オンラインコンテンツが溢れる中、魅力的なコンテンツどうやって作る？【料理家SHIORI・短期連載「自分の名前」で仕事をする方法 Vol.3】

シリーズ累計370万部を超えるベストセラーになった『作ってあげたい彼ごはん』から15年。今ではオンライン料理教室や飲食店運営をする料理家・SHIORIさんが、自らの経験を元にたくさんの人に伝えたい仕事術を惜しみなく伝える短期連載。料理家、経営者、母でもある彼女が、どんなライフステージ、どんな環境でも「自分の名前」で仕事を続けられるのはなぜ？同世代の働く女性に届けたいたくさんのメッセージが書かれた著書『おいしい仕事術』から、そのポイントを週にひとつずつ、お届けしていきます。

仕事術3：目指すは圧倒的な自分らしさ

オンラインコンテンツはライバルだらけ

これまでにもご紹介してきたSHIORIさんのオンライン料理教室「L’atelier de SHIORI Online」は世界約30ヶ国から約1万人が参加しているまさに、大人気オンラインコンテンツです。このジャンルにおいては、インフルエンサーが発信する個人コンテンツの人気が同じ業界に属する大企業の公式アカウントに勝るケースも珍しくありません。
オンラインコンテンツは少ない初期費用で、たったひとりでも始められる。それでいて個人は小回りが利く分、自分らしさを出しやすいため、「小さく産んで大きく育てる」が実現可能な魅力とやりがいを併せ持っています。

一方で誰にでもチャンスがあるからこそ、ライバルはたくさん。オフラインでは多くの場合、同じエリアにあるお店が競合となりますが、オンラインの場合は競合が全国から全世界へ広がり、その先には淘汰という厳しい世界が待ち受けているのです。つまり、そこでしか得ることができない唯一無二の価値を提供するコンテンツ作りが重要なのです。

「自分のコンテンツの核となる部分は何か？」

SHIORIさんが考える、圧倒的な魅力をもつコンテンツの作り方は、「自分のコンテンツの核となる部分は何か？」を明確にしてから向き合うこと。
「L’atelier de SHIORI Online」の運営でこだわり続けているのは「おいしいレシピ」と「分かりやすい教え方」です。

●過去最高を目指す
おいしいレシピと一言に言っても、世の中にそれは数多とあるので、SHIORIさんは自分で作るレシピのゴールを「今までで一番おいしい」に設定。これまでに膨大に制作してきたレシピの焼き直しではなく、過去最高を目指す。妥協や出し惜しみをしない姿勢を大事にし、ひとりでも多くの生徒さんの感動体験、成功体験へと繋がるよう、針の穴一点を通すようなおいしさを追求しています。

●従来の教え方にとらわれず、オリジナルな視点を盛り込む　　
初期からリクエストが多かったハヤシライスは、①じっくり時間を掛けて飴色玉ねぎを作り、②トマトのほのかな酸味とうま味を重ね、③薄力粉とバターを焦がして作るブラウンソース。大事な工程が多く、いきなり紹介するにはあまりにハードルの高いメニューでした。
そこで、〈シチュー、グラタン、蟹クリームコロッケ〉というソースの基本となるレシピのレッスンを先に組み込み、段階的に足慣らしをしてからハヤシライス挑戦する計画を実施。
レッスン当日は飴色玉ねぎの炒め具合を4段階の見本を用意して、その変化の様子を実況。さらにブラウンルウの焦がし具合は誰もが検索できるカラーチャートの番号でシェアし、手元のスマホで色合いを照らし合わせながら作ることを提案した結果、生徒さんの再現性を高め、かつてないほどの満足感や達成感に直結。伝説の回となり大きな話題を呼びました。

このように「おいしいレシピ」と「分かりやすい教え方」のクオリティをさらに引き上げるのが、「オリジナルの視点」です。レシピが溢れる時代だからこそ、どうしてこのレシピが生まれたのか？その背景にある自分だけのストーリーや思いを伝えること、自分らしいアイデアを教え方に盛り込むことが差別化に繋がり、唯一無二の価値を高めてくれます。

自己ベストまで磨き上げた「クオリティ」に、自分らしさという「オリジナリティ」を掛け合わせることで、他では得ることができない唯一無二の「圧倒的コンテンツ」の誕生を可能にするのです。

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「新しいことを始めたいけど何からやればいいかわからない」「今からでも好きなことで働きたい」人生をよりよくするために、働き方や人間関係、自分との付き合い方と向き合いたいあなたへ。SHIORI流『おいしい仕事術』が、そんなキッカケやヒントになれば幸いです。

SHIORI著/小学館

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料理家・SHIORI

短大卒業後、料理家のアシスタントを経て独立。代表作『作ってあげたい彼ごはん』をはじめ、これまでの著書は累計417万部を超える。フランス・イタリア・タイ・ベトナム・台湾・香港・ポルトガル・スペインでの料理修行経験があり、世界各国の家庭料理を得意とする。結婚・出産を経て、2020年からを主宰しているオンライン料理教室「L’atelier de SHIORI Online」には世界約30ヶ国から約1万人が参加している。
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note：shiorikaregohan