“Mattママ”桑田真紀「お願いできる?」「いいよ」「ありがとう」。このやりとりで関係は豊かに【全方位「推し活」力の磨き方 vol.14】
夫は野球界のレジェンド・桑田真澄氏、次男は現在アーティストとして多方面で活躍中のMatt Rose氏。専業主婦から一念発起し、彼らを公私ともに支え、現在は化粧品会社も経営する桑田真紀さん。「優れた才能を発掘して応援したい」という根っからの「応援気質」で周囲の人々をサポートする真紀さんの「応援力」は、夫、子供、義理両親など身内だけでなく、上司・部下・同僚やママ友、すべての人間関係の参考になるはず。
「お願いできる?」「いいよ」「ありがとう」。このやりとりで関係は豊かに
家事は「義務」や「面倒なこと」ではなく、家族全員で楽しむもの
ここ数年、桑田家は家族単位での仕事も増えてきました。自宅は生活の場でもあり、仕事場でもあり、お客様をお迎えする場でもあります。
よく聞かれるのは「桑田さんのお宅では、ハウスキーパーやお手伝いさんをお願いしているのですか?」ということ。実はずっと昔から私たちの方針として「家のことは全部自分たちでやりましょう」派なのです。
最近は家事をアウトソーシングして、限りある時間を家族団らんや別のことに使うという考え方もポピュラーになってきました。そういった意識が一般的になり、代行サービスも増えてきて、以前とは比べものにならないくらいに選択肢も豊かです。我が家は家族全員が働いていますので、もしかしたらその方が効率は良いのかもしれません。昔は「家事は私ができる範囲だし、頼む程でもないかしら」と思っていたのですが、最近は全員が仕事で外出することが多く、「家事の外注もアリなのかもしれない……」と一瞬頭をよぎったこともあります。
実際、周りを見渡してみると、若い人たち程家事のアウトソーシングに抵抗がないというか、気軽にサービスを受けて上手に時間を捻出している気がします。若い友人たちから「便利ですよ! 紹介しましょうか?」と勧められたこともあります。確かに便利そうだし、それぞれの家庭の事情やライフスタイルに合わせて、サービスも多種多様に進化しているとも聞きます。
でも、よくよく考えてみると、桑田家にとっての家事は「みんなが休みの日に全員で一斉にする」一種の行事みたいなもの。日々のお掃除や簡単な食事の支度は、それぞれが気づいたときや必要なときに負担にならない程度すませておき、みんなのスケジュールが合うタイミングや、お客様をお招きする際に「さあ、今日は徹底的にきれいにしますよ~」という感じで。もし家事代行をお願いしてしまうと、仕事には集中できるかもしれないのですが、家族の形態が変わってしまう気がして、依頼するには至らないのです。
「家族みんなで同時に取り組む」レクリエーションのようなものがなくなってしまうのは寂しい。改めて考えてみると、桑田家は「みんなでやる」ことで一家円満の秘訣になっているのかもしれませんが、その反対に、外注した方が公平だったり、時間や気持ちに余裕ができてそれこそ家族仲や関係性が良くなるお宅もたくさんあると思うのです。それぞれの家庭にはその数だけの形やスタイルがありますから。
我が家のルールとして、昔からずっと繰り返し言ってきたことが「自分の部屋、自分の使う場所は自分で〝責任をもって〟キレイにする」ということ。それがすべての基本なのではないかと考えています。声高に言うまでもなく、それはどこのご家庭でも当たり前にやっていることだと思うのですが、お金を払ってお願いしてしまうようになると、いつの間にか「自分でやらなくていいこと」という気持ちに変わってしまう。そのうちに、普通のことが普通じゃなくなってくる気がして。もし、けがや病気でどうしても助けが必要ということがあれば外部のサポートを「お願いしてみよう」と考えるかもしれませんが、それまでは自分たちで頑張ろうかなと。
それに、やはり家事や掃除は「やらなくてはならない面倒な義務」ではなく、「みんなで楽しむレクリエーション」化していることが大きいのかもしれません。夫や息子たちが本当は私に頼みたかったことでも、お手伝いさんに「やっておいてください」と依頼するようになるのは、良くも悪くも家族の関係や人としてのバランスがくずれていくような気がしてしまうのかもしれません。家族同士の「ありがとう」が減ってしまう気がするのです。「お願いね!」が減れば、「ありがとう」も減る。大げさに考えすぎなのかもしれませんが、やはり家族はもちつもたれつ、頼れることは頼ったほうがいいと考えています。
ちなみに我が家はみんなそれぞれの個室にテレビがありません。それは自室に引きこもるのではなく、みんなでリビングに集まりましょうよという方針から。家族仲がいいのは、昔から「そうやって集まっていることが普通」としてきたことも一因かもしれません。
家族だけでなく、頼る相手は親兄弟や親戚かもしれない。はたまた、友人だったり職場の親しい同僚かもしれない。頼って、頼られて、そして感謝の気持ちをしっかり伝えて……。そんな助け合いは大事だなと思うのです。
1年を通して来客が多い桑田家では、お客様をお迎えする際も、夫と息子たちとで家族全員一斉に家を整えおもてなしの準備をします。気候の良い時期であれば、庭にテーブルセッティングして夜風を楽しむことも。お肉を焼くのとパスタは夫、長男はガーデン設営、Mattはテーブルコーディネート、私は得意の煮ものやポテトサラダなどの大皿料理を用意します。家族全員で役割分担して、自分が得意なことで貢献。「お願いね」「ありがとう」の声かけはやっぱり気持ち良く、円滑な人間関係、家族の和につながっています。
Maki’s キレイの源
14年前に家を新築した際、ハウスメーカーさんの計らいで玄関ホールにこんなレリーフが! 我が家はラッキーナンバー「18」を大事にしていることをよく理解くださっているサプライズでした。
ホームパーティを開くことが多く、お招きするのは仕事関係だったり、家族の友人たちだったり。特にMattは食器やカトラリー、テーブルセッティングを整える係で、私は専ら料理担当。おなかが充分満足するよう、「お好きな量をどうぞ」のビュッフェ形式でお出しします。
桑田真紀【全方位「推し活」力の磨き方 】そのほかの記事はこちら『美的GRAND』2024秋号掲載
撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/広瀬あつこ 構成/三井三奈子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。