大高博幸さんの 肌・心 塾
2019.11.12

『 女殺油地獄 』『 去年マリエンバートで 』『 リンドグレーン 』『 幸福路のチー 』 試写室便り 【 大高博幸さんの肌・心塾 Vol.528 】

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画像1枚目 ©️みなもと忠之/その他 ©️松竹株式会社

十代目 松本幸四郎 襲名記念 シネマ歌舞伎

あの衝撃の事件を
未だかつてない鮮烈な映像で描く ―― !

女殺油地獄 ( おんなごろし あぶらのじごく )
11.8 より公開中/日本/約 110 分
shochiku.co.jp/cinemakabuki

平成 30 年 7 月に、大阪 松竹座・襲名披露公演で上演された「 女殺油地獄 」( 三幕 ) を映像化した作品です。いわゆる〝 舞台中継 〟の形式とは異なり、映画としての演出が施された〝 シネマ歌舞伎 〟ならではの世界を楽しむコトが出来る 110 分。

物語は、借金の返済に窮した 大阪の油屋の放蕩息子が、金策のために 同業者の女房を殺害し、処刑されたという実話を基に、近松門左衛門が著作した有名な世話物。僕は 小学 3 年生の頃、この原作を 東宝が 劇映画化した 同名の作品 ( 主演は 当時の中村扇雀 ) を、興味津々、観た記憶があります。
本作では、放蕩息子・与兵衛を 松本幸四郎、同業者の女房・お吉を 市川猿之助、与兵衛の母を 坂東竹三郎、継父を 中村歌六が 演じています。

最大の見せ場は、与兵衛が 衝動的に お吉を殺してしまう 油まみれのラストシーン。カメラのポジションに凝った 立体的な演出・構図・撮影が生む迫力の凄さに 圧倒されました。また、与兵衛の母と継父の 親ごころが 描写される場面には、胸を締めつけられるほどの人情味があり、観客の涙を誘います。監督は、松竹撮影所の 井上昌典。

〝 シネマ歌舞伎 〟は、2005 年に 第 1 弾が公開され、本作は ( 特別篇を除いて ) 第 34 弾です。
以下、予告。これに続く第 35 弾は、片岡仁左衛門と坂東玉三郎の黄金コンビによる『 廓文章 ( くるわぶんしょう ) 吉田屋 』。華やかで美しい 幸福感に満ちた恋物語で、2020 年 1 月 3 日、全国公開が 決定しています。こちらも どうぞ お楽しみに!

 

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©1960 STUDIOCANAL – Argos Films – Cineriz

まどろむ記憶、混じり合う時間、
交錯する夢と現 ( うつゝ ) 。
時を彷徨う、果てしない愛の物語。

蘇る伝説の名作 ――

去年マリエンバートで
4 K デジタル・リマスター版
10.25 より公開中/イタリア、フランス、1961 → 2018 年/ 95 分
www.cetera.co.jp/marienbad4K

ブルジョワジーが、演劇鑑賞や社交ダンス、ゲームに無表情で耽る豪華ホテルに、ひとりの男が やってくる。去年、ここマリエンバートで出会い、1 年後に駆け落ちする約束をした女を連れ出すために。しかし、再会した女は「 あなたを知らない 」と拒む。彼女は、去年のことを忘れてしまったのか? 知らない ふりを しているだけなのか? それとも ふたりは、本当に 1 年前に出会い、恋に落ちたのか ―― ? ( プレス資料より抜粋 )

「 映画史上、最も難解な映画 」と評されながら、1961 年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を獲得した アラン・レネ監督作品の、4 K デジタル・リマスター版です。この不可解な映画が 何を意味しているのかを 議論するのが 愉しい という人も多いようですが、緻密に表現された アヴァンギャルド的 異次元の世界と、主演の デルフィーヌ・セイリグ ( 撮影当時、27 or 28 歳 ) の美しさ、そして ココ・シャネルが担当した衣裳の素晴らしさを観賞するだけで、十分に満足できる 破格の作品。迷宮のようなバロック調の豪奢なホテル、何度も繰り返される単調なモノローグ、マリオネットのように動きながら 彫像のように静止してしまう人物たちの、優雅でいて退屈そうな雰囲気は、非常にミステリアス。

もうひとつ、D・セイリグの洗練されたアイメイクアップも特筆モノ。まぶた全体に塗られたダークなクリームアイシャドウ。眉は、まるで鳥が 羽根を広げているかのように、眉山から眉尻までを強調して描いています。
彼女のメイクを採り入れるならば、アナスタシア ミアレの 以下の新製品が マストでしょう。

