藤絢子(本誌)

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