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2022.4.17

白いシャツをいつまで着られるか? それが美の寿命の分かれ道|美的GRAND

年齢を重ねる程に、白いシャツに手ごわさを感じていませんか? まばゆい白との対比で肌のくすみが目立ってしまったり、ごまかしの利かないシンプルさゆえに寂しげな印象になってしまったり…。それでも、気品、知性、清潔感、ポジティブな輝きは、永遠に魅力的です。

肌と心の濁りを許さない一枚、白いシャツをいつまで着られるか? それが美の寿命の分かれ道。

文・齋藤薫

『白いドレスの女』という映画があった。タイトルだけで、主人公が魔性の女であるのがうっすら伝わってくる。実際ヒロインは、辣腕弁護士を翻弄し、罠にかける女だった。『氷の微笑』のシャロン・ストーンもまた、白い服で男を惑わせて正気を失わせた。もちろん「白」自体は清廉潔白。限りなく純粋だ。でも女の服になると一転、妖艶な色となる。いや厳密にいうと、白の冒しがたい清らかさを魔性の女が利用したとき、とてつもない力を発揮する、それが白という色なのだ。

しかし白の服はぼんやり装うとひどく野暮ったい。地味に見えたら失敗。100点か0点かしかない色なのだ。どちらにせよ危険な色である。例えば、白いワンピースのときの靴。白の靴もリスキーだし、ヘタな色を合わせたら台無しだ。洗練されて見えるのは、白の精密さを壊さない、たっぷり白を混ぜた淡い砂色くらい。白はそこまで傲慢で繊細で気難しい。でもその分だけ成功したときの強烈な魅力には、誰も敵かなわないのだ。アン・ハサウェイやジェニファー・ローレンスが白のドレスに執拗にこだわるのは、そのカラクリをよく知る、ちょっとだけ魔性の女だからなのだろう。

もちろん白いシャツも同様。いやもっと厄介だ。ボトムをどうするかの問題もあるが、“白の綿”は着る人に生命力というエネルギーを要求してくる。そう、だから歳を重ねる程白シャツが怖くなるのだ。よけいに疲れて見えたり、やつれて見えたり。紛れもなく、肌がくすんで明度や抜け感がなくなったせい。ミニマルかつエフォートレスの象徴である白シャツは、年齢を重ねる程憧れのアイテムとなるのに皮肉なもの。でも考えてみてほしい。例えば、70代で大ブレイクしたダイアン・キートンは、むしろ若い頃より白シャツや白Tが似合うようになっている。いったいなぜ?若さ以上のエネルギーをみなぎらせているからだ。周り全てを明るくする笑顔、ずば抜けたセンスが生む良質の派手さ、だからむしろ増していく自信……それらが相まって“白い綿”を高級にすら見せるパワーとなっている。だから白が眩しくさえ見え、レフ板効果となってさらにその人を明るく照らすのだ。でもそれは奇跡ではない。誰にだって可能。白い綿に負けない気概と、よく美白された澄んだ肌さえあれば、むしろ若いとき以上に小粋に美しく白シャツが着られる。それをまず知っておくべき。これからの年齢、白シャツを美しく着られるか否かが、美の寿命の分かれ道になることも。私はいつまでジーンズとヒールが履けるかをテーマにしてきたが、もうひとつ白シャツを加えよう。体型でなく顔のハードルとして。肌や表情に光がある限り、生涯着続けられる1枚として。そもそも誤魔化しが全く利かない、肌濁りはもちろん、心の濁りや知性や、品性の有無まで露わにする一枚だから、自らを律するために着続けたいのだ。

ちなみに、白シャツには真っ赤な口紅がよく映える。それが肌と表情を明るく見せ、生命力となりパワーとなるから。言い換えれば、白シャツと渡り合えるのは赤い唇くらい。無理に素顔っぽく装おうというブレーキはいらない。むしろ誰かを虜にするつもりで、セクシーにラグジュアリーに。それでも清潔感が溢れてしまうのが白シャツなのだから。

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『美的GRAND』2022 春号掲載
撮影/小池紀行(パイルドライバー) 文/齋藤 薫 構成/荒川千佳子、岡本治子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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