美的GRAND
健康・ボディケア・リフレッシュニュース
2024.3.31

長澤まさみさん「自分の声を聞いて、幸せを感じる愛を信じたい」美的GRAND 表紙インタビュー


キャリアも20年を超え、トップ俳優としての実力を誇りながらも、その素顔は、少しシャイで、普通の暮らしを楽しむ37歳。日々を丁寧に積み重ねる中で育んだ、仕事と美容と自分自身への純粋な思い。

その都度言葉を交わすことで、愛のバランスがとれていく気がする

自分の声を聞いて、幸せを感じる愛を信じたい

映画『四月になれば彼女は』では、佐藤 健さん演じる精神科医・藤代の婚約者で、獣医の弥生を演じている。結婚を控えたある日、突然、失踪した弥生。一途で深い愛があるがゆえに、思いきった行動をとる難しい役だった。

「普段は心にしまい込んでいる思いが表に出てきてしまうような恋愛模様のなか、隠した本音を背負う役割でした。弥生は愛することへの不安から、知らなくてもいい扉を開きたいという衝動に駆られますが、それは内面の問題が影響しているのかもしれないと、演じていて感じました。愛することにつまずきそうなときの深いヒントが見つかる作品です」

劇中、日常の何気ないパートナーの言動で相手との愛の差を感じるときの長澤さんの表情にはっとさせられる。「愛を終わらせない方法は?」という弥生が残した謎かけにも。ハッピーエンドのその先で、大切な人と同じ愛の量をもち続けることはできるのか。それにはどうすればいいのか。純粋な愛の物語はそんなことを問いかけてくる。

「愛はとても多面的なものですが、私は自分が幸せを感じる愛を信じていこうと思うようになりました。でもそれは、自分というものが確立されていたり、自分の声をちゃんと聞けることが前提な気がしています。そして、擦れ違わないために大切なのは、お互いの今を理解し合うこと。そのために話し合うこと。言葉を交わすことで、お互いがもつしこりや悩みも解消されていく気がします。が、それが難しいんですよね…(笑)」

言語化しないと気持ちも流れていくからこそ、言葉を介してわかり合いたい。それは、仕事でインタビューを受ける中で気づかされたことでもある。

「こうして取材にお答えする中で、自分の思いに初めて気づくことがあるんです。私は伝え下手で、思いをマメに伝えられる方ではないのですが、インタビューで言葉にすることで、自分を知ることができています。それは人に対しても同じだと思うんです。深くわかり合いたい相手とは話すことをないがしろにしたくないし、言葉も丁寧に選びたい。言葉は優しさにも、凶器にもなりますから」

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言葉がいちばんのビタミン。目指すのはユーモアあふれる人

「大きくなりなさい。大きくね」。10代の頃、ドラマ『セーラー服と機関銃』で共演した故・緒方 拳さんがかけてくれたという言葉が、今も心に響いている。

「寛容であれということのひとつの表現として言ってくださったと思うのですが、とても穏やかで、『頑張りなさい』とはまた違う温かさがありました。そういう言葉を贈ることができる大人でありたいですね。私にとっては、言葉がいちばんのビタミンです。友達といるときにはギャグばっかり言ってますけど(笑)」

仕事にはときにストイックに向き合ってきたが、今、少しずつ「楽しむ」ことができるようになっている。この日の撮影後は、三谷幸喜さん作の舞台観劇へ。

「舞台は大好きで、お楽しみ袋を開けるようにワクワクするし、映画もドラマも、素敵な作品に出合えると満たされます。作品や役のイメージを膨らませたり、自分をブラッシュアップしたり、そして美容のためにも、私自身が生活を楽しむことが大事だと思っています」

それは仕事に慣れないためにも? と聞くと、「実は、慣れたことがないんです」と返ってきた。

「いまだに緊張するし、場慣れもできませんが、その方が集中できて、私には合っているみたいです。慣れでお芝居はしたくないですし。臆病で、新しい作品に入る度に怖さがあることも仕方がないと諦められると、メンタルは揺らがなくなりました」

長澤さんが美しさを感じるのは、「人の手をかけたもの」。研さんを積んだ人の手が作り上げたものにある、積み重ねられた時間や研ぎ澄まされた美しさに触れたくて、旅をし、美術館を訪れる。最近もL.A.で、「ザ・ブロード」美術館やアート展「ルナルナ」に足を運んだ。

「芸術に触れていると美しいと思う瞬間と出合えて、気持ちを動かされます。いくつになっても、好奇心のままに足を運んでいける自分でいたいですね。デニムをはいて、颯爽と。そしてユーモアをもって、周りを笑顔と幸せな気分にできる大人に近づけたらと思っています」

仕事も美容も大切なのはどう生きるか。積み重ねた日々を感じる顔でいたい

シャツ¥99,000(アレキサンダーワン) パンツ¥44,000(ラインヴァンド) タンクトップ/スタイリスト私物

PROFILE
ながさわ・まさみ/1987年静岡県生まれ。2000年に俳優デビュー。映画『世界の中心で、愛をさけぶ』『モテキ』『海街diary』『MOTHER マザー』など多くの作品で高く評価され、近年は映画『シン・仮面ライダー』『ロストケア』、ドラマ『コンフィデンスマンJP』シリーズなどに出演。2月に世界同時配信となったNetflix映画『パレード』も話題に。主演映画『スオミの話をしよう』が9月13日に公開予定。

MOVIE 『四月になれば彼女は』

精神科医の藤代に、元恋人の春から手紙が届く。藤代は獣医の弥生と結婚を控えていたが、ある日突然、弥生が姿を消す──。川村元気の小説を映画化。世界各国の風景も美しい愛の物語。監督:山田智和 出演:佐藤 健、長澤まさみ、森 七菜ほか 3月22日公開。
(c) 2024「四月になれば彼女は」製作委員会

『美的GRAND』2024春号掲載
撮影/長山一樹(S-14) ヘア&メイク/佐川理佳  スタイリスト/Shohei Kashima(W) 構成/松田亜子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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