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アナスタシア ミアレ ( 全て 12.1 発売 )
ブロウポマード 03 ¥2,800
滑らかな描き心地、艶のある質感、密着性に優れたクリームジェルアイブロウ。03 は モカブラウン。個人的には、クリームシャドウとして、まぶたにボカしても素敵だと思っています。
ブロウハイライター 01 ¥2,800
眉の周囲や眉間を明るく整えるハイライター。クリーミィに伸びて、サラリとフィット。色白の肌であれば、コンシーラーとしても使用可。
ストレイトカットブラシ ¥3,500
眉に押し当てるようにして使用するアイブロウブラシ、スクリューブラシ付き。極細の眉は勿論、ブラシの角度を変えれば、幅を持たせた眉を描くコトも可能。
コンシーラーブラシ ¥2,800
ブロウハイライターを滑らかに伸ばすためのフラットなブラシ。適度な しなりとコシがあり、他の用途にも応用可能。
スモールブロウシェイダーブラシ ¥3,200
部分的に 眉毛が 生えていない or 薄すぎる箇所を補い、眉の形を理想的に整えるための 繊細な小さいブラシ。
アナスタシア ミアレの製品について、詳しくは 06-6376-5599 へ。

 

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© Nordisk Film Production AB / Avanti Film AB. All rights reserved.

「 長くつ下のピッピ 」
「 やかまし村の子どもたち 」
「 ロッタちゃん 」の作家、
アストリッド・リンドグレーンの
知られざる若き日々。

リンドグレーン
12.7 公開/スウェーデン、デンマーク/ 123 分/ PG 12
lindgren-movie.com

世界中で愛され、日本でも熱烈なファンが多いスウェーデンの児童文学作家 アストリッド・リンドグレーン ( 1907 ~ 2002 ) は、本国では紙幣の顔になるほどの特別な存在。本作は、その若き日々 = 自由奔放で率直な 16 歳のアストリッドが、新聞社で助手として働き始め、18 歳で妊娠、19 歳で未婚の母となり、里親に預けていた息子を引き取る 22 歳頃までを描いています。

ラスト近く、後に 夫となる ステューレ・リンドグレーンとの数シーンに 明るい未来が 感じられ、そこを もう少し描いてほしかったというのが 僕の勝手で正直な感想 …… 。

監督・脚本は、長編デビュー作で ベルリン国際映画祭の銀熊賞と最優秀新人作品賞に輝いた ペアニレ・F・クリステンセン。アストリッド役は、演技派の新星 アルバ・アウグスト。

本作で非常に印象的だった台詞をひとつ。ラスト近くで アストリッドの父親が、初めて会った孫息子に「 おじいちゃんだよ 」と言う ひと言。たゞそれだけの台詞に、ドラマとしての膨らみと 肉親の情愛が 強烈に表現されていて、僕は思わず 大粒の涙を こぼしました。

 

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© Happiness Road Productions Co., Ltd. ALL RIGHTS RESERVED.

世界中の映画祭を席巻、台湾映画史上初の快挙を続ける傑作アニメーション!

あの日 思い描いた未来に、
私は 今、立てている ―― ?

幸福路 ( こうふくろ ) のチー
11.29 公開/台湾/ 111 分
onhappinessroad.net

アメリカに暮らすチーは、祖母が亡くなった知らせを受け、長らく疎遠にしていた故郷、幸福路に帰ってくる。記憶にあるのとは すっかり変わってしまった景色を前に、チーは 人生、そして 家族の意味を考え始める。子どもの頃の 懐かしい思い出、老いていく親、大人になった自分。「 あの日 思い描いた未来に、私は 今、立てている? 」。実は 人生の大きな岐路に立っていたチーは、幸福路で ある決断をする ―― 。( プレス資料より。一部 補足 )

回想シーンを交えて、主人公 チーの〝 人生の選択 〟を描いた 良質なアニメーションです。現在と過去、現実と空想の世界を自在に行き来する構成で、チーの半生と現在の心境に、自分を重ねて観る読者が 多いだろうと感じました。一方、物語の背景には、民主化へと向かう 台湾の、激動の時代があります。

本作の登場人物たちは 揃って素朴で 庶民的で、何かと口やかましい チーの母親にしても、思いっきり 優しく 温かい性格。さらに、アニメの人物たちの表情に 声優陣の台詞のニュアンスが とても よく合っていて、比較的 ゆっくりと語られる台湾語に、僕は 意外なほどの 親しみと 好感を覚えました ( 台湾には、1980 年代後半と 2000 年代初頭に、仕事で行きましたが、その時は そうとは 感じていない自分が いたのに、です ) 。

物語は 特に後半、人生の岐路に立ったチーの 心の葛藤に 的が 絞られていきます。But、そこにも 幼少期のチーの ファンタジックでスピーディな空想シーンを 度々 捜入しているため、観る側の 集中力の持続を 妨げてしまうようなマイナスが あったという気は しました。
監督は、1974 年生まれの ソン・シンイン ( 女性 ) 。「 幸福路 」とは、台北郊外に実在する〝 通り 〟の名称です。

このページで紹介したアイテムの価格は、全て本体価格です。

 

 

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biteki-m@shogakukan.co.jp
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ビューティ エキスパート
大高 博幸
1948年生まれ。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸さんの 肌・心塾
http://biteki.com/beauty-column/ootakahiroyuki

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