生理やPMSを快適に過ごす方法は解明されていないってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】

日常生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は、生理について『生理で知っておくべきこと』の著者であり、生理やPMSの研究などを行う一般社団法人ラブテリ代表理事の細川モモさんにお話をうかがいました。そもそも日本人女性の生理やPMSについて解明されていないことが多いという話…。これはウソ? ホント?
Q:日本女性の生理やPMSについて実はあまり解明されていないってホント?
当たり前のように女性たちにおとずれている生理。そしてPMSや生理痛など「生理」にまつわる悩みは多く、深刻……これは誰もが認める事実だといえるでしょう。しかし、その割に生理やPMSについてはわかっていないことが多いという噂。これはホントなのでしょうか。細川さんのお答えは…?
A:本当です!
健康な日本女性の生理に関するデータが乏しかった
「現在、医者が使っている日本女性の生理データは、1962年にアメリカのとある地域でとられたデータでできています。国も人種も違いますし、今とは生活習慣も違う時代の古いデータを扱っていることになりますが、日本人女性に当てはまっているのかを検証するには日本女性のビックデータが必要です。
しかし、それができてきたのは2007年のiPhone発売以降、ルナルナを代表する生理管理アプリが誕生してから。つまり、長い歴史からみるとつい最近のことなのです。それでも、まだまだPMS(月経前症候群)・生理・更年期の実態データは不足しています」(細川モモ氏・以下「」内同)
生理やPMSを快適に過ごす方法は十分に解明されていない
「病院に行っても、最終的に漢方やピルや痛み止めのどれかを出されるだけ。悩みをスッキリ解決できたとはいえず、もやもやした経験がある人も多いのではないでしょうか。生理やPMSに関しては、どういう仕組みで起こるのかはわかってきているものの、“快適に過ごす方法“については、ピルや月経カップという医学的手段は進化していますが、生活習慣や食事についてはまだまだ多くが未解明といえます」
年齢によって生理周期が変わるってホント?
「本当です。“生理周期は25歳の頃にいちばん長くなり、45歳にかけて平均で約3日短くなる”。しかし、これがわかったのは2020年のことです。話題になったので、知っている方も多いかもしれませんが、こういったことも長くわかっていなかったのです。
また、PMSや生理痛の改善に食事や生活習慣が有効であるか、という点については研究自体が乏しく、エビデンスが十分ではないため、否定する医師も少なくありませんでした。しかし、ラブテリでは20〜40代の女性7,000名の調査、研究を進め、生理痛やPMSに食事や生活習慣が影響していたことがわかってきています。海外の研究でも、食材や栄養素が生理痛やPMSを改善するという報告も増えてきています。エビデンスは今まさに生み出しているところです」。
これまで日本人の正しい生理について解明されてこなかった理由
「生理は病気ではない。これが生理についての解明が遅れている理由のひとつだと考えています。不妊治療については病気ですから国が力を入れて調べていますし、年間の体外受精者数などのデータもしっかりとられています。一方、生理は病気ではないので、あまり積極的にデータを集められてこなかったのです。
またもうひとつ、国家予算としての研究費をどの研究に投資するを決める決定権をもつ政治の中心が男性だったという時代背景も関係しているといえるでしょう。女性を経済成長の柱とする現代では、女性の生産性低下には明らかに生理があるとされているので」
これからはどうなる…?
「しかし、最近になってAIが発達してきて、生理にまつわるデータが集められるようになりました。例えば生理日や排卵日を管理するおなじみのルナルナというアプリ。インストール数は1600万人にものぼり、多くの女性の生理データが取得できるようになりました。先ほどの生理周期の変化もルナルナによって明らかになったものです。
また、ラブテリでも生理用品No.1ブランド「ソフィ」の生理管理アプリの開発協力をさせていただき、ユーザーデータから年齢別の生理痛や経血量の変化について明らかにしていることがあります。こちらではPMSについても解析をしています。年代ごとに変化をするのか、出産で軽くなるのか重たくなるのかなど、わかっていないことだらけです。
今、ようやく日本ではじめて生理につついてのビッグデータができつつあるのは間違いありません。これから生理やPMSの解明がどんどん進んでいくことが予想されます」
女性の身体にまつわる正しい知識をつけることが大切
「だからといって、生理やPMSの悩みを医者が解決してくれるのを待っていましょう、という話ではありません。私たちの調査では、日本人女性のうち、生理痛は7割、PMSは8割の人に自覚症状があります。生理による症状によって、仕事のパフォーマンスが低下したり、自信をもって毎日を過ごせなかったりする人は多くいます。
生理痛やPMSは、特定の食材や栄養素によって改善することが私たちの調査においても、海外の論文でも多数報告されています。逆に生活習慣が悪くなったことで、もともと軽かったPMSや生理痛が悪化するというパターンも多いように見受けられます。それだけ現代の生活習慣は身体に負担がかかりやすいのかもしれません。
毎月やってくることだからこそ、何かしらの方法で対処することが大切です。そして、今すぐにでも始められることとして、女性の身体にまつわる正しい知識をつけること。
女性の身体の変化は月ごとだけではなく、年代ごとにもやってきます。そういった身体の変化についてぜひ目を向けてみてくださいね」
文/坂本アヤノ
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
予防医療・栄養コンサルタント。一般社団法人ラブテリ代表理事。母子健康に注力し、妊娠前/妊娠中/産後の女性の健康支援を通じて、次世代の健康の底上げに取り組む。産婦人科医、精神科医や腸内細菌の専門家、管理栄養士などの医療系スタッフとともに活動。2016年に長女を出産し、2020年4月に次女を出産。著書に10万部超のシリーズ本『成功する子は食べ物が9割』(主婦の友社)、『生理で知っておくべきこと』(日経BP社)などがある。
■一般社団法人ラブテリ
■生理×PMS症状によりタイプ分類。生活習慣や食事のアドバイスが無料で受けられる「ソフィ」生理管理アプリ