今の時代に、相手に伝えたいことを伝えるには？【料理家SHIORI・短期連載「自分の名前」で仕事をする方法 Vol.4】

シリーズ累計370万部を超えるベストセラーになった『作ってあげたい彼ごはん』から15年。今ではオンライン料理教室や飲食店運営をする料理家・SHIORIさんが、自らの経験を元にたくさんの人に伝えたい仕事術を惜しみなく伝える短期連載。料理家、経営者、母でもある彼女が、どんなライフステージ、どんな環境でも「自分の名前」で仕事を続けられるのはなぜ？同世代の働く女性に届けたいたくさんのメッセージが書かれた著書『おいしい仕事術』から、そのポイントを週にひとつずつ、お届けしていきます。

仕事術4：伝わる言葉とタイミング

個人がメディアを持つことができる今の時代、言語化能力を持つことはもはや必須です。
商品やサービス、コンテンツのクオリティを追求するのと同じくらい、その魅力を十分に伝え切るための言葉選びが重要になってきます。

伝わる言葉を使う人の共通点

SHIORIさんが心地良いなと感じる人には共通点があると言います。
一つ目は独自の視点と自分の考えを持ち、自分の言葉を発する人。
用意された原稿を読んだり、当たり障りのない言葉を並べるのではなく、誰に忖度することもなく本音で話しているのが伝わると好感が持てます。
二つ目は相手の立場に立ち、どうやったら伝わるかを細部まで考え抜き言葉にできる人。圧倒的な愛と想像力がある人です。

伝わるのは自分ごとで捉えられるタイミング

SHIORIさんが主宰するオンライン料理教室「L’atelier de SHIORI Online」でいつか生徒さんたちに伝えようと思っていたことが、“伝わる言葉に伝えるタイミング”がぴたっとはまり、相手により深く届いたエピソードがあります。

手間の掛かるバターチキンカレーのレッスン後、復習してくれた生徒さんの感想を聞こうとライブ配信をした時のことです。生徒さんから達成感や喜びで盛り上がるコメント欄をみてSHIORIさんは「これだけ手間暇をかけて作ったバターチキンカレーをあなたならいくらで売りたいですか？」と投げかけました。すると「材料費はこれくらい、これだけ手間暇かけたから2000円、いや、3000円は欲しい！」コメント欄の金額は急上昇。
それに対してSHIORIさんは「でも待って？みんなは普段いくらで食べている？インド料理屋さんのランチなら800～1000円でサラダにラッシーまで楽しめることもある。自分で作ってみるとこの価格の有難みがわかる。でもお得の裏で誰かが悲しい思いをしたり、苦しんだりする価格ではなくて、真っ当な価格を見極めて気持ちよく支払うことも大切。安いだけを良しとしなくて、真っ当な価格を見極めて気持ちよく支払うことも大切。安いだけを良しとしない、安すぎるモノには疑問を持ち、価格の裏側を想像する癖をつけよう」と思っていたことをコメントしました。
生徒さんからは「今まで安さを基準に選んでいたけれど、自分で体験し、その大変さを知ることで見合う金額を払いたいと思うようになりました！」「価値やお得に対する考えが改まりまいた！」と、たくさんの共感の声でコメント欄が埋め尽くされました。

真面目な話はある日突然しても、響きません。どんなに意義のあるメッセージも、自分ごととして捉えられるタイミングで伝えないと相手には届きにくく、頭ではわかっているけど遠い誰かの話として流れてしまうのです。
それでも、実際に自分が体験して自分ごとになった時、言葉はより深く伝わり、その人の価値観や行動に大きな変化を与えることがあります。

大事なメッセージこそ、投げかけるタイミングの見極めが大切です。
日頃から興味に繋がるトスを投げ続けること。興味の扉が開いて自分ごととなる瞬間を見逃せないように相手をよく観察すること。
ここぞという大切なメッセージほど、伝わる言葉と伝わるタイミングで届けてみてください。

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「新しいことを始めたいけど何からやればいいかわからない」「今からでも好きなことで働きたい」人生をよりよくするために、働き方や人間関係、自分との付き合い方と向き合いたいあなたへ。SHIORI流『おいしい仕事術』が、そんなキッカケやヒントになれば幸いです。

SHIORI著/小学館

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料理家・SHIORI

短大卒業後、料理家のアシスタントを経て独立。代表作『作ってあげたい彼ごはん』をはじめ、これまでの著書は累計417万部を超える。フランス・イタリア・タイ・ベトナム・台湾・香港・ポルトガル・スペインでの料理修行経験があり、世界各国の家庭料理を得意とする。結婚・出産を経て、2020年からを主宰しているオンライン料理教室「L’atelier de SHIORI Online」には世界約30ヶ国から約1万人が参加している。
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